目的のない滞在で、可能だったこと許されることは毎日を意味もなく漂うことだった。

 そこで、目にすることができたのは、そこに暮らす人々の日常の日々だった。一見してそれとわかる旅行者の写真を撮らせてくれという申し出に快く応じてくれた。

 路上で、仕事場で、公園で、人々は気軽に笑顔で…。

 何よりの魅力は人々の日常に通過者としての自分を受け入れてくれたことだった。撮影を終えて少しだけの会話の後、感謝と別れの挨拶を伝え、歩き始めて、フッと振り返るとそこにはもうその人の日常が戻っていた。


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