ヒラタクワガタ採集記  〜あいあん台風上陸の巻〜

by しょうちゃん
 

 今年は例年になくヒラタクワガタが好調である。
 5月に採集した第1号を初めとして採集するヒラタのほとんどが60mmを越えているという信じられないような状況であった。(ちなみに昨年は60オーバーはシーズン通して2匹である。)
 しかも、放虫サイズを最初は55mmと決めていたのが、ついには60mmになり、採集した60mmオーバーだけでも2桁になってしまった。

 

 そしてついには、きたさん、ちろ○○さん(奥様に内緒のため伏せさせて頂きます)、ちぬさんとのくぬぎオフにて、自己ギネスである67mmまで採集してしまったのである。(このときのヒラタ及びミヤマ(ちろ○○さん採集)がともにあいあんさんによりクワ馬鹿8月号の目指せ採集ギネスに投稿されてしまい、両部門とも1位となってしまった。)
 

  

 こうした話しを聞いてじっとしていられるあいあんさん(注)ではなかった。帰省にかこつけてこちらを襲撃するという。かくしてあいあん台風が岡山〜兵庫南部にわたり通過することになったのである。(しかもアベック台風であった(^^;)
(注)クワ馬鹿界の7不思議の一つであるが、あいあんさんはヒラタクワガタを採集したことがないのであった。

8月11日
 あいあん台風上陸に併せて岡山にてきたさん、三田の省きちさんを交えて第4回くぬぎオフを開催である。
 台風上陸は夜9時頃(アベック台風は倉敷チボリ公園に停滞していたらしい)になるということであったので、それまできたさんに地元ポイントを案内願う。もちろんオオクワガタ狙いであったが、最初の藪こぎポイントの大型(恐らく60mmオーバーであろう)2匹を筆頭に何度となくヒラタを目撃したのみで本命はこの日も対面できなかった。(私にとっての2度目の岡山も惨敗であった。)
 そうこうしているうちに省きちさんの携帯にあいあんさんから連絡が入り、あいあんアベック台風と合流する。
 あいあんさんのたっての願いで前回私が67mmをゲットしたポイントへ向かう。(さも私が自力でゲットしたかのようであるが、正確には採らせてもらったといった方が正しい。なにせポイントを覚えていないのだから。)
 きたさん案内のもと、あいあんさんがポイントへ入る。が、明かりのせいで穴に潜られてしまったとのことであった。(結構大きかったらしい。)次に、数匹のヒラタが樹液にたかってたというカシワポイントへ向かう。が、ここでも潜られたらしい。前半はあれだけ木に登っている(手でたやすくゲットできる場所にいる)ヒラタがいたのに、あいあんさんが合流した途端にヒラタが姿を消してしまった。その後、何カ所か回るがやはりヒラタはいない。う〜む。昆虫達もあいあん台風上陸を察知したのだろうか。彼らの危機予知能力には驚かされるばかりである。
 11時近くなり、省きちさんの都合やあいあんさんの助手席な人も退屈だろうということでお開きとなった。その後、きたさんちにてコーヒーをよばれた。(いつも手ぶらで行って申し訳ないです。>きたさん。奥様。おじょうちゃん。)

 明日午前中に私の地元ヒラタポイントを案内する約束をしてあいあんさんと分かれた。(その後アベック台風はどこかで激しく燃え上がったに違いない。)

8月12日
 朝8時にあいあんさんの携帯に電話を入れる。
 10時にあいあんさんが宿泊していた場所と我が家の中間な場所でおちあうことになった。いつものことながら助手2名(5歳、2歳)が同行することになる。待ち合わせの場所に行くと誰もいない。再度携帯に連絡を入れるとどうやら集合場所を通り過ぎてしまっていたらしい。そういえばすれ違ったような気もする。10分程してなんとか合流できた。はじめて助手席な人を紹介してもらう。あいあんさんにはもったいないきれいな人である。我が家の助手も照れくさがっていた。
 時間もないので、ポイントへ向かう。待ち合わせ場所から10分程で第1ポイント到着。ここは時折、野鹿や野ウサギに遭遇する溜池沿いのツタの絡まるコナラである。普段ならツタを頼りに木登りするのであるが、今回は特別に脚立持参である。(採集に使用するのは2回めである。)

 脚立をセットしている間に「いた!」の声。しかし、大型のコクワであった。さらにツタの下にカブト、コクワを発見するが、ヒラタはいない。
 枝のまた割れ部の洞を懐中電灯(あいあんさんの一声で車から助手席な人が取ってきてくれた。うちの奥方では考えられない。)でチェックするも何もいない。2週間前にここで61mmをゲットしているのだが、今回は留守であった。あいあんさんに木登りを勧めるが、脚立が不安定なこともあってか遠慮しているので、ツタから直接私が登ることにする。ツタと樹皮の間にいるいる。が、コクワばかりであった。シーズン初めに必ず60mm級が隠れていたツタと樹皮間の隠れ家はなんと樹液で埋まっており、ふさがってしまっていた。これにはびっくりである。その下側に普通サイズ(40mm級)のヒラタを発見。取り出すと後ろ足3本が欠けるかわいそうな個体であった。とりあえずあいあんさんに渡す。(後ほどリリースすることになる。)二股に分かれたもう一方の木をチェックすると大きなミヤマがいる。あいあんさんはミヤマも探していたのでこれもキープする。結局ここではヒラタ雄1、ミヤマ雄1、コクワ数匹、カブト雄1であった。
 他にミヤマの採れる場所はないかということなので、我が家までの道中の今年始めてミヤマをゲットした場所へ立ち寄ることにする。
 ここは遊歩道沿いということもあって人が入った跡があるし、樹皮がめくられてしまっている。が、めくられてしまっているかのように見えるが、上と下にそれぞれかなり深い空間があるのである。めくれてしまっている部分と根っこ付近にすずめ蜂がいる。一匹は網でつかまえ退治し、もう1匹が飛んでいった隙にクヌギキック。しかし何も落ちてこない。残念。めくられてしまっている樹皮めくれであるが、上と下にまだかなり深い空間があるのであいあんさんにチェックしてもらおうと思ったのだが、再びすずめ蜂来襲のため、このポイントはあきらめることにする。
 我が家に寄る前に裏手の山のヒラタポイントへ。ここは今年第1号を採集した場所である。
 但し、ここも木登りが必要になるので、私が登る。(せっかく脚立持ってきてたのにい。あいあんさんは遠慮深いなあ。)
 樹皮めくれから小ぶりのヒラタ雄をゲットしている間に、あいあんさんは我が家の助手達のために超長尺網でクマゼミをゲットしてくれていた。あいあんさんを案内しながら自分でゲットしてどうすんねんと思いつつ、あいあんさんに小型のヒラタを渡す。ここはオニヤンマの飛行ルートとなっているので、助手のために1匹ゲットする。
 とりあえずお昼になってしまったので、我が家にて昼食にする。メニューはそうめんである。何故かそうめんの具が多いし、凝った麺の切り方をしてあるのが嬉しい。昼食後、あいあんさんに檜枝岐産のアカアシを大量に頂いた。助手共々生まれて始めて見るアカアシクワガタであった。助手が大喜びである。感謝。

 

 午後には淡路島へ行くらしく時間を気にしてはるので、あと一カ所だけ案内してそのままお見送りすることにする。
 最後のポイントは親戚宅の墓近くのツタの絡まるほとんどクヌギとわからないクヌギで、3回来て3回とも60オーバーをゲットしている今年最大の当たり木である。(2週間前に友人を案内したときにはここで62mmの雄を筆頭に雄2,雌3の5匹をゲットした。)
 僕が入るんですかあと言いながらジャンパーを着込み嬉しそうである。早速根本付近をチェックにはいる。(後で親戚から聞いた話であるが、地区の草刈り時にこの付近一帯でマムシを数匹捕まえたらしい。知らぬが仏ですな。)
 しばらくして、あいあんさんの叫び声がこだました。
 「いました!初ヒラタゲット〜!!」
 続いて
 「しょうちゃんが前の日にしこんどいたんじゃないでしょうね」
 なんと疑い深い人なのだ。これまでの長い道のりがあいあんさんの気持ちをゆがめてしまったのだろうか。
 とりあえず、初ゲットしたヒラタを預かる。さらに念入りにチェックするあいあんさん。
 すると今度は
 「ネブトがいました!」
 な、なに〜、嘘やろ、が、あいあんさんの手には紛れもなくネブトが。32年住んでいる私ですら未だ地元ネブトはゲットしたことがなく、それどころかこの地にはネブトなどいないと思いこんでいた(それが固定概念となってしまっていたのかも)のにである。
 ヒラタゲットに関しては素直に「おめでとうございます」であったが、ネブトゲットに至っては「くやしい」の一言につきる。
 それではと今度は私が選手交代してツタを登り上部ポイントをチェックする。が、すずめ蜂が3〜4匹たかっておりチェック不可能である。
残念。最後の最後にクワ馬鹿の神はあいあんさんに味方したのであろうか。あいあんさんは悔しい思いでいっぱいの私を後目に助手席な人にヒラタとネブトを両手に記念撮影を行っているではないか。「そうだ、これでいいのだ。あいあんさんがいい思いをしてくれれば。今回はそれば目的なのだから。」そう心の中で慰めながら今回の採集オフを終えたのであった。

 
 

追記
 地元ネブトをゲットすべく最後のポイントへ通っているのだが、一度ゲットしたものの落としてしまい未だゲットしていない。まだしばらくはネブト狙いの通いが続くであろう。
 そうこうしているうちに山形出張が入り、その帰り(8/20〜21)にあいあんさんに檜枝岐に連れていってもらった。そこで私もついに念願のワイルドオオクワを2匹、ヒメオオ1匹(あいあんさんはオオクワ1、ヒメオオ10数匹ゲット。)することができたので報告しておく。これであいあんさんの方角に足を向けて眠れなくなってしまった。感謝。


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