新橋はわが国の鉄道事業発祥の地として有名であるが、当時の新橋駅は旧汐留貨物駅。現在は国鉄時代からの莫大な負債清算の為の巨大な更地のサクの中にある。
 その更地の中心を貫くように新都市交通システムゆりかもめが新橋を始発に臨海副都心へ延びている。
 休日には若いカップルのお洒落なデートコースになっているが、平日の新橋はまさにサラリーマンたちの町である。
 新橋駅前広場にはSL C-11がモニュメントとして置かれ、待ち合わせをするサラリーマンたちと異様なコントラストを浮き彫りにしている。
 駅前広場を印象づけるもう一つのものは、噴水付近に群生する土鳩の群である。
 休日の公園のそれとは違い、その印象は薄汚れていることも手伝ってか、暗く。行き交う人を無視するフテブテしさすら備えている。
 日に何度かエサを与えている老婆に対しても威嚇的な印象すら感じさせる。

 駅前広場のレンガタイルの上に場違いなネズミの骸が横たわっていた。
 その横を無関心な土鳩が通りすぎ、そのまた横を多くのサラリーマンたちが日常に追い立てられるように足早に通りすぎていく。


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