なんば走りの概念化

2008/06/04 22:55:52



世界をめざす日本のトップアスリートたちがより速く、より高く、より強く、を求めて飛脚や忍者の走り方なんばに大きな関心を寄せたことからなんば論が盛んになっ

ている。
なんば・・・名辞の由来

近代化以前の日本語は日本の風土や生業に発するものがほとんどである。わたしの苗字樋口も農耕社会→水田→樋(とい)に由来する。なんばも同様に水田→田

下駄から来ている、と言い切るに足る記事を最近身近な所で発見した。高槻市旧三箇牧村の「柱本から摂津の方の田んぼの中には常に『どた』と呼ぶ湿田があり

ました。上は淀川の氾濫で砂が入った田んぼだけど、下のドタでは稲刈りの時に『ナンバ』と言う田下駄をはいて田んぼに入っていました。」 出典:きつつき21(2

008年6月号、朝日新聞舗SASAI発行の街の情報誌)

旧三箇牧村の情報源のYさんによれば、田下駄は、田下駄とはよばず、ナンバと呼び習わしていたそうだ。稲刈りのとき両手が稲束と鎌でふさがっているため、足

がめりこんではめんどうなので、沈まないように木製の四角い板に足をのせ付属の紐で固定するものを履いて、稲株伝いに歩いたそうだ。歩き方は右足を運ぶとき

は右肩を同時に運ぶ、という、やり方だったそうだ。田植え、草取りのときは両手がふさがっていないので使わない、そうだ。まだ現物を見ていないが、広辞苑に写

真が出ている。箱型のちりとりから柄を取り、替わりに紐を付ければできあがり、というイメージ。

さらに、田下駄、なんば、ナンバで検索すると、田下駄は登呂遺跡にまでさかのぼること、用途によって多種あること、上記用途の物は全国的にナンバと呼び習わし

ている事、直感的になんば歩きを連想した先人がいたこと、展示館と写真、等必要十分な知識が得られた。

さらに、検索をすすめるとなんば歩きの語源が一夢庵においてすでに5年前に究明されていたことがわかった。

さらに、検索で郡上八幡踊りの「古調かわさき」がナンバを履いた動作を1580年代から今に伝えていることもわかった。

さらに、上記Yさんが八方に手を尽くしてナンバの現物を探し出したことは、わが郷土史にとって大変喜ばしい。

走法(元は歩き方)の呼び名がなぜなんばになったかは、なんばの歩き方とナンバを履いて泥田の上を歩く歩き方が同じ原理で成り立っていることを知れば容易に

説明が付く。その原理とは何か。次項で・・・。

なんばの原理

古武術にせよ古典芸能にせよ、草鞋にせよ田下駄にせよ、共通するのは地面をはわすように右足を前に運ぶとき同時平行に右肩をも連動して運ぶことである。俗

説のように右足と右手を同時に前に運ぶのではない。そんな歩き方、走り方は体を捻るから不自然だ。

大事なのは、重心を地面に対して平行移動すること、体軸をまわさないこと、体の上下動を最小にすることである。

右足が地面すれすれに浮くとき右肩が平行に上がるようにする。手や腕は力を抜いて小振りであれば楽なようにすればよい。Qちゃんは腕を振っていない。

それでは原理に移ろう。右足と右肩がやや上がるとき骨盤と肩甲骨が右上がりに平行になる。左足と左肩のときは左上がりに平行になる。骨盤の左右端と肩甲骨

の左右端の4点を直線で結べば平行四辺形ができる。この可動平行四辺形を武術追究者甲野義紀氏は井桁と名づけた。井桁崩し原理の誕生である。、実践を通

して真髄に達した先達に敬意を表したい。
なんばのシンボル

ITでは# 記号をなんばと呼ぶことがある。その理由を調べたが分からなかった。#をなんばのシンボルにしよう。

甲野さんのホームページのショートカットは井桁になっている。原理発見者にもっともふさわしい紋様だ。#松聲館
なんばと共通

甲野師・・・素早い一塁牽制でプロの桑田を驚かせた。対敵動作で、気配を読まれない、素早い、息が上がらない、が武術の要件。サッカーに応用できる。

イチロー・・・右足と重心の前方移動、地面に対して平行移動で打球がより速くなり,ランニングのスタートもより早くなっている。ヒットの量産。キックに応用できる。**

MATSUI・・・左足は踏ん張っていて動かない。左肩が上がる。♯になっていない。ホームランはもっぱらタメをつくって反動で打つ大振りとパワーから産まれる。

         ホームランの量産。ロングキックに応用できる。

ロベカル・・・世界でもっとも強烈な弾丸キックの持ち主。キックと同時にボールに体重移動、跳ぶが如きフォーム。滑空キックと命名する。

フタ・・・キックモーションが小さく蹴りたい目標に蹴りたいタイミングで自在に蹴っている。ミドルキックの名手。

俊輔・・・フリーキックのとき右足で踏ん張り左足が上がり左肩が下がる。 になっていない。カーブは体が曲がらないと普通掛からない。世界のフリーキッカー。
高槻FC・・・ペナルティ・エリア内の攻撃では「イチロー・キック」を、遠くからは「MATSUIキック」を奨励している。右足で蹴るときは右肩を、左足で蹴るときは左肩

を連動して上げるよう、 指導している。

ランニングについても同様の指導。腕と手は前に振っても後に振っても肩は上がる。小手を上下に小振りして肩上げすることも可。

アシが速くなるよう、為末選手の本*でヒントを得て階段降り(重力に逆らわないアシのピストン運動と肩上げの連動)も実行している。ブレーキをかけない→こけな

いためにはアシの回転を速くする、重心を素早く移動させるほかない。
*「速くなる」ことに関して言えば、下り坂ダッシュのほうが断然ためになります。 為末大『日本人の足を速くする』(新潮新書)

  &日本人が速く走るには、筋力を使って体を前へ進めるのではなく、重心を素早く移動させる方法が向いているのです。  

  &何万回、何十万回と着地する中で、地面に着いた足の上に骨盤が乗り込み、[膝ではなく]股関節のあたりに地面を踏んだ感触が直接に伝わってきて、体がス

   ムーズに前へ進んでいく 感覚をつかんだのです。
**2009/9/11追記 イチローが世紀の大記録を前に足踏みしている。凡打と三振に共通しているのは下半身がバットとともに滑空していないことだ。アシが居

  残っている。 アメリカ野球にルネッサンスをもたらしたスーパースターでも「恐縮」するとフォームを崩すのを目の当たりに見た。
 
  9/14 9年連続200本の偉業達成 次から本来の躍動感みなぎるスイングをみせてほしい。

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