日本産ノコギリクワガタの採り方
 
 

 はいドーモ、標本修理工Tです。

 最近はめっきり寒くなりましたが、それでも今年の冬は(いまのところ)暖冬と言えそうですね。寒いのが苦手がボクにとっては、非常にありがたい冬です。と、本州ではこんなに寒いのに、沖縄の方ではまだ最高気温20℃とかあるんですよね。うらやましい。以前、1月に沖縄に行った時は、「朝、沖縄では半袖、東京に帰ってきたら雪降ってた」なんてこともありました。いや、ホントに同じ日本なのかと思ってしまった出来事だったなぁ……。

 ああ、ごめんなさい。今回の内容とはまったく関係ない話でしたね。今回は『日本産ノコギリクワガタの採り方』と題しまして、もう、極ふつーにノコギリクワガタの採り方を書いてみようかと思います。もう、ホントに極ふつーです。あまりにもありふれた内容に、みなさんあきれかえること必至です。ちなみに、すべてボクの経験だけを書いていますので、「私の採り方の方がいっぱい採れる」と言う方もいるかもしれませんのであしからず。

 ではまず、ふつーのノコギリクワガタから……。 
 

ノコギリクワガタ
Prosopocoilus inclinatus inclinatus (Motschulsky,1857)
体長. ♂25.8〜74.7mm, ♀25.0〜41.0mm.
分布. 日本: 北海道, 本州, 四国, 九州, 奥尻島, 佐渡, 隠岐, 壱岐, 対馬, 五島列島, 甑島列島, 硫黄島, 黒島, 種子島, 屋久島, 口永良部島, 伊豆諸島(伊豆大島, 利島, 新島, 式根島, 神津島, 三宅島, 御蔵島); 朝鮮半島(韓国, 済州島, 鬱陵島). 

簡単な解説
 一般に『普通種』と言われているクワガタ。学名の後に( )付きの記載者名があるのは、もともとPsalidoremus属で記載されたからです。属名が変わって、( )付きになったんですな。

採り方
本州:6月下旬〜7月中旬にかけてが発生のピーク。クヌギやコナラ、もしくは河川のヤナギなどの樹液で採るのが一般的。高標高ではヒメオオなどと一緒にヤナギの樹液によく来ています。外灯などに飛来しますが♂が多いのは7月中旬頃で、8月に入ると♀ばかりとなります。バナナトラップで採集したことはないけど、ライトトラップにはよく来ました。ギネスは74.7mm。 
 
1.静岡県 69mm。本州の自己採集はこれが最大。70mmクラスなんてホント採れない。クヌギの樹液にて。

1.静岡県 69mm。
本州の自己採集はこれが最大。70mmクラスなんてホント採れない。クヌギの樹液にて。

伊豆諸島・伊豆大島:5月下旬〜11月まで見られるようですが、発生のピークは7月〜8月上旬くらいと思われます。オオバヤシャブシやクヌギの樹液で採集したけど、もっとも効率の良い採り方は圧倒的に外灯まわりでしょう。個体数は多く、70mmクラスの大型も見られます。現在までの最大は74mmくらいかな?
 
2.伊豆大島 60mmくらい? あまりにもショボイので測ってない。ボクが行った年はどうもヘンな発生だったようで、ノコギリもミヤマもあまり採れなかった。&一泊しかしてない。はい、言い訳終わり。外灯下にて。

2.伊豆大島 60mmくらい?
あまりにもショボイので測ってない。ボクが行った年はどうもヘンな発生だったようで、ノコギリもミヤマもあまり採れなかった。&一泊しかしてない。はい、言い訳終わり。外灯下にて。

伊豆諸島・新島:7月中旬〜下旬がピーク? オオバヤシャブシの樹液に集まり、外灯にも多数集まります。個体数は多いけど、大歯型の出現率は本州や伊豆大島ほど多くありません。最大は65mm くらい? ボクの採った最大は62mmくらいでしたけど。
 
3.新島 62mm。ここも一泊野宿コース。昔は若かった。外灯下にて。

3.新島 62mm。
ここも一泊野宿コース。昔は若かった。外灯下にて。

伊豆諸島・式根島:発生のピークは7月と思われますが、ボクは8月中旬に行ったので、外灯下にいる♀を5匹採っただけで引き上げてきました。あまり情報を聞かない島。
伊豆諸島・神津島:発生のピークは7月。伊豆諸島の中では伊豆大島に次いで大型が出やすい?らしく、聞いている中のMAXは68mm。オオバヤシャブシでの採集経験はありませんが、タブの木から複数の個体を得たことがあります。バナナトラップも外灯まわりも効果大。樹液を探すより、バナナトラップをかけた方がだんぜん良いでしょう。新島〜三宅島のノコギリは58mmくらいから大歯型になるため、本土とは大歯型の出現率が根本から違います(御蔵島産は得られている個体数が少ないので、この定義に当てはまるかわかりません)。
 
4.神津島 65mm。ここでも一泊野宿コース。外灯下にて。

4.神津島 65mm。
ここでも一泊野宿コース。外灯下にて。

鹿児島県・下甑島:タブとクヌギの樹液で採集。バナナトラップもライトトラップも効果あります。最大の70mmはライトトラップに来ました。一番高率が良いのはバナナトラップですが、大歯型はなぜか少ない。65mmとかが採れたら喜んでいいでしょう。7月がベスト。
 
5.下甑島 67mm。自己採集最大の70mmはむし社F氏に預けっぱなし。こいつはクヌギ樹液にて。

5.下甑島 67mm。
自己採集最大の70mmはむし社F氏に預けっぱなし。こいつはクヌギ樹液にて。

鹿児島県・屋久島:屋久島は2回行ったけども、どちらも滞在時間が1泊だったので、外灯まわりしかしませんでした。外灯まわりで十分採れます。バナナトラップをかければ、もっと採れるでしょう。屋久島のノコギリは52mmくらいでも大歯型になってしまいます。伊豆諸島が56〜58mm、本州が52〜54mmで大歯型になるので、屋久島産はちょっと特殊な感じですね。得られている最大は70mmですが、65mmとかが採れたらメチャクチャ喜んで可。7月がベスト。
 
6.屋久島 53mmくらい? 測ってない。一周道路の外灯下にて。

6.屋久島 53mmくらい?
測ってない。一周道路の外灯下にて。
 


ミシマイオウノコギリクワガタ
Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis Shimizu et Murayama 1998
体長. ♂27.5〜69.5mm, ♀24.5〜35.4mm.
分布. 日本: 鹿児島県(硫黄島).

簡単な解説
 原名亜種に比べて次の点が違う。
○光沢がやや強い。
○大腮は太く、湾曲が弱い。
○付節は細い。前脚脛節の外刺は弱く、中脚脛節外刺はほとんど消失する。
○頭盾先端は台形になる。

採り方
 とにもかくにも、まずは硫黄島まで行かなければいけないのが一番のネック。鹿児島空港に着いたら、鹿児島港まで行って一泊。翌朝9:30出発の村営船フェリーみしまに乗り込み、13:05にやっとこ硫黄島に到着します。島に着いたらまず、呆然自失してください。島のほとんどはツバキと大名竹に覆われていて、「いったいどこで採ればいいんだ……」という気持ちになればGOODです。バナナトラップは効きましたが、ライトトラップはダメでした。あんまり書くと、自分のHPで書くことがなくなるので、このへんにしておきましょう。集落内でも採れますが、一番良いのはやや奥に行ったツバキ林です。個体数は多くもなく少なくもなく普通ですが、60mmでも中歯型だったりするので、大歯型はちと採りづらいでしょう。自己最大は65mm。7月でも8月でも採れ、9月でもまだいけるらしい。
 
7.硫黄島 65mm。これよりも、60mmクラスの中歯型の方がなぜか嬉しかった。真っ昼間にバナナトラップにて。

7.硫黄島 65mm。
これよりも、60mmクラスの中歯型の方がなぜか嬉しかった。真っ昼間にバナナトラップにて。


クロシマノコギリクワガタ
Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis Shimizu et Murayama 2004
体長. ♂31.0〜69.5mm, ♀25.0〜41.1mm(原記載より).
分布. 日本: 鹿児島県(黒島).

簡単な解説
 原名亜種に比べて次の点が違う。
○光沢がやや強く、特に上翅は強い。
○大腮は短く、湾曲が強い。
○足が細い。
 
採り方
 7〜8月がベスト。一周道路から島の中央部へ向かう中里林道が伸びているので、そこへ向かう。シイの原生林だらけなので、そこらじゅうにバナナトラップを仕掛けまくる。翌日にバナナトラップを見にいくとウマー。ライトトラップもかなーり有効ですが、月齢には気をつけましょう。個体数はめちゃめちゃ多い。自己最大は62mm。一晩しかやってないしー。
 
8.黒島 62mmくらい? 正確に測ってない。一泊強行採集にしてはそこそこ数は採れた。一週間くらいやってみたい産地。ライトトラップにて。

8.黒島 62mmくらい?
正確に測ってない。一泊強行採集にしてはそこそこ数は採れた。一週間くらいやってみたい産地。ライトトラップにて。


クチノエラブノコギリクワガタ
Prosopocoilus inclinatus kuchinoerabuensis Shimizu et Murayama 1998
体長. ♂25.8〜68.5mm, ♀19.2〜38.9mm.
分布. 日本: 鹿児島県(口永良部島).

簡単な解説
 原名亜種に比べて次の点が違う。
○光沢がある。
○大腮は細長く、湾曲が弱い。
○体型は細長く、頭部の幅が狭い。
○付節は細い。前脚脛節の外刺は弱く、中脚脛節外刺はほとんど消失する。

採り方
 一周道路を新岳の方へ行くと、シイの原生林になるので、その周辺でバナナトラップやライトトラップを仕掛けると採れます。個体数は多いですが、59mmでやっと大歯型になるので、大歯型はあまり採れません。7月下旬に採集に行きましたが、小型はいっぱい採れました。自己最高は59mm。
 
9.口永良部島 59mm。やっとこさっとこ採れたという感じの大歯型で、見つけた瞬間は唸った。ライトトラップにて。

9.口永良部島 59mm。
やっとこさっとこ採れたという感じの大歯型で、見つけた瞬間は唸った。ライトトラップにて。

 はい、ここまでがふつーのノコギリクワガタです。では、次はハチジョウノコギリ行ってみましょうか。
 

ハチジョウノコギリクワガタ
Prosopocoilus hachijoensis Nomura, 1960
体長. ♂27.4〜59.5mm, ♀23.0〜35.0mm.
分布. 日本: 伊豆諸島(八丈島).

簡単な解説
 もともとはノコギリクワガタの亜種として記載されたが、その後の研究で別種に昇格。全身真っ黒で太短く、大腮はあまり発達しません。大歯型が大珍品です。

採り方
 4月下旬〜7月まで発生していますが、ピークは5月下旬〜6月上旬。少しでも大きいのが採りたい場合は、GW明けくらいに行くといいかもしれない。バナナトラップやライトトラップでは採らず、もっぱら倒木をひっくり返して(材起こしと言う)採ります。以前(といってもホンの数年前)は個体数も多かったのですが、最近は個体数が減っている。50mmが壁で、サイズに関係なく大歯型を採ったらおおっぴらに自慢できます。自己最高は53.8mm。
 
10.ハチジョウノコギリ 53.8mm。全力で起こした大きな倒木の下に鎮座していた。ちょと感動だが、デブ過ぎる個体。もちょっとダイエットして長くなって欲しかった。

10.ハチジョウノコギリ 53.8mm。
全力で起こした大きな倒木の下に鎮座していた。ちょと感動だが、デブ過ぎる個体。もちょっとダイエットして長くなって欲しかった。

 次はヤエヤマノコギリです。ボクはこいつが大好きです。なかなか採れないところがグウ!
 

ヤエヤマノコギリクワガタ
Prosopocoilus pseudodissimilis Y. Kurosawa,1976
体長. ♂22.4〜63.5mm, ♀22.7〜33.4mm.
分布. 日本: 八重山諸島(石垣島, 西表島).

簡単な解説
 台湾のタカサゴノコギリの亜種とされてきましたが、別種に昇格。たしかに、タカサゴノコとは似ていない。60mmクラスの大型個体でも、第1内歯と第2内歯が離れた個体もいて、本土のノコギリやリュウキュウノコとはやっぱり違う。大きければ大きいほどいいが、第1内歯と第2内歯がくっついている方が大歯型っぽくて好き。55mm以上……いや、52mm以上が採れたら喜び勇んで帰ってヨシ。

採り方
 基本的にバナナトラップでは採れない。また、どこにでもいるわけでもなくて、海岸林周辺に薄く分布しているらしい。いわゆるポイントと言われるエリアにて、発電機を使用したライトトラップを行うのが一番効率が良い。ボクは40mm台しか採れませんでした。惨敗です。早い年で4月下旬には発生し、採集は6月中旬が良いようです。

 最後はメインディッシュのリュウキュウノコギリです。大きくて変異があってきれいで言うことなしですな。
 

アマミノコギリクワガタ(リュウキュウノコギリクワガタ)
Prosopocoilus dissimilis dissimilis (Boileau, 1898)
体長. ♂29.9〜79.5mm, ♀28.3〜40.4mm.
分布. 日本:鹿児島県(奄美大島, 加計呂麻島, 請島?, 与呂島?).

簡単な解説
 日本のクワガタの中で、1、2を争う立派なクワガタの1種。本土のノコギリクワガタを真っ黒にして大袈裟にしたような特徴を持つ(←かなりいいかげんな説明)。74mmクラスが採れたら満足しないと死刑。

採り方
鹿児島県・奄美大島:島全土にいます。標高も高い低いは関係ありません。バナナトラップでもライトトラップでも採れますが、バナトラの方がいっぱい採れます。ちなみに、ライトトラップの最大は74.5mm、バナナトラップでの最大は75mmでした。かつての最強ポイントであった金作原は、環境が変わっていないにもかかわらず個体数が減っており、もっぱら「ポイントとしての寿命が終わった」と言われているとかいないとか……(つまり、林道を切り開いた後の数年〜十数年かは倒木や立ち枯れが増えて個体数も増えるが、材の寿命とともに個体数も減るってこと)。梅雨明け2週間が勝負。
鹿児島県・請島:採れない(笑)。いることはいるので、興味のある方はぜひ行ってみてください。ただし、島の人は昆虫採集をする人に敏感に反応するので、ちゃんとなんらかの許可を得た方が良いかもしれませんね。奄美大島産とはやや違う特徴を持ってます。
 
11.アマミノコ 74mm。自己最大は75mmだが、一緒に行った知人が分け分けで持っていったので、自分のとこにある自己最大はこいつと74.5mmがある。こいつはバナナトラップだが、74.5mmの方はライトトラップにて。一緒に行った知人は79mmクラスをバナトラで採集。とーぜん、分け分けで持ってった。

11.アマミノコ 74mm。
自己最大は75mmだが、一緒に行った知人が分け分けで持っていったので、自分のとこにある自己最大はこいつと74.5mmがある。こいつはバナナトラップだが、74.5mmの方はライトトラップにて。一緒に行った知人は79mmクラスをバナトラで採集。とーぜん、分け分けで持ってった。


トカラノコギリクワガタ
Prosopocoilus dissimilis elegans (Inahara, 1958)
体長. ♂27.2〜74.2mm, ♀24.3〜35.0mm.
分布. 日本: 鹿児島県(口之島, 中之島, 諏訪之瀬島, 悪石島, 臥蛇島).

簡単な解説
 地味な色合いの多い日本産クワガタの中で、ムダにハデな色をしたクワガタ。ハデゆえに人気が高く、ボクも大好きなクワガタのひとつ。島によって形態がちょっとずつ変わっており、昼夜問わず活動している。東京から行くと、現地入りするのに確実に2日かかるという小笠原とどっこいどっこいの遠い島にいるので、行くだけでイヤになる。現在、十島村(トカラ列島)全域が昆虫採集禁止のため、当然トカラノコも採っちゃダメ。島によって付く木も変わるヘンな虫。

鹿児島県・口之島:ルッキングとライトトラップが主流の採集方法。ルッキングで採るにしても、タブノキの高所に付いているため目が良くないと採れません。ライトトラップも場所を考えないと、ほとんど採れないこともあります(経験済み)。梅雨明け2週間が勝負。67mmで満足すべし。
 
12.トカラノコ口之島 67mm。大腮も太くて気に入ってるが、上翅はちょっとシワ入ってる。真っ昼間にタブの高所から落ちてきた。

12.トカラノコ口之島 67mm。
大腮も太くて気に入ってるが、上翅はちょっとシワ入ってる。真っ昼間にタブの高所から落ちてきた。

鹿児島県・中之島:滞在時間3時間だったので、なんも採ってません。

鹿児島県・臥蛇島:無人島のため、普通は行けません。行きたい……。

鹿児島県・諏訪之瀬島:集落周辺でも採れますが、やはり御岳まで登った方が良いでしょう。バナナトラップもライトトラップもいけますが、ライトトラップの方がやや有利か? 7月中旬までやれます。61mmで満足すべし。
 
13.トカラノコ諏訪之瀬島 61mm。台風近づく中、ライトに飛んできてくれた大歯型。タブの高所にて65mmが入り、分け分けで知人が持ってった。

13.トカラノコ諏訪之瀬島 61mm。
台風近づく中、ライトに飛んできてくれた大歯型。タブの高所にて65mmが入り、分け分けで知人が持ってった。

鹿児島県・悪石島:基本的には島全体にいそうだけど、港の反対側(集落側)で採ってる人が多いです。島のほとんどは大名竹に覆われ、広葉樹を探す方がたいへんかもしれません。バナナトラップもライトトラップも効果あり(バナナの方が効率ヨシ)。ルッキングならカラスザンショウ。7月中旬までやれる。65mmで満足すべし。
 
14.トカラノコ悪石島 62mmくらい? あんまり測ってない。カラスザンショウの樹液にて採集。この時は68mm橙、67mm黒なんかが入ったが、分け分けで知人宅のコレクションに収まった。

14.トカラノコ悪石島 62mmくらい?
あんまり測ってない。カラスザンショウの樹液にて採集。この時は68mm橙、67mm黒なんかが入ったが、分け分けで知人宅のコレクションに収まった。


トクノシマノコギリクワガタ
Prosopocoilus dissimilis makinoi Ichikawa et Fujita,1985
体長. ♂28.7〜75.8mm, ♀28.0〜39.3mm.
分布. 日本: 鹿児島県(徳之島).

簡単な解説
 ハデがウリのリュウキュウノコギリの中にあって、イマイチパッとしない亜種。たぶん、他の島の亜種のように、「とびきり大きい!」とか、「とびきりきれい!」といった、特徴らしい特徴が見当たらないからじゃないかなーなんて勝手に思っています。その特徴ですが、アマミノコギリを寸詰まりにした感じです。色は赤褐色〜黒色まで出るので、色的にはアマミノコよりハデかなー。梅雨明け2週間が勝負。69mmでグッジョブ。

採り方
 島全域にいます。標高も関係なしです。ライトトラップもバナナトラップも効きそうですが、意外とライトトラップをやる穴場がないので、バナナトラップで採る人が多いです。とはいえ、徳之島へ行く人自体が少ないですけど……。
 
15.徳之島 65mm? これもあんまり測ってない。バナナトラップにて。もっと採れるもんかと思ってなめていたら、あまり採れずに焦った。

15.徳之島 65mm?
これもあんまり測ってない。バナナトラップにて。もっと採れるもんかと思ってなめていたら、あまり採れずに焦った。


オキノエラブノコギリクワガタ
Prosopocoilus dissimilis okinoerabuanus Ichikawa et Fujita, 1985
体長. ♂27.2〜64.3mm, ♀24.4〜30.0mm.
分布. 日本: 鹿児島県(沖永良部島).

簡単な解説
 ハデな色合いですが、あまり大きくならないという点で減点をくらってる亜種。個人的にはかなり好き。徳之島以北のノコギリは大腮の湾曲が強く、沖永良部島以南のノコギリは大腮の湾曲が弱い。徳之島と沖永良部島の間には、いったいなにがあると言うのでしょう? 謎は深まるばかりです。

採り方
 採ったことアリマセーン。タブのルッキングが良いらしいです。


オキナワノコギリクワガタ
Prosopocoilus dissimilis okinawanus Nomura, 1962
体長. ♂23.6〜70.4mm, ♀24.1〜34.9mm.
分布. 日本: 沖縄県(沖縄本島, 古宇利島).

簡単な解説
 オキノエラブノコギリを大きくして沈んだ色にした感じのノコギリクワガタ。それ以上でもそれ以下でもない(←なげやり)。64mm以上で行った甲斐あり。

採り方
 バナナトラップもライトトラップも効きますが、一番高率よく数多く採るには、ミカン畑のルッキングにかぎります。1時間で3桁イケル。ただし、ミカン畑には当然所有者がいますので、勝手に入ったら不法侵入で捕まります。ええ、捕まりますとも。あと、ほとんど四つん這い状態でないとミカンの幹にたどり着けません。ハブに出会ったら三途の川を渡りましょう。7月頭がベスト。
 
16.オキナワノコギリ 67.5mm。体長の割りに太くて気に入っている。こいつはミカンの木じゃなくて、外灯近くのヘゴの木にくっついてたのを叩き落とした。

16.オキナワノコギリ 67.5mm。
体長の割りに太くて気に入っている。こいつはミカンの木じゃなくて、外灯近くのヘゴの木にくっついてたのを叩き落とした。


クメジマノコギリクワガタ
Prosopocoilus dissimilis kumejimaensis Ichikawa et Fujita, 1985
体長. ♂24.7〜63.7mm, ♀24.5〜31.7mm.
分布. 日本: 沖縄県(久米島, 伊平屋島).

簡単な解説
 オキナワノコギリを寸詰まりにしたような体型で、伊平屋島産はさらにふとっちょになるという特徴を持つ。一言でいうならば、『ヒラタみたいなノコギリ』。オキナワノコギリのようなメリハリのきいた体型ではなく、ストーンとしたズン胴体型。意外と人気がある。59mmが採れたら褒賞が出ます(どこから?)。

採り方
 一泊強行採集をしただけなので、ライトトラップを一晩やり続けて数頭を採集した経験しかありません。バナナトラップやタブのルッキングの方が良さそうです。7月中下旬が良いとの情報あり。
 
17.クメジマノコギリ 54mmくらい? よく見てない。アーラ岳中腹でライトトラップをやったら飛んできたが、すでに触角が片方なくてショック。ぜひともリベンジしたい。

17.クメジマノコギリ 54mmくらい?
よく見てない。アーラ岳中腹でライトトラップをやったら飛んできたが、すでに触角が片方なくてショック。ぜひともリベンジしたい。


 以上でございます。こんなものを読んで、「う〜ん、これで自分も採れそうだ!」などと思う人は皆無だと思いますが、なにかしらのお役にたっても幸いじゃないです。実際の話、ハブに遭遇する率は低くとも存在はしているわけですし、自分自信、危険な目にあったのは1度や2度ではありません。もしハブに噛まれるとかガケから落ちるとかの危険な目にあっても、「インターネット見てたら簡単に採れそうなことが書いてあったんです」などとは、口が裂けてから言ってくださると幸いです。
 
 

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