原宿駅から明治通りまでの竹下通りは女子中学・高校生向けのファッション・ファーストフード・タレントショップなどがならび、休日ともなると、その時の流行を楽しむ彼女達でまっすぐ歩けないほどの混雑さとなる。
 頭上には「道で声をかけられたら、まず注意」という横断幕が何か空々しく掲げられている。

 駅をはさんで反対側には、そんな雰囲気とは対照的に明治天皇・昭憲皇太后を祭った明治神宮の広大な緑の森が広がっている。
 この大都会の中の巨大な森は大正9年明治神宮造営の際、全国からの献木をもとに、針葉樹から常緑広葉樹への生態系的変遷を頭に入れ、最終的な完成を150年後と設定し、今も当初の計画に基づき管理されている人工の森と知って驚いた。

 11月になると境内は七五三の参拝でにぎわう。今日の主役の彼女達は10年後には、今度は竹下通りの主役にもなるのだろうか?

 夏、この森で目にしたセミの幼虫の抜け殻を想い出した。セミは地上に出るまでに幼虫として7年間を地下で過ごす。今日のあの子と同じ歳だったわけである。

 あと70年待たなければ完成しない神宮の森は、これからもここを訪れる彼女達と原宿の移り変わりを見つづけるわけである。


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