思い出しつつの後付け日記 1990~(9)

coelacanth



日記1990と始めてしまったが、引き続き「~」をつけて1991年の7月部 分だ。7年前の丁度先月の日誌のようなものになっている。大人になってはまって初の本 格採集旅行などで盛り上がった。飼育・繁殖などではまだまだ初心者の間違った思いこみ などがあって今から見ると興味深い。今回はたまたま他人の書き込みは全く無かった。


7/01/91

(coelacanth)

クワガタは例のバケツをひっくり返してみたが、まだ20や30いると思ったのに、ほと んど共食いしたらしく10程度でしかも大半は水分過多で死亡していた。生き残りは個別 のビンに移した。

さてカブトである。

千葉産がほとんど出現。現在雄9匹、雌4匹。どういうわけだか雄が多い。どれもかなり 立派だ。隣の子どもにあげた幼虫は何匹か羽化したがほとんど羽化不全で羽や角が曲がっ ていて体も小さい。ちゃかりさんではないが、やはり子どもはなんやかやいじりすぎると か、充分な環境をもうひとつ確保できないとかでうまくいかないのだろうか?うちの羽化 率はこの分ではかなり高く、死んだのはだいぶ前に報告した4匹のほかは2匹だけ(これ は羽化不全及び原因不明の腐敗)。伊豆産はほとんど羽化はしているようだがまだ出てこ ない。また現地の土だけで飼っていた5匹も羽化しているようだが、1つだけ見えた雌は ものすごく小さかった。やはりの土だけでは栄養が足りないのではないかと思う。腐敗死 亡したのもこの中の1匹だ。

12匹(1匹はまた隣の子にあげた)の成虫を60cm水槽で飼っているがこの辺が頭数 としては限界か?当然産卵のためには後で雌だけ別のところに移そうと思っている。消臭 剤も使ったがやはりなかなか臭う。毎晩毎朝大変な騒ぎで、中でも交尾はすごい。まず雄 が雌にマウントし、腹部を横にゆすってギーギーいう。これが求愛のようだ。そしてあの なんとも立派な交尾器を出してやおら「縦ゆすり」に移る。これはスピードも早く、小刻 みである。ところが雌はイヤなのか後ろ足で交尾器を蹴る。あんなトゲトゲので蹴られた らすごく痛そうだが、、、雌は指でつかんでもあのトゲの痛さにまいるのだが(雄は角を 持てばトゲに引っかけられることもない)。

さてもっと傑作なことがあったので報告する。雌の体を黒い箱にこすりつけてそこに後か ら雄を載せると臭いに引かれて交尾を始めるという話をTVで見たような覚えがあるのだ が、今回餌として入れたバナナにまず雌が来て、その後来た雄が、、、そう!バナナを相 手に交尾を始めたのだ。バナナは、抵抗もしないし交尾器のささり具合がいいのか飽きず に延々とやっている。なんとも滑稽というか哀れというか、なにしろ爆笑もんだった。気 持ち良さそうだからといって良い子はまねをしないように。

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7/05/91

(coelacanth)

ミヤマクワガタの大きい方が蛹化。ところが残念なことに、ビンの外側に蛹室が接する部 分がほとんどなくてかろうじて5mmくらいの穴から、脱皮ガラが見えてわかったという 次第。雄雌、大きさ、形状、全てわからない。

カブトはそれ以後しばらく出現がなかったが(地中の羽化成虫は見えるのだが)、例の観 察容器の1頭が脱走。この容器はガラスの幅が5.5cmとややでかすぎて実際にはガラ ス表面から観察できたのは1匹だけだった。んでその1匹は羽化してたのだが、昨日出て きて部屋の中を飛んでいるところを家人に捕獲された。なんでもたまたま姪っ子が部屋に きていて、その顔に止まったためにちょっとすりきずを負ったという。気の毒なことをし てしまった、あの足は凶器に近いからね。そこで事故防止の為に残りも掘り出してしまっ た。この中は結局雄2雌1だった。

月刊むし、というクガムスに比べたらさすがにメジャーな雑誌の今月号はクワガタ特集号 で、ギネスごっこが載っている。とうとう日本産クワガタの中から80mmオーバーが出 た。海外には100mmオーバーもいるとはいえ、やっぱり80mmというのは定規を見 ながら想像すると、すごいもんがある。

 coelacanth

7/08/91

(coelacanth)

伊豆産カブトもぼちぼち出てきた。いいかげん野に放す分も考えているのだがどういうわ けだか雌が全体の1/3と少ないので、困りものである。雄だけ放しても意味ないし、雌 7匹ではまだちょっと放すには贅沢。なんせ去年は4匹でも失敗したので。

ところですっかり忘れていたカナブンだが、初めの方にかいた「やたら攻撃的な幼虫2匹 」のうち1匹がだいぶ前に羽化していて、気づかずに死なせてしまった。種類ははんてん のないやや光沢の鈍い奴で、いわゆるシロテンハナムグリとかアオカナブンとかではない 。やや小さいコガネムシでドウガネブイブイか?ちゃんとした図鑑でみないとわからない 。そして今日は、沢山いたカナブンの中から1つ元気に羽化していた。これはハンテンの ある奴だがやや小さく、色もシロテンハナムグリにしてはやけに緑だ。

ディスカウントでノコギリ雄750円、雌200円だったので雌1匹だけ買った。うちの 独身ノコ(去年羽化したチビ雄)の嫁さんというわけだ。

さて、私は明日から10日ほど休んで四国、京都あたりを回ってきます。のんびり旅行を 楽しむつもりですが、当然朝晩はクワガタ捜しもします。そいでは。

 coelacanth

7/22/91

(coelacanth)

というわけで回ってきました。

四国ではまず高松の友人二人が既に捕獲しておいてくれたのをもらった。ヒラタ雄のでか いのが1、ミヤマ雄1、スジ3、ノコ雄1といったところだが、ミヤマやスジは高知の方 から知り合いに送ってもらったらしい。高松でそのヒラタなんかを採った場所に連れて行 ってもらったが、その日はコクワばかりだった。四国ではどうもクワガタのいる木が全然 違い、なんだかわからない木とか細いクヌギなんかに沢山いるのが変わっていた。高知の 方では教わった場所はダメだったが(もっとも昼なのであまり期待はできなかった)、別 の公園で昼間だというのにチビヒラタ雄1、ノコ雄2、雌1とまぁまぁの収穫だった。い ずれも木をけっとばして落とした。クワガタというのは昼間は木の上の方で休んでいるか 、土にもぐっているのだが、樹上のものは変な振動を察知すると足を硬直させて擬死行動 をとるので木を蹴るとボタボタ落ちてくるのだ。

続いて京都だが亀岡市の方の西別院近くの山道で、道ばたのクヌギやら、クリやらと蹴飛 ばすと、なんとミヤマがあとからあとから落ちてきた!雌3雄9の大収穫。他にノコ雄1 もあった。もう少し時間がとれていればいくらでも採れた感じだ。ボタボタ落ちても川の 方に落ちてしまったり、薮にまぎれたりとなかなか全部採れない。それにしても大型のミ ヤマの雄は感動的に立派だ。デカヒラタも横幅があってすごくいいが、ミヤマはあの耳型 の突起と大アゴ、腹部の重量感がある。

最後に山梨もよったがここは最近乱獲が進んでいるせいか、予想外に全然採れず、ようや く朝方蹴った木からノコ雄1という惨敗ぶりだ。どうも最近TVでも山梨での採集が何度 も放映されたらしくプロ・アマが大量に採集にきたようだ。カブトだけは昼間からでもい くらでも見られたがさすがに採集しなかった。もっとも後で東京のペット屋などであいか わらずカブトが1匹800円とかで売っているのを見るとなんだかもったいない気がして きたものだが。

今回はほとんど昼間だけの採集で、場所がよければ案外採れるもんだということが実感で きた。子どもの頃は木を蹴ると言っても、体重がなかったせいか、場所がそれほどよくな かったせいか昼間なんか採ったことはなかった。それにしても雌というのはどうも隠れて いる割合が多いようで、なかなか数が採れない。

さて家についての報告である。留守中は弟に虫の世話は頼んでおいた。なんでもカブトが 逃げたりして大変だったというがまぁほとんど無事だ。ノコのペアはせっかくかって来た 嫁さんが惨殺されていた。餌が不足したせいか狭いせいか、いずれにしてもちょっと油断 して残念だった。買って来た日には交尾してたくせになんて野郎だ。去年うちで羽化した チビなのでまさか雌を殺すようなことはないと思っていたのだが。また、アカアシの雌も 死んでいた。そろそろ別居、産卵を考えていた矢先なので残念。クワガタの繁殖はなかな か難しい。

オオクワとノコの雄はどちらも羽化していた。ビンの中でじっとしているが多少揺らして やるとちゃんと動くので生きている。行動がおかしかったオオクワ雌幼虫は死んで黒くな っていた。あー、5000円が。。。他は雄1が蛹、残りの雄雌はまだどちらも幼虫だ。 蛹は思ったより小さく、とても大歯型とは思えない。温度管理とかが悪かったのか?一応 大歯型にはなると説明されていたのだが。

カナブンはほとんど羽化していたので数を数えて放した。コアオハナムグリという種類の ようだ。近所の子どもが家の前で捕まえて喜んでいた。カブトももうほとんど羽化し、子 どもに沢山あげているうちに野外に放すどころではなくなってきた。まぁそれでも1、2 ペアは放そうかと思う。

さて、産卵のために隔離した雌4の水槽の土を探すと、とうとうカブトのタマゴ10個を 発見!別容器に大事に移し、霧吹きで水を補給しつつ観察することにする。始めは2mm くらいで吸水して3mmから5mmくらいまで膨らむのだという。思ったより丈夫で、手 の上で転がしたくらいでは別状ないように思える。まだまだ産んで欲しいので今度は雌を 入れ替え、全部で10匹程、他の水槽から雌ばかりもってきた。本来1匹で30位は産む らしいのでまだまだ増えるはずだ。もっとも土の中ももっと徹底的にほじくればもっとあ ったのかもしれない。そうやってつぶしてしまってもつまらないので程々にしといたのだ 。

 coelacanth

7/25/91

(coelacanth)

今朝、カブトの卵を見ると、土の表面の方にあるはずのものがほとんどない。「これは! 」と思って少しほじくったり底の方を透かして見ると幼虫がいた!C型に丸まった直径が 7、8mmといったところか。活発に動き回っている。それにしても成虫の、特に雄はほ とんど死んでしまった。カブトというのは実は7月が苟だったのだろうか?雄は近所の子 供にあげたこともあってもうわずかしかいない。雌は12、3いる。どうも雌の方が長寿 のようだ。先日1ペアは井の頭に放してきたが、2度と姿は見えない。まぁそれはそうだ ろうが、子供がさっそく採ったか?烏に食われたか?なんとなく気にはなる。コクワも1 0匹程度放したのだが、姿が見えない。そろそろクワガタの産卵もなんとかしたいので、 産卵木を用意し始めているところである。

 coelacanth

7/29/91

(coelacanth)

その後中型水槽などからだけでも合計40程卵がみつかり、孵化もかなり進んでいる。い ずれ大水槽を再びほじくったときにはすごい数になるかも。とにかく土を深くしておくこ と(10cm〜20cm)が採卵のコツのようだ。とはいえたかが5cmくらいのところ でもいくらかは産んでいた。

青梅の方のJマ−ト(ディスカウント屋)のペット屋ではカブトやノコの他にミヤマ、雄 800円、雌300円で売っていた。近所では雄2000円とかだったのでかなり安い。 もっともいくらか小さいような感じがした。雌2匹だけ購入。これで結構バランスがよく なる。

採卵用に拾ってきた朽ち木(直径5cm強)は適当に折って、水につけてある。もっと太 いのがいいのだが近所では見つからない。腐り方はまぁ白腐れで、ちょうどいいやわらか さだ。

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