漂泊する視点は東京という巨大都市の回廊を迷路のように漂う。

 あらゆる制御の呪縛から放たれた彷徨は流れに身を任せ、奔流から支流へ、また奔流への反芻を楽しんでいるようにも感じられる。

 突然の既視感の抱擁に戸惑う。無防備のまま、無秩序に蓄積された記憶の断片はもはや再構築されることすら拒絶しつづける。

 戸惑いながら、覚醒されることもなく、また、漂泊を繰り返す。


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