美しい死体処理方法入門(4)

特別公開!鈴村勝彦氏の展足法

k−sugano


鈴村氏は日本で5指に入るであろう有名なクワガタコレクターで、クワガタの爪の先にまで神経が行き届いた展足についても有名な方である。御自分の収集品は勿論、著名なコレクターの収集品についても依頼を受けて展足を引き受けられている。月刊むしの表紙や「大図鑑」に載ってる標本の中にも鈴村氏が展足したものが多々含まれていると拝察する。「大図鑑」にも相当の標本を写真撮影に提供されており、訪問した際も某種が、新種記載の為の比較標本として某氏のもとに大量に貸し出し中であった。

以下にたまたま展足中であったネパールコクワの画像を許可を得て掲載する。

展足例−1

展足例−2

展足例−3

これが「鈴村式展足法」である。ご覧のように、両個体とも全く同じように針が打ってある。氏の長年の経験から、これらの箇所がもっとも合理的な針を打つ場所なのであろう。

どのくらいの針を使うのかお聞きしたところ、どんなに大きな個体も小さな個体も同じくらい針をつかうそうで、その数は約100本だそうである。実際にガラス扉の書籍棚に体長2cm程の小型クワガタが展足されていたが「ハリネズミ状態」で、何の種か判らないほどであった。

画像に示したマチバリ(頭が丸いピン)で姿形を保持し、Insect Pinで全体の微調整と脚を整えるようである。
Insect Pinは脚をほぼ水平状態に保つために多量に使われているようだ。このことは非常に重要なことである。

通常標本は上から見るが、個体、亜種、種レベルでの脚の長さの差異をみるときなど、鈴村氏のように水平に近い状態で展足されていれば差が明確に判る。斜めになっていて、その傾きもばらばらであれば、一見して差を見出しにくい。

鈴村氏の展足の手順だが、大きなタッパーの湿潤器で柔らかくしてから、展足を始めるようだ。
最初にマチバリを打ち、それ後で、より長さのあるInsect Pinを使う。Insect Pinは3日目あたりで外しはじめ、以後微調整を加えながら完成させるとのことである。

横で見ていると針を打つスピードがすごく速い。これでもお若いときから比べれば随分と時間あたりの処理量が減じた由である。1個体あたり刺して外すという作業があるから全部で200本の針を抜き差しする訳である。驚嘆以外の何物でもない。

鈴村氏の所蔵標本はものすごい数でドイツ箱がおおよそ100箱はあった。その他にも有名な標本商の某氏から展足を依頼され完成品が入ってるものなども相当量あって驚くばかりである。

この箱は全部ダージリン産

90mmもあるおばけカントリミヤマ

鈴村氏のコレクションについては話がつきず、また標本業界にも大変お詳しく、ついつい話し込んで、夜の8時から0時過ぎまで長居をしてしまった。(^^;; またお話をお聞きしたいと思っている。


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