感激のオオクワ初ゲット!!


hoshi


平成8年12月のある日、私は2度目の韮崎行きを決行した。

小学校卒業以来、約20年間クワガタから離れていたのだが、その年の8月に某百貨店のオオクワガタ展で幼虫をもらってから、再び虫の世界にのめり込んでしまったのである。

当日は朝6時に東京を出発し、9時前には現地に到着した。ポイントを探してしばらく歩きまわった後、高さ1メートルくらいの鉛筆のようになるまで削られたクヌギの木を発見した。

「ここまで削るとは…」と思いながら何気なく根元付近を見ると、何かがかじった痕が見えた。「これはもしや!」と思い、持っていたナタで削っていったところ、クワガタらしい食痕が地面に向かって続いていた。今考えてみるとそれ程大きな食痕ではなかったが、食痕を見るのも珍しかった私は、慎重に木を削って行くことにした。

30分ほど削ったところ、ぽっかりと蛹室が現れた。地面より下だったため見にくかったが、中にクワガタの姿が見える。

クワガタを傷つけないようにゆっくりと取り出すと、それは何と62mmのオオクワガタのオスであった。寒さのため死んだように硬直していたが、紛れもなくオオクワガタ(しかもこの大きさで中歯型)である。

子供の頃から憧れていたオオクワガタが採集でき、何度も何度もケースの中で動く様子を覗き込んでみた。そして何度見てもオオクワガタであることに満足し、余韻をしばらくの間楽しんでいたように記憶している。

2回目の採集で運良くオオクワガタをゲットできたのだが、オオクワゲットがビギナーズラックであったことに気づくのに、そう時間はかからなかった。

その後タカさんと知り合い、一緒に韮崎に足を運んだが、さっぱり採れない状態が続いた。朽ち木採集は環境を破壊するため、条件の良い木であっても、「少しでも生きている木は削らない」「目立つところにある木は削らない」「やたらめったらに削らない」という事だけは最低限のマナーとして守ったため、2匹目をゲットするのに大変な労力を要したのである。

ようやく一年後に人がめったに来ない山奥でメスの幼虫(現在蛹)を採集することが出来、当初の目的であったワイルド同士のペアリングが可能となった。

朽ち木採集をしてきた自分が言っても説得力に欠けるが、オオクワガタの採集、特に朽ち木採集は節度を持って行わなければならないと思う。

オオクワガタの採集は夏も冬もとても楽しい。この楽しみを気の合う仲間といつまでも続けられることを切に願う今日この頃である。

以上


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