Gravity Control
制御

カルドセプト リボルト戦術論 7-5 ドローカードの比較

 最後にドローカードの比較を行います。ドローカードの大まかな特徴を把握できれば、自分のブックに最適なドローを選択することができるでしょう。

1 ホープ、フィロソフィー

 ホープ    単体瞬間スペル  コスト:40  レアリティ:N
 使用者はカードを2枚引く


 フィロソフィー    単体瞬間スペル  コスト:50  レアリティ:S
 使用者は合成の能力を持つカードが手札にある場合、カードを3枚引く;無い場合、カードを2枚引く

 【ホープ】も【フィロソフィー】も手札の枚数を増やすスペルです。「合成」能力のカードがあれば、合成に用いたカードを補填する意味でも【フィロソフィー】を使いたいところですが、必ずしも合成カードが入るとは限りません。その場合は【ホープ】で十分でしょう。
 手札の枚数を増やすことのメリットは前にも触れましたが、「A 手札枚数の増加」は「B 特定のカードの入手」の役割を兼ねています。【ホープ】と【フィロソフィー】は汎用的に使えるドローカードなので、迷ったらこれらをブックに採用してみましょう。
 ちなみに、【ホープ】はコスト40Gでカード2枚を、フィロソフィーはコスト50Gでカード2.5枚を引くと仮定して計算すると、ドローするカード1枚当たりのコストは20Gということになります。

2 ギフト

 ギフト    単体瞬間スペル  コスト:100  レアリティ:S
 使用者は順位×50Gを得る;使用者は順位と同じ枚数のカードを引く

 【ギフト】は順位に応じて引けるカード枚数と魔力の量が変化します。この解説では4人対戦で、順位が1位から4位までのどこに位置するかは特に決めないものと仮定します。
 この仮定に基づけば、【ギフト】の期待値は「2.5枚のカードと25Gの魔力を得る」(得られる魔力125Gから使用コスト100Gのコストを差し引く)となります。コスト20Gで1枚のカードをドローすることを考えると、コストがかからずに魔力まで貰えるのですから、破格の効率の良さです。
 また、注目すべき点は手札に加えて魔力も調達できる点です。序盤はクリーチャーの配置やゲートボーナスの有無などにより容易に順位が入れ替わるため、期待値以上のカードと魔力を供給できるタイミングが多く、序盤戦に必要な「クリーチャー」と「クリーチャーの召喚魔力」が揃います。中盤以降は趨勢が固まりがちになりますが、それも流動的なものです。
 このことから、多くのプレイヤーがブックに4枚の【ギフト】を入れています。その上で、【ギフト】以外のドローカードを追加的にブックに入れるかどうかを検討します。リボルトにおいて【ギフト】はゲームの根幹を成すカードであり、【ギフト】を想定しない試合はあり得ません。

 では、【ギフト】があることで、どんな環境が生み出されるのでしょうか。
 ひとつは、「プレイヤー全員がブックからたくさんのカードを短い時間で引ける」ということです。【ギフト】4枚がブックに入った状態で、20ラウンド程度で試合が終了することを想定すると、ブックから30枚のカードを引ける計算になります。(初期手札5枚+毎ラウンドのドローフェイズ20枚+【ギフト】の期待値2.5枚×2枚=30枚)これにより、ブックの半分以上のカードが登場することになり、1枚入れのカードもドローできる可能性が高くなっています。
 二つめは、「引いたカードを使うための魔力も得られるため、次々とカードが使われやすい」ということです。カードだけ引いても魔力が得られずに有効な手が打てないといった事態には見舞われず、様々なカードがどんどん行使されていきます。
 一方で、順位がトップの状態をキープし続けると【ギフト】の恩恵にあずかれず、ドローの弱い状態が続きます。必要なカードを引けずに停滞していると、【ギフト】で態勢を立て直した他のプレイヤーからの追撃を受ける、なんてことも起こり得ます。そうならないためには、【ギフト】以外のドロースペルを入れるのもひとつの方法です。
 総じて、試合展開を高速化してゲームにダイナミズムを生み出していると言えます。

3 プロフェシー、フォーサイト、ミラクルコール

 プロフェシー    単体瞬間スペル  コスト:40  レアリティ:S
 使用者は、選んだタイプのカードを1枚引く


 フォーサイト    単体瞬間スペル  コスト:30  レアリティ:S
 使用者は使用者のブックの上から6枚を見て、1枚を選び、引く


 ミラクルコール    単体瞬間スペル  コスト:70  レアリティ:S
 使用者はブリードカードがブックにある場合、それを1枚引く;無い場合、カードを2枚引く

【プロフェシー】は、任意の種類のカードをドローできます。スペルは役割が豊富で、かつクリーチャーやアイテムよりもブックに採用される枚数が多いことを考えると、主にクリーチャーやアイテムを引くために使うことになるでしょう。
 【プロフェシー】はブックからカードをドローする限りにおいて、クリーチャーもしくはアイテムと見なせます。例えば、クリーチャーが18枚、アイテムが6枚、プロフェシーが4枚入ったブックの場合、ドローする期待値としては、ブック50枚中クリーチャー22枚、アイテム10枚と見なすことができます。
 ただし、これはブックに実際にカードが投入されている訳ではありません。例えば、1ラウンド目の手札にアイテムがない状態で、【プロフェシー】でアイテムを引いてきたとすると、ブックの残りカード43枚からアイテムをドローできる数は43枚中8枚となってしまいます。2回使えば6枚、3回使えば4枚となり、「【プロフェシー】でアイテム・カードとみなしたカード枚数」は大きく減少していくことに注意が必要です。他のプレイヤーから、クリーチャーとアイテムの物量で攻め込まれた時に、自分の領地を防ぎきれない可能性が出てきます。
 【プロフェシー】の機能はドローの偏りを作ることであり、ワイルドカードではありません。序盤にクリーチャーを引いてしまったが故に、終盤にクリーチャーが求められるような展開になった(クリーチャーのSTが高めで殴り合いが発生した)場合には、必要な要素をブックから供給できなくなってしまう可能性があることに注意が必要です。

 【フォーサイト】は、これから5ラウンド先のドローが開示されることで、自分がどのようにカードを使って、ゲームを組み立てるのかを予測できます。その間はプレイングが効率的になるでしょう。5ラウンド分の自分のドローが開示されるのはデメリットでもありますが、このくらいであれば、メリットの方が大きいと言えます。万が一、欲しいカードが引けなかった場合でも、引かないことを前提としたプレイが可能です。
 また、ドローを開示するデメリットを逆手にとる方法もあります。手札に干渉を目的としたカードを抱える「提示効果」を見込む場合、【フォーサイト】で【アステロイド】や【シャイニングガイザー】を見せることで、カードをブックから引かない段階から提示効果を発揮することも可能です。

 【プロフェシー】と【フォーサイト】を比較すると、クリーチャーやアイテムを引くなら【プロフェシー】で、スペルの選択を重視するなら【フォーサイト】が適しています。また、【プロフェシー】は、クリーチャーやアイテムが多めのブックであれば、敢えて【プロフェシー】を入れずともドローできるため、これらのカードが少ないブックにおいて真価を発揮するでしょう。極端な例ですが、【パウダーイーター】を主軸に据えたブックであれば、【プロフェシー】は当然に4枚入ります。

 【ミラクルコール】は【ブリードドラゴン】が有りのルールなら、当然に採用を検討すべきカードです。ブックに【ブリードドラゴン】が残っていなくてもカードを2枚引けるので、【ギフト】以外のドローカードは【ミラクルコール】に置き換えてしまっても差し支えないでしょう。【リバイバル】や【プロフェシー】と組み合わせれば、【ブリードドラゴン】をどんどん呼び出すことも可能です。
 ただし【ブリードドラゴン】はあくまでも1枚のクリーチャーに過ぎません。ブックが特定のカードに依存しすぎると、ブック全体として破綻する恐れもあります。

4 リンカネーション

 リンカネーション    単体瞬間スペル  コスト:70  レアリティ:R
 使用者は手札を全て捨て、その枚数+1枚のカードを引く

 【リンカネーション】は、今の手札を捨てて同枚数のカードをブックから引くドローカードです。
 【リンカネーション】は適当にブックに入れても勝利に貢献してくれるカードではないため、どのような状況であれば【リンカネーション】が必要とされるのかを予め決めておく必要があります。それなりのコストを支払って現在の手札をすべて捨てて、新しく引き直しているので、自分の今の手札の状況を正しく評価しなければなりません。そして、そのタイミングで必要なカードがあるのなら、積極的に使うべきカードです。
 ブック(戦術)におけるクリーチャーやアイテム、スペルの性質が均質で、なおかつそれが許容されるマップ(ルール)であれば、【リンカネーション】は要求されません。逆に、各カードにおける役割が差別化されていて、なおかつそれに基づくプレイングの手順化が必要とされるマップ(ルール)であれば、【リンカネーション】抜きのブック(戦術)構成は考えられません。

 一方で「【リンカネーション】を上手く使えない」というプレイヤーもいることでしょう。多くのケースでは「アイテムを捨てられない」というのが大きい理由ではないでしょうか。リボルトでは、クリーチャーのダウンというルールが追加されたために、迂闊にアイテムを捨ててしまうと、土地の防衛が疎かになってしまいます。
 そこで、【ボーテックス】などの土地呪いスペルや、援護クリーチャーを準備すると、手札にアイテムがなくとも一定程度は土地が守れます。また、ブックの残っているアイテムの枚数をカウントし、どのくらいの確率でドローできるか計算することも大切です。こうした準備をすることで、土地の陥落を恐れずに【リンカネーション】を使うことができるでしょう。

 【リンカネーション】が求められるブックは次のようなケースが挙げられます。
 まず、ブックから自分の手順に貢献するカードを引き出して自力達成を目指すケースです。具体的には、ランドトランス戦術など特定の順番で行動する必要があるようなブックです。最初は連鎖を作るためのクリーチャーや【地形変化スペル】、その後に【ランドトランス】が必要になります。これらのカードを引くのが遅れれば遅れるほど、自分の手順は進まず、試合展開が遅くなり、他のブックが本来の力を発揮するようになってしまうでしょう。
 もちろん、展開が遅れた場合を想定して、自分以外の誰かが達成しようとした時にこれを止める手段をブックに用意する方法もあります。しかし、往々にして起こりえるのは、これらのカードを自分が理想とする順番でドローできず失速してしまうパターンです。
 【リンカネーション】は「目的のカードをドローできない」という閉塞した状況を打開するためのカードと言えます。

 次に、状況に応じて自分のブックから盤面に必要な要素だけを厳選して供給するケースです。例えば、【シャイニングガイザー】を使う相手がいた場合に、MHP40以下のクリーチャーは召喚せずに【リンカネーション】で流してしまい、MHP50以上のクリーチャーを厳選して配置していくことが出来ます。これによりMHP50のクリーチャーを手札に揃えるまでの時間を短縮し、余計な召喚コストを支払う必要がなくなります。

5 フェイト、トゥームストーン、ネビロス、テンタクルズ

 【フェイト】は秘術と破壊時の能力により、ブックからカードを1枚引けます。配置する余裕の無い終盤に手札に来たとしても、相手のクリーチャーに突っ込ませて破壊されることでカードを1枚引けるので、手札で腐ることがありません。また、【ゴールドグース】との組み合わせにより、カードを引きつつ魔力を手に入れられるため、次の行動に間をおかず移れることや、魔力を持て余して【ドレインマジック】の対象となる危険性を緩和できます。【フェイト】の本質は、「余剰の領地指示機会をドロー機会へと変換すること」にあります。
 実は、【トゥームストーン】や【ネビロス】【テンタクルズ】も似たような性質があります。これらは一定の条件を満たすことで手札を増やすカードですが、発動条件は自分のラウンドである必要はなく、相手のラウンドを利用することができます。あるいは、中盤以降の余った領地指示機会を利用してドローすることができます。
 スペルのドローカードに比べれば安定性にはやや欠けますが、この利点を最大限に引き出せれば、非常に強力なドロー手段となり得ます。

6 ワンドロー付きスペル(バイタリティ、グリード、ボーテックス、ディジーズ、リキッドフォーム、デビリティ、ポイズンマインド)

 これらのカードはドローを目的としてブックに入れるよりも、本来のカード効果を目的としてブックに入れるべきです。その上で、副次的な効果としてドローの性質を併せ持つと理解した方が良いでしょう。ドローを目的とするのであれば、これまでに紹介したカードの方が効果的だからです。
 一方で、ブックに複数枚の【ワンドロー付きスペル】が投入されると、ブック全体としてはドローカードが入ったかのような動きをします。ブックから数枚のカードを引けるため、多少なりとも目的のカードを早めに引くことができるでしょう。
 ただし、闇雲にドローしても、ドローカードでドローカードをドローすることになり、魔力とスペルターンを消耗するだけで、勝利には結びつかないでしょう。