ダ イ ナ ミ ッ ク ・ ド リ ブ ル
概念化と愛用しやすい言葉
April 27,2001
サッカーではファーストタッチがきわめて重要だ。最初のタッチが意図どおりコントロールされていればセカンド
タッチも修正なしに迅速に最初の思惑どおりに実行できるからである。それに加えてファーストタッチのシュート
はGKにとって読みにくく反応しづらい。同じくDFの裏を急襲するファーストタッチかセカンドタッチのロングパスは
ワールドカップフランス大会の新戦術として脚光を浴びた。ファーストタッチでオープンスペースをつくドリブル突破
も個人戦術の花形となった。
すべてこれらのゴールから逆算した最短プレイには名称が付いている。ファーストタッチ・シュート、ダイレクトプレ
ー、ラン・ウイズ・ザ・ボール。
ファーストタッチ・シュートはダイレクトシュートという日本語になりダイレクトプレーとともに常用されている。日本
サッカー協会の指導教本で使用されているラン・ウイズ・ザ・ボールは舌を噛みそうな語句だから選手に伝達する
時どんぴしゃの言葉に言い換える必要がある。
私が最初にそれを目にしたのはW杯アルゼンチン大会の映像を通じてだった。パンパスの屠殺人matadorと呼
ばれたケンぺスが闘牛を彷彿させるたくましさでDFをなぎたおし引きずるかのようにドリブル突破して、開催地
アルゼンチンに最初のWカップをもたらし自らも得点王になった一連のシーンは瞼に焼き付いて消えることがな
い。その当時は概念化されなかったがプレイそのものは存在していた。
ラン・ウイズ・ザ・ボールの言い換えはその時のイメージをそのまま言葉にすればよく簡単だった。ダイナミック
ドリブル・・・言いやすく覚えやすいこのキーワードをすべてのサッカー愛好者が使ってほしい。