ちょっといい話

「最後の仕事」

中日新聞 朝刊 2002/2/15

中学生の娘がうれしそうに伝えたバスの運転手の話。降りるとき一万円札しか なくて、こわごわ両替を頼むと、運転手は「次に乗ったとき、今日の分も払って くれればいいよ」と、娘を信用して降ろしてくれた。子どもがやさしくされると うれしくて、親ばかと思いつつ、バス会社にお礼の電話をしてしまった。「路線 からまだ戻りませんが、戻りましたら伝えておきます。あっそうそう、彼は この運転が最後です。今日退職なんですよ。この電話、ありがとうございます」 と言われた。

人気者になれるかな?カバ重吉「6世」後継ぎに
28日、東山動物園へ

朝日新聞 朝刊 2001/5/22

東山動物園(名古屋市千種区)で国内最高齢のカバとして人気を集め、4月中 旬に老衰で死んだオスの「重吉」の後継ぎが、和歌山県白浜町の動物園 「アドベンチャーワールド」にいるオスの「トニー」に決まった。全国に40 頭以上いる重吉の子孫のうちの1頭で、重吉から数えて「6世」になる。今月 28日に東山動物園に運ばれ、1、2週間後に一般公開される。

トニーは97年12月生まれの3歳。父親は重吉のやしゃごで、母親は孫に あたるという。重吉が死んで、東山動物園のカバはメスの「メイ」(3歳) 1頭だけになった。同園が各地の動物園にオスを譲り受けられないか打診した ところトニーとの縁組が決まった。順調にいけば2年ほどで、赤ちゃんの誕生 が期待される。

重吉は52年夏、故郷のアフリカから来園。メスの「福子」との間に、オス6頭 、メス19頭の子をもうけ、カバの出産数の日本記録をもつくった。


長寿の源 もう届けられないね

朝日新聞 朝刊 2001/4/20

「おから、明日から、半分に減らして下さい」

名古屋市千種区の豆腐店「槌屋食品」に16日、東山動物園から電話があった。 「覚悟はしていたけど、本当に逝ってしまうとはねえ」。店の主人土屋森弘さん (56歳)は、急に寂しくなった。15日夜、東山動物園のカバ「重吉」が 死んだ。推定53歳、国内最高齢、人間でいえば100歳を超えていた。 土屋さんはほぼ毎日、重吉の好物のおからを無料で届けてきた。重吉と妻の メイの分をあわせて13`。

きっかけは、35年前の重吉の病気だった。当時の飼育係から「おからを食べさ せてあげたい」と突然連絡があった。土屋さんの先代だった父親がおからを届け 、重吉はみるみる元気になった。 おからは繊維質でタンパク質も豊富、腸にいい。以来、重吉の常食になり、配達 が槌屋食品の日課になった。

実は、最初の数年間は代金をもらっていた。ところがある日、当時の園職員の 話をマスコミが勘違いしたのか、「カバに好意でおからを届けている豆腐店が ある」と報じてしまった。「こうなっちゃあ、代金をもらうわけにゃーいかん」。 職人の意地というかきっぷの良さで、土屋さんは、以後タダで配達を続けた。

おからを食べる重吉を何度か見た。イモやニンジンなどにぶっかけて10`以上 食べる。「ショベルカーのように大きな口ですくい上げ、パクパクっと口に 入れていた。あれはすごかった」その後は、ほとんど病気知らず。「何しろ、 おれのおからを食べとるんやからな」。それが、ひそかな自慢だった。


吸い殻入れ

時々利用する「弁当屋さん」でのこと

かなり前から利用している「弁当屋さん」の店内に、以前は『吸い殻入れ』が 置いてあり 待ち時間の間一服していた。しかし、『嫌煙』や『非喫煙者への 害』が叫ばれるこのご時世、いつのまにか 店内の『吸い殻入れ』は 無くなってしまった。けれども、「待ち時間」が無くなった訳ではないし、 喫煙者は "やはりタバコが吸いたい"。

どうなったかというと、喫煙者は 店外でタバコを吸い、吸い殻は側溝に捨てられる羽目になった。側溝内の 吸い殻の数は半端なものではない。雨が降れば この吸い殻達は、川へ海へ 流れて行くのだろう。そう思うと居ても立ってもおられず、店の人に 「店外 へ『吸い殻入れ』を設置して下さい」と頼んだ。店の人は 「本部に交渉しま す」とは言ってくれたが、「はい、そのようにします」とは言ってくれなかっ たので『期待薄』と思われた。

今日、久々にその店に行ったら、『立派な 吸い殻入れ』が店外に設置されていた。

こういう話をすると、"鼻持ちならない自慢話" ととられる方があるかも知れ ない(多少はあるかもしれない)。しかし、このようなことを敢えて言う人が 居なければ、どんどん悪く・無神経になっていくような気がするし、実際そう なっていっているように思う。


「ごめんなさい」

耳鼻咽喉科の診察室で順番を待っていた。耳鼻咽喉の診察・治療は 神経が頭に近いため、少し恐怖を覚える。大人の私がそうであるから、 幼児などは さぞかし恐いだろうと思う。

診察台から幼児の泣き声が聞こえる。つい立があるため 姿は見えないが、 泣き声からして3才位の男の子のようだ。先生や看護婦さんが、 なだめながら診察しようとするが、男の子は一切受付けようとしない。 そのうち "ガシャン" という音がした。どうやら、診察・治療用具を 蹴飛ばすか払い除けたようだ。

男の子は、泣きながらも 即座に 「ごめんなさい」 と謝った。 診察・治療は嫌だが、自分のしたことが "悪いこと" だという自覚が あったのだろう。そして、それを直ぐに口に出して謝った。

ちゃんと躾がしてあるんだな・・・と感心すると同時に、 男の子の素直さを嬉しく思った。


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