支部だより 
香港支部 98年8月 by Dragon


でったー!

ちょっと前の話で恐縮ですが、出たんです。
8月上旬にT氏とN氏(以前登場しました高雄に同行してくれた人、著名なパルナシストでもある)と3人で郊外の自然保護区へクワガタを探しに行ったときのことです。

その日は結局ポイントは樹液も涸れていて収穫はなかったのですが、戻る途中で出くわしたのです。
自動車も通れるコンクリート舗道の林道を3人で歩いていると、右手の斜面でガサガサと”ん?何だ?”と皆が立ち止まった瞬間、斜面から滑り落ちてきたのは大きな黒っぽいヘビ。
体長は2.5mを優に超え、太さは人の腕ほど、黒光りする体にところどころ灰白色のうすいストライプの入っているヤツ(この大きさってのは時に誇張されてしまうものだが3人が3人ともそのように見えたのでまず間違いはない)。
ヘビなんぞは日本でも珍しくない存在だし、アオダイショウだって大きいのになればこのくらいのはいるかもしれない。
ところでこの彼女?、斜面から滑り落ちるようにして我々の目の前に現れ、少しあわてた様子でそのまま路傍を数mすすんだ次の瞬間、サービス精神旺盛にもそのかまくびをもたげて例の威嚇のポーズをとってくれました。ギョエーッ!!それもつかのま、またスルスルと斜面を上がって行き姿を消しました。

ほんの一瞬の出来事だったのですが、我々3人は唖然としてしまい、しばらくしてから恐怖に襲われました。
場所が場所だけにネットとか竿とか持っていないまる腰状態です。
もし彼女がこっちに向かってきてたら?、、、
もしお互いに気が付くのがおくれて接近遭遇してたら?、、、
まさに背筋が寒くなる思いがしました。
さらにその前夜たまたまテレビでコブラの特集番組を見ていた私とT氏は印象が強烈でした。

いままで私は幸運にも香港でヘビに遭遇したのはグリーンスネ−ク(アオハブの一種?昼行性?)を含めて数えるほどしかありませんでした。
最近では2年ほど前に体長7mほどのニシキヘビ(野生の)が立て続けに捕獲されたのが記事になっていました。(家畜を目当てに人家付近に出没するのでしばしば騒ぎになる)
コブラの方は何でも漢方薬の薬材になるとかでかたっぱしから乱獲され、いまではおとなりの台湾同様に希少な存在になっているそうです。(もちろん保護種に指定されています)

この日のことは家内には内緒にしています。バレたら外出(虫捕り)禁止ですよ。
でもさすがにこの事件のあとはやはり子供を連れて行くのは控えています。
昆虫探しに夢中になってガブリとやられたらシャレになりませんので。

ところで、香港には猛獣はいるのですかって?
熊はいないのですが、トラがいます(動物園にじゃないよ)。
警察博物館に記録が残っていて、確かに20世紀初頭までは捕獲記録があります。
数年前、中国国境付近で目撃されたとか、足跡だとか糞が見つかったという噂がひろまったことがありますが、真相はわかりません。
おそらく今や日本オオカミのような存在です。


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