クワガタを求めて・・・(魅惑のヤエヤママルバネ編)

爆走kozou・A


どうも爆走kozou・Aと申します。目標は全種全亜種採集・しかも特大個体です。
まだまだ未熟な僕ですが何卒お手柔らかに・・・
これは採集記って言うほど数も採っていないしはっきり言ってショボイ。暇潰し程度に思って読んでください。 
奈良の某大学農学部に通っている。学校の授業があるにもかかわらず単位なんてそっちのけ・・・
今採らないでいつ採るねん。授業はいつでも受けれるんだ。しかしクワガタはいつもその場所に居るとはかぎらない

「くわがた狂の大馬鹿者達」でマルバネクワガタの採集記を書くのは初めてということもあり「マルバネクワガタって何じゃい?」って方も居られると思うのでここで簡単にヤエヤママルバネクワガタの説明をしておく。


★ヤエヤママルバネクワガタについて・・・★
日本産タテヅノマルバネクワガタの原名亜種でタテヅノはまるでトナカイの角を思わせる。
石垣島・西表島に分布しており幼虫期間は3年〜5年ほどのようで幼虫時の餌は専らスダジイ等が赤腐れて土化したフレークである。
成虫は10月中旬より姿を現し始め個体数がピークになるのは10月下旬。

成虫は夜行性が強く夜間スダジイ等の巨木に付いている個体を採集する。果実トラップやライトトラップは皆無といってよいほど来ない。体色がほかのマルバネとは異なりブドウ色をしている。ライトに照らされたときにその体色がより赤く光るため「赤いマルバネ」ともいわれており非常に美しい。

ほかの地域のマルバネクワガタより比較的採集しやすいが特大個体の採集は他の島以上に困難を極める。
ある程度の経験があれば59ミリ位までの大歯型であれば比較的容易に採集出来る。
63ミリからは極端に数が少なくなり、64ミリあたりから特大サイズと云われる。ギネスサイズはは2002年に採集された69.2ミリのお化け個体で、それ以前の9年間のギネスは67ミリであった。
僕が採集している感じでは平均サイズは50ミリほどで中歯型が最も多いように思う。

また、ヤエヤママルバネクワガタの採集で厄介なのが毒蛇サキシマハブの存在である。噛まれて死には至らなくても酷ければ足などを切断などと言う可能性もあるので採集には細心の注意が必要である。


採集記

1年ぶりの石垣島。空港から出ると磯の香りが体中を駆け巡る。
今朝の大阪は非常に寒かったのだが石垣島はやっぱり暑い。しかしべたつかないので良い感じだ。
先日、先に石垣入りしている採集仲間のH君より連絡があった。
「おい 爆走よ〜 すげーの 採れたよ〜 でけ〜よ」 

これを聞いては居ても立ってもいられず、すぐにチケットを取り石垣へと飛んだわけだ。
早速H君に連絡を取り空港まで迎えに来てもらった。そこで採集品を見せてもらう事に・・・
僕の体は固まり自然と奇声を発していた。「で、でかいっ・・・」



写真はH君採集品。左から60ミリ・64ミリ・67ミリ

67ミリはでか過ぎる。はっきり言って羨ましい

そのタトウ紙には今まで見たことの無いようなボリュームのクワガタが収まっていた。
まるで日本産離れしたその個体は独特のオーラを放ち右端を占領していた。
「67ミリの個体だよ^^」と言われ更に驚き思わず立ち眩みを起こしそうになるのは僕だけであろうか…?


こうしていると居ても立っても居られずに早く夜になってくれることを願った。
夜になりやる気満々で山に入っていく。ところがやる気とは裏腹に山は乾燥化が進みフレークはパサパサ、それに追い討ちをかけるかのごとくあちこちに目立つフレーク堀りの跡・・・
テンションは一気に落ちてしまい、その後も気力で踏ん張ったがまともな個体にはお目にかかれず意気消沈して下山した。


翌日は採集する気すら起こらず、景気づけに寿司食いに行こうということになり、石垣牛のにぎりを始めマグロの大トロ・中トロ・ビントロなどを堪能し腹いっぱいになりながら床に就いた。

その翌日、別の島へ行くH君に別れをつげ、W大のM君とともに採集する。
「どんなやつかな〜? メガネかけたいかにもガリベンか?」と思い空港で待っていると出てきたのは結構イケメン君だった。
「ようよう こんなやつが来るとは・・・」と思い今まで行った島の話などを聞かせてもらい本日採集する山の予定を立てながら夜になるのを待った。
その間も採集とは全く関係ない話を聞くと彼は1年間ご無沙汰なようである。

夜になり準備万端、山に向かうことにした。持ち物はお馴染みナショナルハロゲンライト、ナショナル蛍光灯と長竿である。
最初のポイントへようやく頂上まで登り採集を始める。一本ずつ発生木らしきものを見ていくも中歯・小歯はポツポツついてはいるもののお目当ての大歯型は姿を見せない。



写真はヤエヤママルバネ小歯型

発生木を徘徊していた。

「全然おらへんやんけ〜 こんなんやったらギネスはおろか60ミリも採れへんで〜」ろくな個体を得られないまま時間は過ぎ、見切りをつけて移動することにした。

小さめの川を横切って登っていく途中、一本の木が気になった。程よい高さにぽっかりと大きめの洞が開いている。顔をいれて覗き込むと穴の中に怪しい赤い物が照らし出された。「何や?ゴキブリかな〜?」 角度を変えてもう一度覗き込む。「お 大歯型や まーまーデカイな」その個体は出てきたばかりなのか目の縁どりも尖っていて光沢が非常に強い。

少し離れた場所で探していた同行のM君の所へ行きそれを手に乗せた。「ほら、大歯型や」 
M君は初めて見る大歯型に感動して「かっこいい〜 マジカッコいい」を連呼していた。
僕は「61ミリくらいやろ」といいながら毒ビンへと放り込んだ。 
その後も中歯型や小歯を採集した。今年は昨年に比べサイズが小ぶりのようだ。

それからも迷いながら採集を続け、どうにか元に戻れる場所までたどり着いた。下る際にさっきの個体を採集した木を見るも追加個体は得られなかった。

その少し奥に生えている木が気になって、知らず知らず僕の足はそちらの方へ向いていた。
木の周囲を丹念に照らして行くもマルバネクワガタの姿は無い。
「この木は発生してないのかな〜?」 ふと上を見上げると高いところに洞があるのを発見した。

穴の中に何か居そうだと直感的に思った僕は木をよじ登った。ナイトウォーカーズのリュージョンさんであればこんな木登りはお手の物なのであるが、僕は昔から木登りが苦手なため結構てこずりながらもようやくそこにたどり着いた。

穴の中をライトで照らすと僕のこと待っていたかのように大歯型のマルバネクワガタがこちらを向いて静止している。先ほどの個体より大きい。僕は手でわし掴みにして木を降りた。
「う〜ん 63ミリ位かな〜」
やはり64ミリ以上を手にしなければ本気で喜べない。

少し離れたところで採集していたM君のもとへ行き彼の手に乗っけると、またしても「さっきのより一回りデカイですよ。すげ〜」と言って興奮していた。しかし彼はそれ以上に、大型の大歯型を採集したにもかかわらずあまりにもテンションの低い僕に驚いていたようだ。

M君が「嬉しくないんですか?」と問いかけてきたので「嬉しくなくは無いけど別にとびきり嬉しいわけでもないわ」と僕は答えた。

初日でかなり疲れてるからこの辺でやめにして下山することにした。
ふと時計に目をやると時刻はAM4:00を示していた。夕方19時に山に入ったことを考えると、9時間近く採集していたことになる。

ふらふらになりながらも無事に宿までたどり着き、採集した大歯型を計測しようとノギスを取り出した。
まずは最初の大歯を測ってみる。61ミリと思っていた個体はとんでもない計測ミスでなんと63ミリを示している。僕達二人は顔を見合わせた
「こいつ結構でかいやん これが63ミリやったらデカイほうは何ミリあるんや?」
次いで大きいほうを測ってみる。手に汗がにじむ。64ミリをあっさり超えて、65ミリを少し超えた所でノギスの目盛は止まった。
「でけ〜 まじでけ〜」僕は大声をあげ狂ったかのような奇声を発した。




写真が65ミリの特大個体 最初は小さく見えた。 

この旅で初めて興奮した瞬間であった。僕は63ミリをM君にプレゼントした。M君は大層喜んでくれた。



写真は65ミリと63ミリの個体


この後も採集を続け、いくつかの大歯型をはじめ50頭ほど採れはしたものの(不完品は全てリリースしているので除く)初日に採れた個体におよぶものはなく今回の採集は終了した。

また今回の採集中にサキシマハブを6頭確認した。中には金色や赤い色をしたサキシマハブも居て結構感動した。



写真は55ミリの大歯と57ミリの中歯
今年は中歯の大型が多かった。

他の種では、ヤエヤマネブトは採集できたのは♂のみで、M君が26ミリの大歯型を僕が27ミリの大歯型を採集した。昨年の28ミリ後半の特大個体には及ばなかったものの、かなり大型のサイズを得ることができた。その他キンケビロウドやキボシカミキリなどを採集することができた。チャイロマルバネクワガタは今年は裏年で採集困難なため来年に期待することにした。



65mmを越えている

特大個体を採集したときの感動はお金で買えない価値があると思う。是非皆様もクワガタの特大個体を得てこの言いようの無い感動と喜びを実感してほしいものだ。標本箱を見るたびにその時の感動が何度も蘇ってくるであろう。


★後を絶たないフレーク堀り★


ヤエヤママルバネクワガタをはじめマルバネクワガタは近年減少の一途をたどっており、幼虫・繭玉採集を目的とした「フレーク堀り」が減少の大きな要因である。
フレークを掘る事=マルバネクワガタの発生源を潰してしまうことになるのだ。

幼虫の生態を見たい・繭玉を採集してより多くの個体を得たいと言う気持ちも解らなくは無いが、発生源を潰してしまっては元も子もない。

今年は昨年に比べより一層フレーク堀りの痕が目立ち、昨年僕に多数の大歯型を提供してくれた木は見るも無残な姿に変貌していた。

このような事が続けばいずれは絶滅してしまう。このような事が少しでも改善されいつまでも大自然の中でマルバネクワガタが採集出来る事を祈りつつ石垣島を後にした。



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