宮城ヒメオオ採集記
−ヒメオオは一日にしてならず・・・−
 
ishi


ヒメオオを採ってみたい・・・それも自分で探したポイントで・・・

これまでは採集といえば夜の街灯めぐり(たまに樹液&トラップ)だったのですが(それはそれですごく楽しいんですが♪)、北海道での感動的採集以来ずーっと気持ちの中で高まっていました。
ただクワ達が向こうから飛んできてくれる街灯採集以上に、こちらから家庭訪問する樹液採集は自分にとって経験やスケジュール面でハードルが高いものがあります。
しかし北海道での採集経験と、昨年には宮城でもヒメオオ採集に同行させていただく機会があり、ネットなどの情報もあわせると決してゼロからのスタートではありません。(実績のある方と採集に行くのは本当に勉強になります)
あとは自分自身の足とアイデアと時間とその他もろもろを総動員してチャレンジあるのみ!
本来ならばミヤマ、ノコ、カブト、コクワ、etcも探したてみたいところですが時期的にヒメオオ一本狙いです。
肝心のポイントについてはあくまで自力での探索が目的なので、宮城県にもメジャー?なヒメオオポイントがありますが今回はあえてそこを避けて考えます。(実績のない初心者にしては無謀というか大胆不敵ですが(^^;)
まあ単に新規開拓が性格的に好きだということなんですが(^^ゞ
で、地図を眺め、林道やオフロードツーリングのサイトを覗き、自分なりに情報を整理し、林道の走行条件等々照らし合わせてポイントを絞り込みます。
この地図とにらめっこしながら思いを馳せている時がまた楽しいひと時だったりします♪


8月22日
この日は以前からクワ友さんと灯火採集予定だったですが、地域的にもヒメオオ探しを目論んでいた所に近いこともあり、家族のOKも出たので(いつも昼は家族サービス、夜は採集という条件だったので(^^;)ならばチャンス!とばかり日中ヒメオオを探索してから合流することにしました。
夜からご一緒する予定だったHIKAKAさんとpikapikaくん親子も声をかけると同行してくれることになりました。(^^)
pikapikaくんはまだ小学1年生ですがクワカブに対する熱意にはすごいものがあり、採集根性もあるし、外国産に関する知識など私などとても及びません(^^;
HIKAKAさん宅へお迎えがてらお土産にと北海道産ヒメオオ&エゾミヤマペアを持参すると、特に生きたヒメオオは初めてとのことでことのほか喜んでいただけてなによりでした(^^)
そういう自分もヒメオオを生で見たのは昨年春のことでしたが、やっぱり気になっていた虫を初めて見た時って感動しますね♪♪
HIKAKAさんとは色々と採集やオフ会等でもご一緒しており、特に今回は初のヒメオオ採集ということでpikapikaくんも気合はいりまくってます。(採れるといいねー)
ただ知ってるポイントへ採集に行くのとは違い、まったく未知の所を探索するのでどうなる事やら期待と多少の不安を乗せて出発するのでした。

今回狙いをつけているポイントは宮城県を大きく見ると南側地域の温泉地を抜ける道路と、山地の尾根沿いを走る林道で、標高的には500−700m超くらいの所です。
標高だの樹木だの周辺環境がどうなのか等々、結局は行って見なければわからないのでこれも勉強勉強!!

さて最初のポイント(と思われる)をルッキングに入ります。地図上ではいい感じに思えた地域で、実際にブナ、ナラの目立つ山間の道路沿いに適度にヤナギも見られ、標高的にもそれなりに良い感じに見えます。
一応経験者ということでヒメオオルッキングの方法などアドバイス(!?)しつつ、みんなでひたすら見てまわります。
しかし、黒い影は全然見当たりません・・・
一応ヤナギ以外の樹木にもそれとなく目配りはしているもののやはり見あたりません・・・・
枝の噛み跡すらも見当たりません・・・うーん

宮城の夏は短い

そう簡単には見つからない・・・


そう簡単に見つかると思ってはいませんでしたが、結局最初のポイントではボーズに終わってしまいました。
ちなみに昆虫といえば枝にアブが1匹止まっているのが見られただけでした・・・。
まあアブが見えたということは、もしクワがいてちゃんと見つけられるだろうと都合の良い方に思うこと(^^;
次の林道に移動し、標高5、600m位の山地の尾根沿いをひたすらにルッキングしていきますがやはり見つかりません。・・・結局午後半日かけて見てまわりましたが完全に空振りでした(;_;)
pikapika君は泣きそうなくらいがっかりしてました・・・(ごめんね次は頑張ろうね)

夜になってクワ友のいとうさんの灯火採集に合流しました。
道路の温度計表示が18時半くらいで16℃を指すなどかなり気温が低い中、ミヤマ2♂1♀、コクワ1♀、アカアシ1♀、ダイコクコガネ1♂が飛んできてくれました。この条件を考えればまずまずの成果だったのではないでしょうか。
またミヤマ♂は2匹ともエゾ型でした。やはり標高的&気候と関係あるのかな?
なかなかのサイズでカッコ良かったです♪

灯火採集もやっぱり楽しい♪

この条件ではまずまずの成果


落ち込み気味のpikapikaくんもすっかり(^^)になって良かった良かった(ホッとするおじさん達でした)
いとうさん毎度どうもでした♪
帰りがけに途中の街灯ポイントをチェックしましたがカブト1♀のみでした(^^;
日中はともかく日が落ちると急激に気温が下がる気がします。
そろそろ宮城での灯火採集も終わりのようですね・・・。


8月29日
午前中時間ができたので少し迷った末、先週空振りしたポイントを再チェックすることにします。
朝から天気が微妙な感じだけれど、それよりも気温の低さが気になるところです。実際道路端の温度計で9時現在15℃を下回っている。
これはきびしいな・・・
今回は噛み跡の一つも見逃さないようにと少し念入りにルッキングしますが、やはり全然見あたりません。
分岐する登山道にもチャレンジするつもりでしたが、降り出した雨に加え濃霧となり相変わらず低い気温にあえなくギブアップ(>_<)

ここまで正直なところ、ある程度の標高と樹木などの条件が揃えば、あとは一生懸命探せばなんとか見つけられるのではと考えていたのですが、それが甘すぎる考えだったことを思い知ったのでした・・・
1.クワガタが居ないから見つからない
2.クワガタは居いるけど見つけられない

この差はとてつもなく大きい(うーん)
自分の採集眼にまだ自信が持てないこともあって、ポイントに見切りをつけるか粘ってみるか非常に悩みどころです・・・。


9月18日
さあいよいよ3度目の正直。
さすがにポイントを見直し別地域を狙う予定です。
今回もご一緒いただくHIKAKAさん宅にお迎えに立ち寄りまずは作戦タイム。
どうやらHIKAKAさん&pikapikaくんもすっかりヒメオオ熱に憑かれてしまったようです(^^)
あらかじめ見当を付けて置いた地域をいくつか検討しますが、環境、移動距離、普通車での走破性、戻り時間などなど含め考えつつ、HIKAKAさんが以前フィールドワークで経験のあるという林道に決めました。
スーパーくわ馬鹿キッズのpikapikaくんも当然一緒にチャレンジです。
(今後は採れるといいね♪ っていうか採りたいよぉー!)
それぞれの思いと微妙なプレッシャーを乗せつつも楽しい採集車はいざポイントへ。
林道入り口に到着。問題なく入って行けそうです。
そこからひたすら走りながら標高を上げ、ヤナギを中心にルッキングを続けます。
渓流釣りの人達が入っているようですが、さすがに虫採りはいないようです(^^;
路面がそれなりにラフなので遅めのペースで時間をかけてそれなりに距離を走りました。
1時間ほど走りヤナギが群生しているのが目に入りました。
早速チェックを始めてまもなく、最初のヤナギ上方先端の枝分かれする部分で少し違和感を感じました。大きくはないけどなにかコブか何かついているような感じです。
遠目なのと影でよく見えないので、とりあえずタモ網でもとってきてみようかと視線を移すと自分の右手やや上方の枝にクワ♀がついているのが目に飛びこんで来ました。
「いたっ!」
この角度からも腹部の赤いが分かります。アカアシクワガタの♀です。
「アカアシいましたよぉーっ」っと声をかけしてpikapikaくんと観察後、いざ採集に入ります。
手を伸ばせば届きそうな位置ではありましたが、タモ網を下からあてがうように近づけていくと、
いきなり! ぽとっ っと枝から落ちましたが(一瞬汗)、上手くネットインしてくれました(^^)v
「やった!やっと、やっとルッキングでクワガタを探し出したぞ!」
そうなると先程の違和感のあった影もクワガタに間違いないと確信します。
高くて見づらい位置でしたが、慎重にタモ網を寄せて無事ネットイン!
30mmもないような小さなアカアシ♂でした♪

ルッキングはつづく

記念すべきアカアシ♀

アカアシのいたヤナギ


「いたよ・・・いてくれたよ・・・」
本命のヒメオオではないものの、このアカアシ達には本当にうれしかった♪
アカアシを採集してこんなにうれしかったのはいつ以来の事だろう・・・
外灯での採集だったらきっとリリースしていたと思うのですが、記念すべき個体なので大事にケースに入れます(^^)
このポイントではもう1匹アカアシ♂を見つけましたが、残念!取り逃がしていました。
でも自分の採集方法に正直不安になっていたので、この探し方で大丈夫なんだと安心すると共に非常に心強くなりました(ほっ)

さあこれで俄然盛り上がってきたのでこのまま勢いをつけて行きたいところですが、なかなかそうは簡単には見つかりません。
自分じゃなくてもいい、このメンバーで誰かが見つけられれば・・・
車内のそんな思いを乗せさらに1時間ほど走り標高は700mを超えた所でした。

「いたっ!!」
HIKAKAさんが叫びます。
「えっ!?」
悪路に気を取られ運転に集中していたのでそこだけ見てませんでした(^^;
早速車を止め戻りつつヤナギに近寄ると確かにいます。
アカアシ♂♀が枝にとまっていました。

標高は700mを超える

ヤナギ上のアカアシペア

ヤナギに残る噛み跡(これが目印)


「おーなかなかいい感じのアカアシだ」と、ふとすぐ上を見るともう1匹・・・・
「ヒメオオ・・・」
まさにヒメオオ♂がたたずんでいました。
HIKAKAさんも気づいたようです。
「やった!ヒメオオだ!!」
みんなでやや興奮しつつ(^^)しばし観察していよいよ採集します。
まずはアカアシペアを慎重にタモ網で難なくゲット!
そしてヒメオオは手を伸ばして掴もうとした瞬間“ぴょんっ”と自分から手のひらに飛び込んで来てくれました♪
(ラッキーでも内心ちょっとビビリました・・・よかったキャッチできて(^^;)

ヤナギにたたずむヒメオオ♂

ついにゲット!!

ヒメオオとアカアシのいたヤナギ(中央)


うれしさ大爆発のpikapikaくん(良かったね♪)、自分もHKAKAさんと喜びを分かち合いながらしみじみヒメオオを眺めます。
(嬉しいというかむしろ安堵感の方が大きかったかも)
いかにもヒメオオらしいきれいでカッコイイ個体でした♪
折角なので♀も見つかればと思いさらに付近をチェックし何カ所か噛み跡の傷は確認できたもののクワの姿は見あたらず、結局その後は姿を見ることなく麓へ下りました。
でもあそこでHIKAKAさんが本当に良く見つけてくれました。ファインプレーものです!!
まさにチームワークの勝利でした(^^)v
ヒメオオはpikapikaくんが飼育することになりました。よろしくね(^^)/
採集結果 ヒメオオ1♂、アカアシ2♂2♀

結局自分にとってこれが今シーズン最後の採集となってしまいましたが、実に充実感のあるシーズン終了となりました。
でも今回を含め様々な採集経験は来シーズンに向けて良い勉強になったと思います。
ヒメオオのいる環境も少しずつわかってきたような気がします。(まだなんとなくですが)

あとやっぱりラフロードを苦にせず走破できる車がいいですね。林道の奥に入って行く時の安心感が違います。
ちなみにわが採集車デミオGL-X(FF、最低地上高135mm)は、3度の林道でボディ両側面はブッシュで無数の擦り傷だらけ、下擦りまくりでマフラー留め具がずれたり、タイヤがはずれそうになったり(ネジが軽く回るほどゆるゆる)と、ラフロードの厳しさを実感した次第です・・・
でも、このルッキング採集の面白さ楽しさはもう止められませんね(^^)

ishimail

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