クリエイティヴ? イマージナティヴ!

創 造 力 ∞ 想 像 力

October 27,2004


創造力豊かなクリエイティヴな選手を育てたい、クリエイティヴな選手になりたい。これは、意欲的な指導者、選手がよく用いることば

である。
 
耳には心地よいが、無意味な空言にひとしいことばだ。使わないほうがよい。

かわりに想像力に富んだという意味のイマージナティヴをつかうべきだ。

クリエイトの原義は創めて創る(ハジメテツクル)である。イマーヂンは前例をまねて描くである。このように、ことばを原義にしたがって

整理すると空回りしないで建設的な実行に移れる。

例解しよう。

アテネオリンピックで日本選手が過去最多の金メダルをとって「金メダルラッシュ」と国中が沸いたとき政府は「国民栄誉賞」の基準が

間に合わず、不公平になるのを恐れて選定を見送った。クリエイティヴかどうかで判断すれば迷うことなく「国民栄誉賞」を選定できる。

それは読者の楽しみにのこしておこう。キーワードは「前例がない成績」である。

ここでわたしの頭の体操にもつきあってほしい。過去にさかのぼって「栄誉賞」に値する例を考えてみたい。

陸上界では人見絹江。アムステルダムオリンピックで女子800m2位。前例も後例もない。有森裕子・・・五輪マラソン初のメダリスト。

水泳界では前畑秀子。ベルリンオリンピック女子平泳ぎ200m金メダリスト。前例がない。

野球界ではNOMO・・・最初のメジャー・スター投手。ICHIRO・・・メジャー革命! 

サッカー界では釜本邦茂。前例も後例もないストライカー。奥寺康彦・・・最初のワールドクラス・プロ。

ワールド・プロサッカー界では頂点にPELE, 分野ごとに分けたらその数だけいる。これも読者の楽しみに残しておこう。

    閑話休題。ジダンが先日来日したとき「マルセイユ・ターン」で得点して話題になった。あれはクリエイティヴなプレイだろうか。

    否。ジダンのオリジナルではない。昔からあった。あの局面で成功させたジダンは最高にイマージナティヴなスタープレイヤーだ。

    ついでにいえば、プシュカシュ・フェイントはオリンピックで2連覇したマジック・マジャールのプシュカシュが創始者(クリエイター)らしい。

最後にクリエイティヴとイマージナティヴがノーベル賞を競った悲喜劇。DNAが二重らせん構造をしていることは今では常識になっているが

それをレントゲンで苦心惨憺の末命がけで撮影に成功したのはイギリスの女性科学者ロザリンドだった。この発見で彼女の指導教授と

2人のアメリカ人がノーベル賞を受賞した。まもなくロザリンドは白血病で早世した。

50年後科学界はロザリンドの名誉を回復し女性差別を反省した。

こう見てくるとクリエイティヴ(=理想)を前にすると、現実的なイマージナティチヴが色あせてみえるかもしれない。

しかし前例がないクリエイティヴの希少価値と皆がもっているイマージナティヴの普遍価値はともに世の中に欠かせないものだ。

他の世界でもそうだが、今サッカー界ではイマージナティヴが希少価値になっている。状況を読めない、変化を感じ取れない、何が起こるか

イメージできない、しなければならないことを想像して仲間に伝えられない、そんな指示待ち選手がふえて、想像力豊かな選手が減ってきている。

原因ははっきりしている。人間が自然から遠ざかって野生を失っていったからである。サルの群れにできることが人間にできなくなっている。

根本的には自然にかえる生活環境をつくらねばならない。自然とのふれあいこそ想像力をはぐくむ源である。*

学習と練習の方法論を洗練させるのはよいが、それがイマジネーションを損ねるなら、それは悪い学習法であり悪い練習法である。

イマージネーションを損ねない練習が一番よい練習である。

究極の指導目標はイマジネーション、千載一遇のクリエイターの出現は結果!


* この問題にこだわってHPを立ち上げました。題して体験と想像力。随時自伝風に自分の体験を書き連ねます。携帯からも入れます。
 
 http://sea.ap.teacup.com/imagine/
  

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