ス ピ ー ド の 概 念 化
競り合いのスピードと切り替えのスピード
June 11, 2003
わたしの指導は浸透するまで時間がかかる。一つの概念がキーワードとなってチームの合い言葉になるのに
数年かかかることがある。
競り合いのスピードと切り替えのスピードもそうなるところだった。3ヶ月前に指導現場で使い始めたが、
選手の腑に落ちて努力目標になったかといえば答えはNOに近い。専門のコーチにいたっては、また素人が
あたりまえのこと、役に立たない常識を持ち出した、としか受け取られなかったようだ。
読者もまたスピードの概念化と聞いて、スピードが指導のコンセプトになるのか、と疑問に思ったにちがい
ない。個人のスピードは、走るスピード、ボールを動かすスピード、判断のスピードの掛け算であって、いずれ
も日々の練習と試合で口が酸っぱくなるほどコーチングしていることではないか、それ以上に何があるのか、
と今反問しているにちがいない。
では問う。日本のサッカーは組織力を長所とし個人力を短所としている。これまでの走力強化、パス.・ドリブ
ルのスピードアップ、判断の迅速化の指導で、1対1で勝てる世界標準の選手は育ったか。
答えは、日本代表vsアルゼンチン代表戦(キリンカップ、長居競技場)であきらかだ。
翌日の朝日新聞夕刊の署名入りコラム「ウエーブ」を見て、我意を得たり、と勇気づけられた。長いが一部を
無断引用する。著者忠鉢信一さん、御免なさい。
「こういう体験をして初めて分かる。次に生かしたい」。福西が正直に驚いたのは、球を奪いに来るアルゼン
チンの速さと厳しさだ。
アルゼンチン独特の指導にヒントを見た。
ガ大阪とセ大阪の若手を「スパーリング相手」に仕立て上げるため、アルゼンチンのコーチが教えたときの
こと。「大切なのは奪いに行って取れれなかったときの立て直し。試合でもそういう場面が多いはず」。全速
で厳しく寄せ、かわされたと想定してまた対応する繰り返し。アルゼンチンの選手も同じように練習していた。
高槻FCの練習方法は、「高槻FC指導論集」sub4−17.htm−ラストタッチの攻防「最後にさわれ、最後に
笑え」にくわしい。
最後にスポマガ WORLD SOCCER に出ているガンバ若手選手の言葉。(Text by Norifumi YOSHIMURA)
「アルゼンチンのような練習は今までやったことがないです。でもあれをやっていれば、そりゃチームは強くな
りますよ」