ブックに入れるべきクリーチャー・カードの枚数は、そのブックが目指す戦術によって異なります。自分の戦術に沿った枚数を模索して試行錯誤を繰り返すことが必要ですから、一概に「クリーチャー・カードはX枚以上入れるべき!」などとは言えません。以上で、この項目についての説明は終了です。
しかし、何をどのくらい入れたらいいのか、感覚的にしか判断できず、自分の経験上で論じることしかできないのであれば、ブック構築を深いものにすることは難しいでしょう。
そこで、ここでは、「自分が採用しようとする戦術においてどのくらいの枚数のクリーチャー・カードが必要なのかを計算する方法」を解説します。戦術の選択はプレイヤーに委ねますが、「この戦術を想定するなら、このくらいの枚数は必要だ」ということは、計算で導けるのです。
ジャンクションを例に考えてみましょう。
ジャンクションでは、1周28歩で、1回のダイスの平均値は5.33歩であることから、1周するのに平均5.3ラウンドかかる計算になります。(5.33歩×5.3ラウンド=28.2歩)ここでは、計算を単純にするために、5ラウンドと仮定します。
また、目標魔力達成までに、4周(20ラウンド)程度かかるものと仮定します。これは各プレイヤーが任意で定めて構いません。
各プレイヤーは、最初の手札5枚に1ラウンド目のドローフェイズでカード1枚を引いて、手札6枚の状態からスタートします。つまり、20ラウンドまでに25枚のカード(ブックの半分)を引ける計算になります。
以上をまとめると、次のようになります。
ラウンド数 | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 |
周回 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
カード枚数 | 5 | 10 | 15 | 20 | 25 |
次に、どのタイミングでどのくらいの量のクリーチャーを引きたいかを想定します。今回は、序盤は空き地が多いでしょうからやや多めに、終盤は空き地も少なくなる上にレベルアップなどの領地指示機会が逼迫するのでやや少なめに見積もることとします。具体的には、2回目の周回ボーナスを得られるタイミング(10ラウンド)で4連鎖・レベル4をひとつ作り(4111)、ランドトランス戦術を絡めながら5連鎖・レベル5をふたつ作る(55111)を目指します。
ここは、各プレイヤーの採用する戦術によって数字が大きく変化する部分です。【ケルピー】など足止めクリーチャーを主体で使うのであれば、必要最小限のクリーチャーで事足りますし、ばら撒きで盤面に圧迫をかけ続けるのであれば大量のクリーチャーが必要になります。自分のブックがどの程度のクリーチャーを行使するのかを明確に定めましょう。
ラウンド数 | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 |
必要なクリーチャーの枚数 | 2 | 5 | 7 | 8 | 9 |
今回は、試合終了を想定する20ラウンドまでに9枚のクリーチャーを引くことと仮定しました。これらの中には連鎖を形成するために必要なクリーチャーに加えて、相手の土地の隣に【リビンググローブ】を配置したり、連鎖を削られたり、援護に使ったり、クリーチャー・カードを破棄したりなどの、損耗するクリーチャーも数に含まれています。
ここまでの数値をもとに「各ラウンドに必要となるクリーチャーを供給するためには、クリーチャーがブック全体においてどのくらいの比率を入れる必要があるのか」を計算することができます。また、各ラウンドに要求されるクリーチャーの比率は下のグラフのように表すことができます。
ラウンド数 | 0.0 | 2.5 | 5.0 | 7.5 | 10.0 | 12.5 | 15.0 | 17.5 | 20.0 |
周回 | 開始 | 1周 | 2周 | 3周 | 4周 | ||||
ドローしたカードの枚数 | 5.0 | 7.5 | 10.0 | 12.5 | 15.0 | 17.5 | 20.0 | 22.5 | 25.0 |
必要なクリーチャーの枚数 | 2.0 | 3.5 | 5.0 | 6.0 | 7.0 | 7.5 | 8.0 | 8.5 | 9.0 |
クリーチャー比率 (ブックに占めるクリーチャーの割合) |
40% | 47% | 50% | 48% | 47% | 43% | 40% | 38% | 36% |
クリーチャー比率から導かれる ブックに必要なクリーチャーの枚数 |
20 | 23 | 25 | 24 | 23 | 21 | 20 | 19 | 18 |
このことから、次のことが言えます。
ゲーム開始直後は最初に配られた5枚の手札があるため、それなりにクリーチャーが供給されることから、クリーチャー比率が40%あれば、十分に需要を満たすことができます。
しかし、1周目が終わる時点(5ラウンド)では、クリーチャーの需要がもっとも高く(50%)、試合開始時点に最適化した比率(40%)では、需要に対して供給が追い付かないことになります。
その後、試合が進むにつれて、必要とするクリーチャーの比率はどんどん下がり、最終的には36%まで低下します。
ピーク時(50%:25枚)に合わせてクリーチャーを入れると余りがちになり、ボトム時(36%:18枚)に合わせてクリーチャーを入れると不足しがちになりそうです。では、どのくらいの数を入れたら良いのでしょうか?
刻々と変化するクリーチャーの需要に対して、ブックにおけるクリーチャーの比率は一定であり、常に需要と供給のギャップが発生することになります。
そこで、もっとも需要と供給のギャップが小さいクリーチャーの枚数が、そのブックに必要なクリーチャーの枚数ということになります。
これらを整理したのが以下の図になります。今回のケースでは、クリーチャー21枚を入れることで、需要と供給のギャップが最も小さくなることが分かりました。計算上では、それよりも多いとクリーチャーが余りがちになり、それよりも少ないとクリーチャーが不足しがちになるということです。
ラウンド数 | 0.0 | 2.5 | 5.0 | 7.5 | 10.0 | 12.5 | 15.0 | 17.5 | 20.0 | |
クリーチャー比率から導かれる ブックに必要なクリーチャーの枚数(A) |
20 | 23 | 25 | 24 | 23 | 21 | 20 | 19 | 18 | |
ブックに入れたクリーチャーの枚数(B) | ブックに必要なクリーチャー枚数との差(AとBの差) | 合計 | ||||||||
24枚 | 4 | 1 | 1 | 0 | 1 | 3 | 4 | 5 | 6 | 25 |
23枚 | 3 | 0 | 2 | 1 | 0 | 2 | 3 | 4 | 5 | 20 |
22枚 | 2 | 1 | 3 | 2 | 1 | 1 | 2 | 3 | 4 | 19 |
21枚 | 1 | 2 | 4 | 3 | 2 | 0 | 1 | 2 | 3 | 18 |
20枚 | 0 | 3 | 5 | 4 | 3 | 1 | 0 | 1 | 2 | 19 |
19枚 | 1 | 4 | 6 | 5 | 4 | 2 | 1 | 0 | 1 | 24 |
18枚 | 2 | 5 | 7 | 6 | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 | 31 |
折れ線部分がその時点で必要とされるクリーチャーの枚数(需要)で、直線がブックに入れたクリーチャーの比率から導かれるブックから引けるクリーチャーの枚数(供給)です。
21枚の線が、需要と供給のギャップが最も小さい計算になります。ただし、これはドローカードを考慮に入れていません。