奈良オオクワセンター即売会潜入報告!

Jimmy


 行ってきました、奈良オオ即売会!
それは、それは、想像を絶する盛況で驚くばかりでありましたが、年に1〜2度ぐらいはこのぐらいのイベントがあっても良いなと思いました。
これは、その時の潜入報告です。細かいところは覚えておりませんが、どうかご容赦を!

 9月のある日、仕事を終えて帰宅すると、食卓の上には例の奈良オオの黄色い封筒が、さりげなく置いてある。「おお〜、また届いたか!」とばかり、私は着替えも早々に封を切った。
と、そこにはプライスリストならぬ、『即 売 会』の文字が、これでもかと言わんばかりに輝いているではないか!

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即売会のチラシ


「とうとう来たか、前々からやると言っておきながら、いったいいつになるのだろう」と疑っていた私の心を払拭するように、それは突然やって来た。

 食い入るようにチラシに目を通すと、生体が1万頭出ると書いてある! 何々、グランディスが300ペア! 国産オオクワ1000頭、アンタエウス1000頭、人気のヒメオオもあるぞ。ダールマンツヤクワがペアで2000円。飼育材料はと言うと、埋め込みマット50リットル入りが1000ケース。しかも、たった1000円! クワマットも300ケース。 その他、各種飼育材料や標本、ビデオ等.........
良くもまあ、これだけの数を集めたものだと驚くばかりで、晩御飯を食べるのも忘れて読みふけってしまった。
よくよく見ると、生体は外国産クワガタが主体のようだ。やはり、これもブームと言うか時代の流れなのだろうか。その方面に詳しくない私は、あまり購入するものがないように思えたのだが、やはり年に一度と言われる即売会で、しかも初めての開催と聞くと、何となく雰囲気を確かめるためだけでも、出かけてみたい気がする。
しかし、購入するものがない。 でも行きたい!!!

 そんなこんなで、心が揺れ動いたのだが、結局誘惑に負け、行くことに決定!
目的地が奈良の橿原なので、自宅から車で最低1時間半はかかる。即売会の時間は午前10時。
余裕を見て、午前9時に到着するには、朝7時半に出なければならないが、朝の弱い私としては、これはなかなか厳しいスケジュールである。
しかしながら、幸いと言うか悪運が強いというか、何と私の嫁さんの実家が、即売会場から車で10分ほどのところにあると言うウソみたいな事実! もちろん、これを利用しない手はないとばかり、前日から泊まり込んで行くことに決め、万全を尽くすことにした。

 さて、いよいよ当日、車で奈良オオクワセンターを目指して出発した。天気も快晴だ!!
即売会のチラシには、会場周辺の地図も詳しく書かれていたが、実はこれまでも奈良オオクワセンターの前を車で何度か通ったことがあるので、地図など見ないでも迷わないほど、このあたりの道は熟知している。
下の写真は、今年の5月に撮影した奈良オオの写真だが、外観からは、とてもこの中にクワガタが養殖されているとは思えない。当時は住所をたどりながら探したので、私も疑心暗鬼だったが、よく見ると建物の前に使い古した飼育ケースがあるではないか! やはり、ここだったのだ。

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奈良オオクワセンター(1998年5月)

 話がそれたが、予定通り9時ちょっと前に現地に到着した。そしたら驚いたことに、既に数百人の行列が出来ているではないか。
ある程度の予想はしていたが、あまりの人出にびっくり。読みが甘かった!
これならば、午前6時ぐらいに来ておけばよかったかなと後悔したが、後の祭りである。
果たして、目的のクワガタは手に入れられるのだろうかと、否応なしに不安が募る。

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会場周辺の行列

 まあ、この期に及んで心配しても始まらないので、ひとまず車を駐車場に入れたが、居並ぶ車のナンバーを見てまたまた愕然!
近畿一円は言うに及ばず、静岡、新潟、愛媛、広島、福岡、千葉、宮城など、ほぼ日本国中から、ここ奈良の片田舎である橿原に来ていたのである。
そこまで金と時間をかけてやってくる人は、業者関係の人間か、あるいは途方もないクワ馬鹿な人たちのどちらかと思うのだが、どちらにしてもそのエネルギーには脱帽するばかり。
正直言ってついて行けないと、少し醒めてしまったのも事実である。 何だ、この人達は!!

 仕方なく、行列の後ろに並んだのだが、並んで待っているときも、あまりの人の多さにショックを受け、なかなか立ち直れないでいたものの、嫁さんの『じっとしてないで、写真でも撮って来たら!』の一言に励まされ、カメラを片手に先頭の様子を見に行った。

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即売会場正面

並ぶクワ馬鹿達

 写真を見ていただくと、おわかりかも知れないが、とにかく派手で、お金がかかっている。
『このアーチを作るだけでも結構かかったやろうなあ!』と、人ごとながら心配になったりもした。

 周辺には警備員もたくさんいるし、スタッフの人数も多くて驚いたが、それよりも想像以上に家族連れや女性が多い。来るまでは、怪しい連中のオンパレードかなと想像していたのだが、思ったよりアットホームな雰囲気が満ちている。
しかし、普通の家族連れでないことは、すぐに明らかになった。何と、台車を用意している人がいるではないか。きっと、マット類を購入するつもりなのだろうが、気合い十分というか用意周到である。

 写真を撮り終わって行列に戻ると、何やら嫁さんが前のアベックと喋っている。見たところ、2人ともこの暑い時期に関わらず、上下黒ずくめの服装で、しかも長袖だ。一見して、その筋の人かとビビッたが、話をしてみると以外に普通の人で安心した。しかし、よくよく話をしてみると、どうもプロのブリーダーらしい。
詳しい内容はここでは公開できないが、少なくとも3000頭以上を飼育しているらしく、しかもほとんどが外国産とのことだ。 所有しているクワガタのリストを見せてもらったが、これが凄い!! 決して誰にも言わないでと言うことで、名前と電話番号を教えてもらったが、行列に並んだおかげで、プロな人と知り合えたことは大きな収穫であった。

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用意された飼育材料

路上で待機する業者のトラック

 そうこうするうちに、時刻は10時を回り、いよいよ行列が動き出した。いったい、これだけの人数が入れるのだろうかと心配していたが、以外と流れはスムーズで、10分ほどで中に入ることができた。ところが、これからが大変。 建物の中はまさに戦場で、一度中に入っても、少しでも気を許せば外に押し出されてしまうほどの混雑振り。通勤ラッシュが可愛く感じてしまうほどすさまじい。

 出入り口が片側にしかない80坪ほどの倉庫の中に、長細いテーブルがいくつも並べて置かれ、その上に飼育ケースに入れられたクワガタ飼育容器マット類からビデオ、書籍までが所狭しと並べられている。
その間の、幅1.5〜2mほどの隙間が唯一の通路なものだから、身動きできなくなるのも当然だ。小さい子供が泣き叫んでいるが、どうすることもできない。こっちの方が泣きたいぐらいだ。
ようやく、苦労して外に出ても、敷地内には所狭しと埋め込みマット産卵木、それに飼育ゼリーが山積みされた上に、クワマットなどがトラックごと横付けされているために、足の踏み場もない。
気持ちばかりの休憩所が設けられているが、この混雑ではかえって障害物になっているし、たこ焼きや焼き鳥、ビールなどの屋台が混雑に輪をかける。

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即売会の風景1

即売会の風景2

 これでは、とても目的のクワガタを探すことは困難に思えたので、一度外に出てから態勢を整え、嫁さんと息子を安全な場所に避難させてから、自分一人でねらいを定めて再突入を試みた。
その甲斐あって、ようやく目的のネブトやシカクワガタなど2種類を確保したが、目指すクワガタは他にもある。そこで、貴重なクワガタを圧死させないよう、嫁さんに預けてから3度目の突入を開始した。 さすがに、この頃になると混雑慣れしてきたせいか、いくらかスムーズに潜り込めるようになった(ラグビーのモール状態のように、後ろ向きで突っ込み、目的地に到達した時点で身体を反転させるようにすると、簡単なことが解った!)のだが、いくら探しても目的のクワガタは見当たらない。

 近くにいる店員らしき人に尋ねても、みんな業者の応援部隊らしくて、まったく埒が明かない。
かと言って、このままおめおめと引き下がることもできない。
いいかげん血圧が300を越え、怒りが爆発しそうになった時、見覚えのある顔が目に入った。
『おおっ、あれはまさに奈良オオクワの経営者の○○さんだ!
彼ならきっと知っているだろうと思うが早いか、居並ぶ人たちを押さえつけ、○○さんの側にたどり着き、お目当てのクワガタについて尋ねてみると、準備が追いつかずにまだ並べていないとのことだった。
『わかりました、今すぐ取ってきますわ!』の言葉を後に、隣のブリーディングルームに消えたと思うや否や、1分ほどで戻ってきて、『はい、△△と▲▲クワ! 死んでないか、確かめてね!』とケースを渡すなり、またまたブリーディングルームに消えてしまった。

 確かめてくれと言われても、後ろからは人に押されるし、両手にケース4つも抱えていては、とても確かめられるはずもない。それどころか、このままではクワガタもろとも押しつぶされてしまう危険性すらある。どうしようと思っていたところ、やっと○○さんがブリーディングルームから戻ってきたので、とりあえず『これ全部でいくらですか?』と尋ねたところ、『1ペア10000円やったかなあ、それとも7000円やったかなあ! ちょっと待って』と言いながら、他のお客さんの相手に忙殺されている様子。
どうしたものかと思案しているうちに、『▲▲は7000円やったかも!』との返事が返ってきたので、『そしたら、17000円ですね!』と確認したが、すでに○○さんの頭はパニック状態。
『ひとまず10000円渡しますよ!』と叫んでみたところ、『はい2ペアで10000円!』とよく訳の解らない返事!
死にものぐるいで財布を取り出し、10000円を手渡しながら、『あといくらですか?』と聞いては見たものの、『はい、ありがとう! 袋あります?』と言って、買い物袋を渡されたので、『それでいいんですか?』と聞くと、『ハイ、どうも!』との言葉を残して、またまたブリーディングルームに消えていってしまった。

 力の抜けた私は、人の波に翻弄されながら、なすすべなく会場の外へそのまま押し出されながらも、
手に入れたクワガタの生死を確かめ、無事が確認されたところでドッと疲れが押し寄せ、その場に座り込んでしまった。
そんなところを嫁さんに見つけてもらい、たこ焼きを食べてビールを飲んだおかげで、かろうじて一息つくことができた。
ちなみに、即売会に行かれた危ダッチさん、はせっちさん、兼ヤンさんの情報によると、出店で売られていたたこ焼きは8個200円、焼き鳥2本100円、フランクフルト100円であったそうだ。

 それにしても、この状況はいったいなんと表現したらよいのだろう。怪我人が出なかったのが、奇跡としか思えない。警備員もこの有様をみて、度肝を抜かれたと思われる。
当日は、マルカンやフジコン、それにかつらぎ産業などのクワガタ飼育材料業者から、応援部隊が総勢50人以上は来ていたようだが、驚いたことだろう。
特に、かつらぎ産業から来た助っ人のおばちゃんは、ほとんど顔が引きつっていたように記憶している。彼女らにとって、たかがクワガタのために、これほどの人が朝早くから詰めかけ、白熱した争奪合戦を目の当たりにするとは夢にも思っていなかったはずだ。
何万円もするクワガタが飛ぶように売れ、一抱えもある野菜箱を山のように買いあさる人達を見て、何を思ったのだろう。 

 半ば、脱水症状気味でバテバテの私は、とりあえず会場を後にし、近くの回転寿司で昼食をとってから再び会場に乗り込んだ。
いちようノルマは果たしたので、もう買うものはなかったのだが、せっかく大阪から泊まりがけできたのだし、嫁さんの『この際だから、悔いのないように買っておいてね!』という、ありがたいお言葉に励まされ、1000円の埋め込みマットやクワマットなどを、一箱ずつ買い込んだ。
時刻は午後1時を回っていたが、以外とこのぐらいの時間に来た方が、ゆっくりと見ることができそうだ。目玉商品などは、すでに売り切れてしまっているようだが、なぜか山梨産オオクワのオスばかりが大量に残っていたのがかわいそうであった。

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即売会場内の風景

 ぼちぼち帰ろうと思った矢先、かの有名なオオクワ採り名人こと平山氏のサイン会が催されていることを知り、ミーハーの私はサインをもらった上、写真まで撮らせてもらったのだが、平山氏と会うのは、テキサスさんといっしょに会いに行った時以来、半年ぶりだったためか非常になつかしく感じた。
ついでに握手もしておきたかったのだが、さすがに恥ずかしくてやめておいた。残念!

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ヒラヤマオオクワサイン会

 ようやく即売会場を後にした私は、購入した飼育材料をどこに置くかという現実問題に直面することになった。最初から解っていたこととは言え、もう自宅にも実家にも置いておくところがなかったのを、ここに来て思い出したのだ。
困った私は、仕方なく嫁さん方の実家の軒先に、しばらくの間置かせてもらうことにしたのだが、置かれた方にとっては良い迷惑だろう。今後も、なし崩し的に置かれ続けるに違いないし.......

 こうして、私の即売会潜入は無事完了したのだが、友人から教えて貰ったところ、最終的に2千人ほどの人が集まったそうで、混乱に乗じた盗難も多数あったそうだ。
もし次回があるのならば、入場制限をするとか場所を広くするとか、もう少し買う側の立場に立った、余裕あるものにしてもらいたいと思う。
そして、多少なりともお祭り気分にさせてくれる楽しい即売会を、末永く続けていって欲しいものだ。
そう思いながらも、早く次回の即売会の知らせが届かないか、待ち遠しくなるのであった。

おわり


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