猫は犬とともに我々人間に身近な動物である。しかし、なぜか干支の十二支の中には入っていない。

 その昔、神様が動物達を集め、「これから12年を一区切りに毎年それぞれ年を決めることにする。年の順番は来年の正月の朝、日の出とともに山奥の私のところに挨拶に来た者の順番とすることにする。」と話した。動物達にとっては大変名誉なことであり、大喜びであった。

 当然、猫もその場にはいたが、寝ていて話しを聞いていなかった。起きてから隣にいたネズミに何の話しかと訊ねたところ、ずるがしこいネズミは「正月は家でゆっくり過ごしなさいと言っていた」と答えた。

 その年の大晦日、牛は動きが遅いことを考えて早くから神様の家に向かって歩き始めた。背中にはあのネズミがちゃっかりと乗っていた。ちょうど牛が神様の家の戸口に着くと日の出であった。牛が神様に挨拶しようとすると、背中にいたネズミがすばやく飛びおり一番目に挨拶をした。牛は残念ながら二番目となってしまった。それから動物達の挨拶はつづき12番目はイノシシで終わった。

 そのころ猫は言われたとうり家でのんびり寝ていた。あとでそのことを聞いた猫はひどく悔しがった。
 それからというもの猫はネズミを見つけると追い回すようになったということであるが…、
 人の話を聞いていないあの性格は変わっていないようだ…。


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