思い出しつつの後付け日記 1990~(10)

coelacanth



日記1990と始めてしまったが、引き続き「~」をつけて1991年の8月部 分だ。7年前の丁度先月の日誌のようなものになっている。今回は初めてオニクワガタを 羽化させてしまった等というトピックもある。掲示板で意地になって主張している話だが 、「採集を罪悪視するのはいい加減にしろ!」という原点みたいな話があって、今回紹介 している「樹液ダラダラ、カブトノコ採り放題」の素晴らしい千葉の森は一昨年全て伐採 され、杉林になった。もう怒りのやり場もないというか、「採集もほどほどにね」なんて 言う奴を見る度に首を締めてやりたい程頭に来ている。今回ももう飽きられてしまったの か(笑)他人の書き込みは全く無かった。


8/01/91

(coelacanth)

朽ち木は水につけすぎたらえらく臭くなってしまった。失敗、失敗。産卵させたらしばら くしてほじくるのだからあまり殺菌・殺虫は考えずに少し湿らせたくらいで与えた方がよ さそうだ。

隣の小学生が、やれヒラタを3匹1000円で買ったとかなんとかいろいろ報告してくれ るのだが、近所ででかいノコを取ったという。意外にまだまだ近所にも生き残っているよ うだ。

ここんところものすごく暑いせいか、やや山地性のミヤマがぼこぼこ死んでしまった。雄 2死亡はまだしも雌3死亡というのが痛い。まだまだ産卵はしていないのに。

それから最近どこから進入するのか、クワガタの餌めがけて蟻が大量に出てきて毎日格闘 している。ショウジョウバエはうるさくても無害みたいなのでほっとくが、蟻とダニはち ょっとなんとかしたい。

その後、カブト卵・幼虫も更に増えて合計60程。幼虫の成長速度はかなり速く、既に直 径3mm全長は2cm以上ありそうなのがいる。去年の11月に採集したのがもうほとん どめいっぱい大きかったことからみて、この8、9、10月あたりでほとんど成長してし まうのではないだろうか?あとはなんとか冬を越すだけで。

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8/05/91

(coelacanth)

ふとしたことで仙川の方のペット屋を知り、訪ねてみた。ここは昆虫もいろいろあるとい うことなので見ると、カブト・ノコに始まり、ミヤマにコクワにヒラタなんてのが売って いた。ミヤマは800円くらいだったが、ヒラタとなると雄60mmで4500円だ。ど うしてもヒラタの雌が欲しかったので1800円もしたが1匹買ってきた。ちゃんと四国 産の雄と仲良くなって卵産んでくれるだろうか?最悪死んでしまってもこれではっきりヒ ラタの雌がどういうのかわかった。大きさは40mm近くあり、かなり黒いツヤがあって 立派だ。なんだか動作がやたらに緩慢なのが気になったがどの個体もそうだった。ついで にJマートではノコの中にミヤマの雌が混じっていたので200円で買えた。店員も雌の 種類なんかわかってないようだ。

カブトの幼虫もそろそろ大きい容器に移してみたのだが、本当にでかくなった奴がゴロゴ ロいる。3cm以上で頭の幅が3mm以上もある。生まれたばかりだと2mmないくらい なのでこれは1度脱皮して2令になっているのかもしれない。アゴなどがやたら立派だ。

カブトにしてもクワガタにしてもなんだか続け様に死んだかと思うとその後、残りはなか なか死なないような感じがする。なわばり的な要素でやはり数少ない方が安定して長生き するのだろう。

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8/08/91

(coelacanth)

伊豆でとったのはおよそ全てコクワの幼虫だったのだが、とうとう例外が出た。

天城山で取った6匹なのだが、さすがに高山っぽいとこだからなんか違うのではないか? と期待はしていたが、蛹化の段階ではコクワだろうと思ってもう諦めていたのだが、久々 に開けてみるとこれは「オニクワガタ」という種類だったのだ。名前の割にはセコい奴ら で図鑑では体長17mm〜25mmで、今回の中では雄の最大が20mmだった。3匹が ビンの上部に出現しており、あと3匹も多分羽化していると思われる。雄のオオアゴは小 さいとはいえなかなか特徴的で、小さな歯が上を向いているのが変わっている。

小さいのとはいえ、種類が増えるのはなんとなく動物園的に楽しい。現在、

大型 オオクワ ヒラタ ミヤマ ノコ
中型 アカアシ コ
小型 スジ オニ

でカブトを足すと9種類だ。あとはヒメオオとネブトくらいいればメジャーな本州産のは ほとんど揃う。チビとかルリや沖縄なんかのは今のとこちょっとまだいいなぁって感じだ 。

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8/12/91

(coelacanth)

カブトの雄全滅。雌もあと10以下。最近土にもぐっているので確認困難。

幼虫の方はもう間違いなく2令になったらしいのがいて、既に小指半分の

体長、及び太さだ。ハナムグリの幼虫の最大時に近い。

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8/15/91

(coelacanth)

ここ、2、3日カブトは全く出てこない。既に全滅か?土の中で雌が産卵しているかもし れないので今しばらく静観してみる。近々ほじくって幼虫の数を確認しようと思う。

クワガタは大体元気で、この8月の涼しさが快適なようにさえ見受けられる。蟻は、家の 入り口の外側に薬をまくことですっかり入ってこなくなったが、餌のバナナにたかるショ ウジョウバエがすごい。うっとーしいのでなんとかしたいのだが、サランラップを容器に かけるなどすると蒸れそうだし、薬は無論使えない。蝿取り紙なんかがいいかとも思うが 最近売っているのだろうか?見た事ない。苦し紛れと面白半分で偶然捕まえた小さなトカ ゲやカマキリを中にいれてみたのだがはたしてショウジョウバエを食べてくれるもんだか ?クワガタの足をかじったり、卵を食べたりしないかとちょっと心配なのでしばらくした らやめようとは思うのだが。

最近またたて続けにTVでオオクワガタ取りの話なんかが放映されている。まぁどうせた いした内容ではないのだが、見逃すとなんとなくくやしい。

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8/19/91

(coelacanth)

カブトは全滅していたので大水槽を1つほじくりかえすと、幼虫45匹が出てきた。これ までの合計は110になるが、まだもうひとつ大水槽が残っており、この中は更に数が多 いように思える(水槽の縁から見える幼虫の数が多い)。前回の幼虫をよく見るとやはり 頭の大きさがはっきりと違い、1〜2mmなら1令、3mm〜5mmなら2令のようであ る。更にたまげたことに既に頭幅が1cmになろうというものがいくらかおり、これは3 令(終令)に違いない。こんなに早く終令になるとは思っても見なかった。体長は最大の もので大人の小指1本分はある。

土日は千葉の方に出かけたのだが、マザー牧場で産卵木を拾ってきた。あそこは椎茸栽培 場があり、使用済みのホダ木が捨ててある場所で例のノコ幼虫が取れたのだが、そこで適 当な固さの朽ち木を探した。案外適当なものを探すのは難しく、ボロボロに腐り過ぎてい るか、固過ぎるかで苦労した。付近にはカブト成虫の死骸がゴロゴロしていた。また、帰 りにはすばらしい状態の雑木林を発見し、昼間だというのにノコ雄3、カブト雌2を捕獲 し、連れてきた。ついでに小さなカエルが沢山木に止まっていたので5匹程捕まえ、クワ ガタの水槽に1匹づつ放した。多分森で樹液に来る小さい虫などを食っているものと思わ れ、ショウジョウバエ退治にもってこいと思ったわけだ。今朝みるとだいぶハエが減った ように思える。この森は樹液のダラダラ出ているような木が沢山あり、その臭いもすごい 。おまけに隣の杉林で椎茸栽培をしていて、そのホダ木の腐っていらなくなったものがこ の森にいやというほど積んで捨ててあるのだ。クワガタ・カブトの発生にこれ以上いい条 件の場所はないだろう。カブトの死骸の数も半端でなく、樹液の出る木毎にいくつも散乱 していた。こういうのを見るにつけ、虫のいなくなるのは絶対に「採集」ではなく、環境 破壊だということが確信できる。

沢山いるところではどうもノコ雄やカブト雌は昼間から採れるようだ。コクワは雄でも雌 でも昼間からいくらでも見つかる。逆にノコ雌やカブト雄は昼間はほとんど採れない。も っとも今回はカブト雄はもう死に絶えてしまったように見受けられたが。

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8/25/91

(coelacanth)

さて、前回の幼虫どもを調べてみると、驚いたことにかなり数が減っている。やはり狭い 環境では友喰いがあるのか?あるいは、かなり沢山見られたダニによって弱った幼虫が死 ぬのかいずれにしても110いたはずのものが60程度になっており、最後の大水槽から 再び56見つけて結局現在の確認済み総数は116となった(含卵)。さすがに前回の生 き残りの大きいのは、完全に3令であることがはっきりしており、太さも親指くらいにな っている。1令は頭巾が2〜3mm、2令で5mm前後、3令なら1cm前後と思って間 違いないようだ。

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8/29/91

(coelacanth)

どうもいろいろな文献を見ても、幼虫が減ったのは初期にダニにやられたもののようだ。 今でも大量についているが、まぁまぁ大きく育ったものはもうそれ程被害を受けなくなる ように見受けられる。去年採ってきたものにそんなダニがいたかどうか全く覚えていない 。ちゃんと観察しておけばよかった。これだけ大量の土に100も飼っていると今更土を 全部捨てるのも躊躇してしまう。それでもできるだけ分離してダニを採って新しい土に入 れる幼虫群を増やしていこうとは思う。幼虫のダニを取るのはすごくたいへんだ。何しろ 相手の体が柔らかくて傷つけそうだし、嫌がって丸くなられるとダニを抱え込んでしまう ので取れない。それでもなんとか取ったものを10匹程それぞれビンに1匹づつ入れ、小 麦粉、砂糖、ビタミンC、クロレラ等いろんな混ぜ者をして成長の実験をすることにした 。

昔うちに1カ月程滞在したイタリア人の友人が突然来てたまげた。彼はイタリア人とはと ても思えないおっとなしーい雰囲気で、先生をしてるとかで、前回来たときは夜、そこら でカブトムシを採って喜んでいた。今回はこっちの方が夢中になっていたおかげで、いろ いろと見せて面白がってもらえた。ヨーロッパではクワガタは2種類しかいないとのこと で、私も片方は知っていた(ヨーロッパミヤマクワガタ)が小さい方は知らなかった。和 名ではコツノオオクワガタといって、オオクワやコクワに近いDorcusなんとかかんとかで ある。彼はそのラテン名をすらすらと言ったがさすがだ。おみやげにカブトの雄2雌1の 死体(標本といった方が響きがいいな)をあげた。ヨーロッパまで持っていけばあれはか なりすごいもんに見えるのではないだろうか?

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8/30/91

(coelacanth)

吉祥寺でもオオクワ売っているのを初めて見つけた。ややこしいとこの熱帯魚屋なんだけ ど、6.3cmで35000円。どっへー。あと6.3cmのヒラタ雄が14000円と か6.7cmのヒラタ雄が15000円とかもあった。オオクワは小さな容器でやたら乾 燥しててなんだかかわいそう。死んでるようにも見えたし。

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