この一年、こんなに馬鹿に磨きが掛かった

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 展足されている夢を見ました。いわゆる金縛り状態ですね。意識はしっかりしている(つもり)のに体が言うことを聞きません。高校生の時以来でしょうか。こういう場合良く聞く話で、体の上に“見たことのない婆ちゃん”が正座をしていた、というのがありますが、私の場合周り一面を“まち針(?)”で固められていたのです。美しい死体処理法の影響でしょうか?いずれにしてもクワ馬鹿の副作用であることに違いは無いでしょう。目が覚めてみたら、子供を寝かしつけるために、両腕に2歳と5歳を腕枕していたのでした。皆さんもお気をつけを。

 今年の夏、日本に帰国した際、“くぬぎ純太くん”を購入しました。私は仕事の関係で香港に在住しているので、こういった飼育用品は帰国した際に購入するか、知り合いに送ってもらうかしか入手手段がないのです。去年は新成虫(或いはくれた人の勘違いか?)の筈のオオクワが24匹も子供を産んだため、3袋購入しましたが全く足りなかったので、今年は8袋購入しました。他にドラゴン氏に頼まれた分も7袋、本当は10袋くらい購入したかったのですが、店に在庫が15しかなかったのでこのような配分になったのでした。

 これにさらに産卵木等を入れたら、中身よりも送料の方が高くなってしまいました。これだけ勢い込んだせいでしょうか? 今年は全くの期待はずれ。オオクワは5つしか採れませんでした。おまけに新成虫はばたばた死ぬし、ヒラタ(オキノエラブ、ツシマ、台湾)もゼロ。期待のマレーシアのお土産もダメでした。純太くんはまだ6つ手つかずで残ってます。

 『しかし、北米では年々少くなり、小さくなりつつあるが、これは乱獲によるというよりは、内陸部の産卵場所が“開発”や“汚染”によって犯されつつあるためと見られる。聖書以前と言いたい白昼の決闘をたのしみたいとあれば、コスタリカのカリブ海側へいけというのが世界じゅうの、いささか品は悪いけれど、誰にもグッとこたえる表現でいえば、キンタマのある釣師のあいだでの通り言葉になっている。ことにアメリカの男たちにとってはそうである。コスタリカ海岸がアーケイディアであり、メッカである。』−開高 健著−“オーパ、オーパ”コスタリカ篇 集英社文庫より

 魚釣りのことを記した一節ですが、クワガタムシの場合はどうでしょう?。やはり「年々、少くなり、小さくなりつつある」し、「産卵場所が“開発”や“汚染”によって犯されつつある」のではないでしょうか。クワガタムシに限らず、人間―人間のコントロール下にある一部の家畜も、―以外の生物は皆、同じ道を辿りつつあるのでは....こんなことを考えても、個人としては仕方のないことだとは思いますが、やはりそこは馬鹿なので考えてしまうのです。  

 一方「アーケイディアであり、メッカである。」方にも考えが至るのは時間の問題です。その一つが私の場合、マレーシアのキャメロンハイランドでした。(実は、もう来年どこに行こうかと検討中ですが。)考えただけではなく、実際に行ってしまうのがやはり馬鹿。(クワ馬鹿9月号をご参照下さい)

 しかし、そうたびたび行ける場所ではありませんね。だとすれば、通信員を置けばいいではありませんか?
くだんのホテルのマダムに、お礼を装った手紙で話を持ちかけましたところ、快諾を得ましたので早速採って送ってもらいました。マダムが毎朝散歩する際、電灯に飛んできた虫を拾って送ってくれるのです。第一回目はアンタエウスのオス366_,52_,48_)を筆頭にアカノコギリオニツヤ、テナガコガネが入っていたのですが、残念ながら空気穴が開けてなかったので全滅。
気を取り直してもう一度と、くどくどお願いしましたところ、今度は空気穴は開けてあったのですが、やはり全滅でした。現地から香港までの所要日数は3日です。どうすれば生体が入手できるのでしょうか? どなたか良いお知恵をお貸し下さい。



P.S.

同封されてあった手紙に、クワガタに手を挟まれて血が出たと書いてありました。

あんまり罪のない人を巻き込むのはいかがなものでしょうか!


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