ロシアからのお土産

先日、仕事の為ロシアに滞在していた知人からヨーロッパミヤマの標本が送られて来た。
冬はかなり寒い印象が強いロシアにも南部には結構あちこちにヨーロッパミヤマの棲息する地域が有るらしい。
知人がこの標本を見つけたのはやはり南ロシアの、アストラハン(Astrakhan)と言うカスピ海に面した町だそうだ。「良いものを見つけたょ、どうやらこの地域で採集されたヨーロッパミヤマのようだ」とのメールを貰ったのだが、しばらくして三つの小さい標本箱?に一頭づつ入れられたクワガタ虫が送られて来た。




来たものを見ると紛れもなくヨーロッパミヤマで、この地域で採集された個体なら、初めて見る産地である。しかし残念ながら採集場所、採集日時などの記述は何処にも見当たらなかった。 3頭とも大きさは60mm前後で、いかにも手作りな箱の中にピンは使用せずそのまま接着剤で貼り付けてある。




大きさ12cm×12cm の黒い塗料が塗られた木製で正面はガラス板。多少高い処から落としても壊れないくらい頑丈に作られている。



ラベルが付いているのだが、そこにはロシア語でクワガタを表す文字と学名のLucanus cervusが書かれてある。



箱の裏側を見ると、接着剤か充填用のシリコンなのか、ガッチリと接着し固められていて一本紐が張られている。この紐で壁などに引っかけるという事らしい。裏に見えるラベルはこちらで貼ったもの。



ロシアでもヨーロッパミヤマは保護されていて、許可無しでは国外へ持ち出す事は出来ない。数年前からは更に保護された昆虫云々に関らず虫を海外へ送る場合 には全て許可を申請する事が義務付けられたそうである。そのような訳でロシアから虫を送って貰うと、沢山の書類(許可書)が小包に添付されて届く。
今回のヨーロッパミヤマは何の許可書も添付されず問題無く届いているのだが、このようにインテリアとして加工?されているならばOkなのだろうか? そう言えば以前、中国などでも装飾の為に昆虫を使ったりした場合は、国外持ち出しも問題なかったと聞いた事がある。

西欧諸国ではよく壁に写真や絵画など飾るようだが、ロシアでクワガタ虫がこのようなかたちで売られていたとは知らなかった。だが採集日時や場所などの記載 もないし標本として価値は低い。家ときたら正に木造日本家屋の代表みたいなもの、狭いし壁に飾るにはあまり良い場所がないのだがこの位小さいサイズなら ば・・・、何とかスペースを見つけてとりあえず壁にかけてみた。
2005/6 A.CHIBA


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