クワ馬鹿進行形

by えりー


馬鹿が進む過程
この1年で「馬鹿が進んだなあ」とお悩みの諸兄は数多くいると思う.私もご多分に漏れずその一人であると思うのだが,少しだけ他の人と違った過程に進みつつあると思う.まあ,クワ馬鹿のひとりには間違いないだろうし,こういうクワ馬鹿もいるということで,この1年の「クワ馬鹿が進む過程」をモノローグとして綴ってみたい.


昨年7月
今思えばこれがすべての始まりだった.日付は忘れてしまったが街は夏休みの雰囲気を醸し出していた1997年7月の某日,駐車上のライト下でカブト虫の♀を拾った.初めは子供の頃の虫キチの思い出に浸ってちょっとだけメランコリックな気分で飼育した(というよりただ単に小プラケに入れた).さらに,近所の山路の灯火下でノコギリクワガタやミヤマクワガタ,樹液でコクワガタ,カブト虫を追加していったが,これらをすべて1個の中プラケに同居させていたのである.その後カブト虫に踏み散らかされているクワガタ虫があまりに不憫で,ノコギリはペアにして小プラケに,ミヤマは歩き回れるように大きい容器に入れ換えた.しかし,多くのミヤマはじめ種々のクワガタ虫が凶暴なノコ♂に殺られていたのはいうまでもない.


Fig.1 1997年7月

昨年8月
8月になってどうしてもオオクワを飼育したくなった私は,遂に購入という手段にでることにした.これはあらがうことのできない運命なのだということが私には分かっていた.まず,幼虫を4匹購入した.なにも分かっていなかったがとにかく買った.フィルムケースに入って届いた2齢幼虫はすでに採集していたコクワの終齢幼虫より小さく(そりゃ当たり前だ)ちょっとがっかりしたのを覚えている.彼等はこの夏までに羽化して(小さな)オオクワガタになった.


Fig.2 購入第一号のオオクワの幼虫

さて,このままでは来年もペアリングはできないということに気づいたのはそれからしばらくしてからであった.どうしようか?ちょっとだけ悩んで成虫ペアの購入を決めたとき,少し熱があったに違いない.60mm♂+40mm♀,飼育セット込みで1万円也.晴れてこのオオクワペアには97001, 97002というシリアルナンバーが付けられ,ケースには97A(今年になってから98Aに変更)という名前が付けられた.彼らは現在も存命でおそらく来年も産卵してくれるだろう.


Fig.3 オオクワ成虫のナンバリング.記念すべき001と002.

今年11月

1年以上ふっとんでしまったが,途中には「わたしはこうして馬鹿になった」の記事にあるように書庫だった部屋を一部占領して飼育部屋としはじめた.さらに,自作温室を1月に導入し,通年飼育もできるようになった.そして,今現在の状況は以下の通りである.所狭しと大プラケが畳の上に5段,6段と積み上げられている.実は,これでも大プラケは整理したほうで,越冬のために♂♀を分離して小プラケあるいはミニプラケに移した後なのである.餌は段ボール箱入りのものが底をつきかけているのも頷ける話しである.もっとも見てお分かりのようにこの状況はすでに私の飼育限界を越えている.新しい飼育部屋を開拓しないことにはどうしようもない.


Fig.4 現在の飼育部屋.

一番困っているのが幼虫の飼育ビンの置場所である.ずらっと並んでいるのはいいが万が一落としたり,割ったりするのはごめんだ.最近,900mLボトル用に3段押入ロッカーを購入した.おそらくこれは多くの飼育愛好家が利用していると思う.この中でオオクワ成虫を飼育しているひともいるくらいだ.これで,安全かつ掃除のときの移動も楽になった(段ボールは腰を悪くする).見た目にもすっきりしたが,すでに満杯なのでもう一つ購入しなければならない・・・.


Fig.5 ビンの保管

そして・・・
そして,このクワ馬鹿はどこへ行こうとしているのか定かではないが,どうも飼育は続けるらしい.しかし,私は新たなるクワガタ虫の楽しみ方を見つけてしまった.それは5月号で報告したコルリクワガタはじめ,種々の高山帯クワガタ虫の採集・蒐集である.たかだか1cmの虫を集めて何が楽しいのだ?と思うかもしれないが,楽しくて仕方ないのだから誰にも止められない.今月号の採集報告を見て貰えばいかに私が馬鹿であるか良く分かるはずだ.最近,福井県立自然史博物館が中心になって活動している福井昆虫研究会という虫屋の会にも入会した.来年,自分がいったいどうなっているのかが楽しみで仕方ない.


Fig.5 まだ数は少ないけど石川県・福井県産コルリクワガタの標本


目次へ戻る