中国第二の都市・上海は特別な都市である。

 清朝時代、黄浦江のほとりの一県城があっただけのこの地に中国侵略をもくろむイギリス・アメリカ・フランスそして日本が帝国主義の欲望を剥き出しに、奪うように租界地を展開していった。

 以後、約一世紀に渡りこの地を舞台に列国のエゴイズムが蠢き、巨大都市を造り上げた。
 1945年に解放され、中国人民の手に戻ってからもイデオロギーのバリアの中、都市としての骨組みをそのままに独自の熟成過程を経て今日に至っている。

 それ故に、この「魔都」と呼ばれた上海に暮らす人々は訪れる者に失ってはならないものを教えてくれるような気がしてならない。


Next