谷間に三つの鐘が鳴る

フットサル ・ フットボール ・ フットハーフ

November 16, 2001


9年前、私が40年ぶりにブラジルの故郷を訪れた時のことだった。サッカー留学のために当時12歳の岸本武

志を連れて行った先のロンドリーナ・スポーツ・クラブで、サロンフットボールはやっているか、とクラブの副会長に

聞かれた。少年は、サロンフットボールをやっていれば足りる。現に17歳でロンドリーナECのプロになり、ブラジ

ル代表としてワールドユースで得点王に準じる活躍が認められて、19歳でACミランとの契約を終えたばかりの

エウベルは、元はサロンフットボールの選手だった。このように副会長は話を結んだ。

確かめたわけではないがそのワールドユースの優勝国はポルトガルで、当時の中心選手フィーゴ、ルイ・コスタ

等は、世界のファンタジスタに成長して、来年のワールドカップで来日する。その後ドイツに渡ったエウベルは、

「ブンデスリーグ最強のブラジル人」の異名をとるまでになり、バイエルン・ミュンヘンのCFとしてトヨタカップで

来日する。数年来膝の故障でブラジル代表を辞退しつづけているのが残念である。

サッカーライフ最初の鐘はフットサルであるべきだ、という議論は一理ある。5人制だから一人当たりのボール

タッチの回数が多く少年のプラクティスに最適である。自然にサッカーの動き方とスキルと個人戦術が身につく。

日本でも練習にミニサッカーが多く採り入れられるようになったのはよろこばしい。

フットサルはFIFA公認のミニサッカーであり世界選手権も開催されている。日本では若者の間で人気沸騰して

いる。一つの理由は仕事を終えて夜間できることだろう。これと切りはなすことのできないもう一つの理由は5人

制だから集まりやすいことだ。

また脱線するが、高槻FCのOBでフットサルチームをつくる話が出始めた。有志よ、来たれ。照明をつけられる

屋内スペースの情報を待っている。NPOの法人格を取得したい。 アイデアを寄せて欲しい。フリー掲示板付き

ホームページも必要だ。とりあえずメールを利用して欲しい。

サッカーライフの第二の鐘は、青年の現役のために鳴る、言わずと知れた正規のフットボールだ。

サッカーライフ第三の鐘は8人制フットボールだ。フットサルの連想で仮にフットエイトと呼んでおこう。

ブラジルに里帰りしてはじめて知った事だが、ブラジルでは三種類のサッカーが相互補完的に共存していて

それぞれが市民権を得ている。

8人制の鐘はたが為に鳴るや? 休日の午前中に汗を流して昼に焼肉でビールを一杯やりたい壮年のため

に鳴る。フットサルと11人制がしんどくきつくなったひとのためになる。

それならば11人制でもよいではないか。11人制では人数が揃いにくい。広いスペースが要る。8人制なら

集まりやすくハーフコートですむ。ブラジルでは公園にハーフコートとフットサルコートが設けられている。日本

では小学校のグラウンドが活用できそうだ。河川敷も利用できる。

日本でも8人制に市民権を持たせよう。チームをつくり連盟を立ち上げよう。誰かエネルギーのあふれている

若者で中心になるひとはいないか? マークのデザインはタコで決まりだろう。名称はどれに落ち着くか、喧喧

諤諤アイデアを出し合おう。フットの後にくっつける単語としては、エイト、オイト、オクト、オチョ、ハーフ・・・

なんかが候補に上るだろう。本場のブラジルでも地域によって呼び名が異なり、連盟もない。ロンドリーナでは

スイス・フットボールと呼んでいた。ワールドカップ・スイス大会のおみやげだろう。

サンパウロでは、7人制でソサイチ(社交〉と呼ばれ、連盟もあるようだ。人数に融通をもたせる利点を考慮す

るとフットハーフと名付けたい気もする。

少年は8,9歳までは7,8人制に限るべきだ。10,11歳は8,9人制で、12,13歳ではじめて11人制に

するのがベストだろう。ハーフコートでするそれらをひっくるめてフットハーフと呼び、それぞれをフット7,8,9,

・・・10,11と呼んではどうだろう。

4,5,6歳は3〜6人制にし、それぞれフット3,4,5,6と呼び、コートも人数に応じて狭くし、まとめてミニサッ

カーとかフットサルもどきとか呼べば、公式ルールのあるフットサルとも区別できてわかりやすいのではないか。

欧米の急浮上してきたサッカー強国はいずれも協会が年齢段階別に定員と遠征領域に制限を加えている。

つまり協会が指導コンセプトを一元化しゲームのルールを統一している。そして11歳以下では11人制の公式

戦を協会が禁止している。

日本でも、ゆりかごから墓場までライフサイクルに合わせて三つの鐘が鳴るようにしたい。しようではないか。

生涯サッカーを確立することがサッカーの発展、ひいては「生涯スポーツ」の充実につながるのだ。

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