巨大都市-東京は4世紀の歴史の中で、多くの人を内包し、その流れを享受し続けてきた。
 何故、人々は東京に引き寄せられるのだろうか…?

 「ここで生まれたから…」と答える者もいるが、多くの人は何らかの理由で東京に移り住み、そして、ここで生活を営みつづけている。
 経済・情報そして行政の中心であることのメリットは確かに存在しているが…、ここ東京でなければ、生きていけない必要性は存在するのだろうか…?
 人が集まるところには、需要が生まれ、需要を供給するために人が集められる。集められた人々は、また新たな需要を生み出してきた。

 東京は江戸の開府以来濁流のような人の流入を受けとめてきた。海岸線を埋め立て大地を切り崩し、活動空間を高層化し、巨大都市を形成してきた。
 無計画とも感じられるこの増殖は、ここへきて、大きな綻びを隠しきれなくなってきているように感じられる。長年の矛盾は積み重なり都市空間は泥池のような層を形成してきた。

 鯉はどんな汚れた泥池でも生きていける生命力の強い魚であるが、それゆえ、逆に自分からは清流を目指そうとすることはしない。

 我々は知らぬまに、鯉になっているのかもしれない。


Next