タナボタ採集記

がっちゃん


 夏のシーズンを終え、秋に向かって飼育の方も一段落した頃、大変な事に気づきました。
幼虫を飼育するための材が無い!!
毎年山に取りにいっていたのですが、今年は妻の出産があり、とても材取りまで気が回りませんでした!そうこうしているうちに、とれた幼虫が500匹以上!!ストックしていた材も、アッとゆう間に満員御礼状態で、このままでは、来年の放虫問題に関わってしまいそうです。そこで、一興を興じて材取りへ出かけることにしました!! 時に1998年9月5日。

 これまで、何回かオオクワガタを取り逃がしている大阪の某所へ、材取りの下見を兼ねて出かけました。
まだまだ夏が終わったばかりで、めぼしい木には、ノコ、ミヤマ、ヒラタ、コクワ等が、秋に備えてか樹液を吸っているのが目に付きました。しかし、きょうの目的は材取りなので、採集はせずに材探しに集中することにしました。

 探し回ること約30分、あちらこちらに適当な材を見つけたので、山の管理者を訪ねようと、車を止めてあった公園の片隅を何気なく見ると、「そう言えば、去年ここらでオオクワガタを取り逃がしたな〜!」と思い出し、この辺も見ておこうと、公園裏の雑木林に分け入ってみると、物の5分位の所に、立派なカワラ材を発見!! 高さ7m位で、直径30cm後半の木の全体を、カワラ茸が取り巻いています。回りを散策しても、カワラ茸が廻っているのは、この木だけのようです。
私は、「ひょっとして!!」と思い、すぐに公園の管理をしている事務所へ行き、木の持ち帰りの相談をしますと、「どうぞ、持って帰って下さい。その木は枯れているので、焼却処理が決まっていますから。」とのこと。
さて、木を持って帰るのは良いのですが、元来腰痛持ちの私一人の力では、どうにもなりそうにないので、一度帰宅して思案することにしました。

 あの長さでは、ピキングタイプの車がなければ無理と判断し、以前材取りを一緒にしたことがあるクワ友達のN森氏に連絡を取り、ご同行をお願いすると、詳細を説明することもなく、快く引き受けてもらえました!
さっそく、その日の夜に決行することにし、N森氏の提案で、若いクワ仲間のKJ君も同行することにして、午後9時頃我が家に集合。三人拠れば文殊の知恵状態と、自分勝手な事を考えつつ、現地へ向かいました。

 午後10時に現地に到着。
私が案内すると、N森氏とKJ君はあまりのカワラ材に驚きの声を上げています。早速、木を取るためにノコギリをN森氏が木に入れると、簡単に切れます。
KJ君がN森氏に、「大丈夫ですか?」と聞きますと、「ホダ木を切っている感じです。」と言っている間に切り取れました。とりあえず三人掛かりで車に乗せ、街灯下で持ち帰るのに適当な大きさに切ることにしました。
取ってきた材を、50cm位に切ってゆきます。すると、材からコクワガタの雌の成虫が出てきました。
が、残念な事にノコギリで傷ついていたため、取り出し直後に☆!!さらに、コクワガタの幼虫も出てきましたが同じく☆。4本目を切っているとき、N森氏が顔色を変えて私を見ます。
私が材を見ると、何とオオクワガタの3令幼虫を切ってしまっているではありませんか!!
N森氏、KJ君、私と三人で顔を見合わせ、「やってしまった!!」と落胆してしまいましたが、「とりあえず今日は材取りだから!」と、やたら慎重にカットして行くN森氏を偉大だと感じたのは、私だけだろうか?

 そうこうして材を確保できたので、その日はそのまま解散しました。
取れた材を、幼虫埋め込みのために、天日で殺虫兼殺菌をするために、バルコニーで2日ほど置いていると、材の切り口に大きな食痕が出来ているではありませんか! しかもそれが、6本も!
食痕が出ている材を急遽割ってみると、何と中からオオクワガタの幼虫が6匹も出てきました!やはり、オオクワガタが入っていたのです。

 今回は、材不足から材取りをしたはずなのに、その材からオオクワガタが取れてしまい、さらに材不足に拍車をかけてしまうという、まさにオオ馬鹿ぶりを発揮した私でした。


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