言 葉 は マ ジ ッ ク で あ る
 November 1, 2000
日本でも古事記以前から言霊(kotodama)信仰があったほどである。
サッカーでは言葉は言葉以上のものである。それは奇跡をうむ魔法である。
そのためにはふつうの言葉づかいではダメだ。言葉があいまいでは魔法はきかない。
ワールドカップ・フランス大会でOKADA-JAPANが今一つ冴えなかったのはそこに一因があったかも
しれない。「相手を食らいつきに来さしてパスをつないで崩せ、と強調しすぎていたことも影響したのだ
ろう。リスクを冒しても狙うべきときに、安全なパスをつないでいた。かといってこういうやり方もあるとか
こういう方法もいい、と指示をあいまいにすると、選手は訳が分からなくなる。」
試合は文化的な戦である。そこでは単純明快な単語かフレーズしか役に立たないことは「山」「川」な
る合い言葉で敵味方を区別した四十七士の討ち入りを思い浮かべれば容易になっとくできるだろう。
第2回全日本少年サッカー大会大阪府大会決勝戦で、スキルでまさる交野FCと戦ったときのことであ
る。前半交野FCのドリブルに悩まされ、きわどいシュートも何本かうたれた。後半ディフェンスをあげて
オフサイドトラップをかけた。戦域が縮小した分、敵へのプレッシャーが強まりゲームを支配でき、キャ
プテンが体で敵をブロックして撃ったシュートがみごとに決まり、全国大会に初出場することができた 。
≪キャプテン村田聡が決勝点を決めた写真≫
そのころ使っていたオフサイドトラップの合図は「タッチ〜」であった。野球のタッチアップからの連想で
攻守の切り替えをふくめて「上がれ」の意味で使った。言いやすくて敵に分かりにくいと思って使い始
めた造語だが、単純明解で効果的だったことだけはたしかだ。
たった一語で「プレッシングサッカー」「フラットスリー」とかの戦いのコンセプトを表現できるのだから

言葉の魔力を利用しない手はない。
一言で状況を変える言葉、一言で人を動かす言葉を、指導者はつねに探し求めなければならない。


戻る
トップへ