年齢の概念化

バイオ年齢

June 1,2001

指導対象の年齢がわからないで十分な指導ができるわけがない。

そこで年齢を聞いたとしよう。仮に12歳とわかったとしよう。

聞いてわかった年齢は確かだろうか。生年月日を基点とする年齢はコンクリートのように固く不動である。

それゆえに確かである、とはいえない。むしろ、それゆえに不確かである、と思う。

年齢を概念化すると、年齢は三っつに分類される。

まず、「ぼく、12歳」というときのカレンダー年齢。一番多くつかわれるが指導では間違いの原になりやすい。

つぎに、幼い、とか、ませていると表現するときの精神年齢mental age・・・ここではその中で体験し教化された

社会文化的環境に重点を置いてカルチャー年齢と名付けよう。

最後に、指導でもっとも考えなければならない生物学的発育年齢・・・ここではバイオ年齢と名付けよう。

カレンダー年齢で12歳の少年が日本一の成果をあげたとしよう。

指導者はその少年の将来性を評価するときカレンダー年齢に基づけば超級と評価するだろう。

バイオ年齢に基づけば、ただ発育が早いだけだ、14歳の中学生と比較しないと本当の才能はわからない、

中学2年生としては平凡だ、とか優秀だ・・・という評価を下すべきだろう。

バイオ年齢には上下4歳の幅がある。カレンダー年齢で12歳の少年はバイオ年齢では中学2年生かもしれ

ないし小学4年生かもしれない。

小学6年生の仕事ができなくても小学4年生だと考えれば叱ってつぶしてしまうこともなくなる。

小学6年生の仕事がパーフェクトにできてもやれ天才だ、神童だとほめあげて天狗にしてしまうこともなくなる。

日本人は、年齢意識が強すぎて、あまり役に立たないコンクリートなカレンダー年齢に人生を左右されている。

ゆとりと遊びがある生物学的年齢 biological age なる概念を考え付いてスポーツ選手育成に役立てたのは

今は統合されて無くなった東ドイツの研究者と指導者だった。かつてのスポーツ大国の裏に薬物汚染あれば

表にスポーツ科学ありき、ってとこか。

翻って日本の少年育成法に目を転じると体の小さい少年がワリを食っている。中村俊介は一度Jユースの

コースからはずされた。そこにわれわれ町のクラブの存在意義がある。高槻FCのJr.ユースには成長ホルモン

の分泌が遺伝的に遅いだけの小さな才能が数多く見られる。

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