第二回コンサート

 
 

楽譜も読めない、書けないのに

どうやって<音>を創っているのかと、訊かれたことがあります。

モーツアルトは頭の中で完成した音楽を

ただ、楽譜に移していただけだと言うことを聞いたことがあります。

展覧会の絵の作者ムスログスキーは、頭の中で鳴り響く<音>を書き留めるのに

その手が間に合わなかったと伝えられています。

楽しいときがあります、悲しいときがあります。

心のときめくときも、落ち込んでいるときもあります。

そんなとき、何時も、頭の中で不思議な<音>が鳴り響いているのです。

そんな旋律のほんの何十分の一かもしれません。

ただ、その<音>を拾い集めて、気まぐれにキーボードを叩いているのです。

ですから、同じ曲は二度と弾けません。

楽譜に音符というかたちでつなぎ止められたとき、

<音>はその進化も止めてしまいます。

<音>は、五線譜という束縛から解き放たれたとき、もっと、自由になります。

今、私は、その不思議な<音>を探求し始めたばかりです。

<音楽>というものは、<音>を楽しむためにあるのですから。



<演奏曲目>

ILLUSIONS

THE POLAR EXPRESS

ILLUSIONS

SEDONA


第二回目のコンサートは、第一回目とは会場を変え、東京・お茶の水にある<カザルスホール>に併設された小ホールである<ヴォーリズホール>を会場に開催しました。私の職場に程近く、また、楽器店も沢山ある地の利から、ピアノとシンセサイザーを組み合わせ、斬新なコンサートをやりたいと考えました。曲目数が少ないのは、<音>と<映像>と<朗読>を組み合わせ、<光>と<音>による幻想的なコンサートを演出出来たらと考えたからです。一曲目の<ILLUSIONS>は、<シム・シメール>の幻想的な動物の絵を題材に、即興で曲を創りました。二曲目の<The Polar Express>では、<クリスチャン・オールズバーグ>と言う絵本作家の<急行北極号>と言う絵本をスライドにして、さらに、朗読を加えて演奏しました。四曲目の<SEDONA>は、私の友人の河原さんがアメリカのアリゾナ州にある<セドナ>と言う、美しい大自然を撮ったビデオを元に、シンセサイザーを中心に、幻想的な作品に仕上がったのではないかと思います。



 

平成6年12月5日<ヴォーリズホール>