Gravity Control
制御

カルドセプト リボルト戦術論 7-1 カードの機能

 「ドロー」とはカードを引くことです。「ドローフェイズ」にはカードを引くことができます。
 また、カードを引く効果を持つカード群を「ドローカード」と呼ぶこととします。

 カルドセプトにおけるプレイヤーの行動の多くは、カードを介してなされるものです。
 連鎖を築くためにはクリーチャー・カードが欠かせませんし、魔力を得るためにはスペル・カードを使うと効率的です。カードの存在を無視して、カルドセプトを論じることはできません。
 全ての行動の基礎となるブックからカードを引くこと――ドローは、直接的に利益を引き出すものでも、相手に干渉するものでもありません。しかし、適切なドローによって、ブックはその性質を強く引き出し、またその弱点を補うこともできます。
 この章ではドローの役割と性質を明らかにすることで、セプターがブック構築の際の一助となることを目的としています。
 そこで、この項では、カードの性質を評価するいくつかの方法について説明します。カードの性質を深く理解することで、ドローについてもより深く理解することができるでしょう。

1 機能

 カードが試合の中で果たす役割を「カードの機能」と呼ぶこととします。

 カードには様々な効果があります。効果はカードのテキストを読めば一目瞭然ですが、それだけではカードの性質を理解することは難しいでしょう。カードには、試合の中で果たす役割――カードの機能があります。
 例えば、【マナ】・【ランドトランス】・【ドレインマジック】は、「魔力を得る」という点においては、似たような効果を持っています。しかし、これはあくまでもカードの効果であって、試合においてどのような働きをして、ゲームの行方にどんな影響をもたらすのかについては、触れていません。
 試合の中で果たす役割(カードの機能)に着目すると、カードは次のように定義できます。

【マナ】
無条件に周回数×50Gの魔力を得る。試合時間の経過とともに、得られる魔力が増える。
【ランドトランス】
4連鎖・レベル4以上を作成し、それを放棄することを条件に、レベル5を作成する魔力を得る。
【ドレインマジック】
相手の効率的なレベルアップや領地売却を抑制する。魔力を奪うのにも使える。

 カードによっては複数の機能を併せ持つものがあります。(例:【シャッター】は相手のアイテム・カードを破壊する機能と、スペル・カードを破壊する機能を併せ持つ。)また、カードの組み合わせによって、機能が変わるものがあります。(例:【先制クリーチャー】+【武器アイテム】で、【武器アイテム】が土地の防衛機能を持つ。)

 ちなみに、【マナ】・【ランドトランス】・【ドレインマジック】は、得られる魔力の量に大きな差があることからも、同列に見做すことはできません。

【ドレインマジック】
0~200G 程度(1000Gを持った相手に使うことを想定)
【マナ】
50~250G 程度(5週目までを想定)
【ランドトランス】
1100~2400G 程度(4連鎖・レベル4以上の領地売却を想定)

2 機能率

 カードが、試合中に機能する頻度を「機能率」と呼びます。
 働きやすいカードは「機能率が高い」、働きにくいカードは「機能率が低い」と、表現します。

 無条件に、様々な場面で、対象を選ばずに、使えるカードは、機能率が高いです。
 一定条件で、限られた場面で、対象を選んで、使わなければならないカードは、機能率が低いです。
 よって、【マナ】・【ランドトランス】・【ドレインマジック】の機能率は、次のように比較できます。

機能率はルールと対戦相手等の影響を受ける

 カードの機能率はマップやルール、対戦相手によって大きく上下します。
 例えば、土地がたくさんある広いマップであれば、連鎖が組みやすく【ランドトランス】の機能率が上昇します。ランドトランス戦術が強くなるにつれて、【ドレインマジック】の機能率も上昇するでしょう。
 一方で、【バリアー】や【不屈クリーチャー】を入れたブックが登場すれば、【ドレインマジック】の機能率は低下します。スペルの対象となるのを防いだり、魔力を簡単に増資に回したりすることができるからです。

カードの組み合わせによる機能率の上昇

 カード単体では低い機能率も、カードの組み合わせによって高めることもできます。
 例えば、【ティアマト】単体では侵略できる領地は限られます。しかし、【ムラサメ】や【バインドミスト】などの補助となるカードを入れることで、機能率を高めることもできます。ただし、特定のカードの機能率を高めるためだけに、別のカードをブックに入れると、他のカードが入る余地がなくなるため、ブック全体として強くなるかどうかは別の問題です。

3 提示効果と機能率

 カードを使わずに手札に提示することで、相手の行動に影響を与える効果を「提示効果」と呼びます。

 カードによっては、カードを行使せずとも手札に持つだけで一定の効果が得られるものがあります。これを「提示効果」と呼びます。
 例えば、【ドレインマジック】は「領地売却の抑制」と「領地のレベルアップの促進」という2つの提示効果を持ちます。
 一方で、【マナ】や【ランドトランス】には提示効果はありません。
 また、提示効果のあるカードは、機能率が高い傾向にあります。これは、特定のタイミングでカードを使う必要がないからです。手札に抱えるだけで干渉できるため、しばらく機能が持続するのです。

 参考までに、提示効果のあるカードとして、次のようなものが挙げられます。

【リビンググローブ】
領地の防衛にアイテムが必要となるので、相手にアイテムを抱えさせる提示効果
【防衛用のアイテム】
侵略しても守れるので、侵略するだけ無駄だと思わせ、侵略を抑制する提示効果
【アステロイド】
領地のレベルアップを抑制する提示効果

4 機能時間帯

 試合開始から終了までのラウンドの経過の中で、あるカードが機能する特定の期間を「機能時間帯」と呼びます。

 試合開始から終了までのラウンドの経過の中で、あるカードが機能する特定の期間を「機能時間帯」と呼びます。
 試合中のどのタイミングで引いても機能を発揮するカードは「機能時間帯が長い」と、序盤や終盤のみに機能を発揮するカードは「機能時間帯が短い」と表現します。

【マナ】
時間帯を選ばずに、機能する。
【ドレインマジック】
相手の魔力を奪う機能については、相手の魔力と自分の判断に依拠するため、不規則な時間帯で機能する。領地売却の抑制機能については、領地売却が有効になる時間帯以降に機能する。
【ランドトランス】
レベル4・4連鎖が作成された後の時間帯から、機能する。

5 カードの機能を比較する

 これまでのカード機能に関する比較をまとめると以下のようになります。【マナ】・【ドレインマジック】・【ランドトランス】は「魔力を得る」という点では似たような効果を持つカードですが、下記のように比較すると、ゲームにおいてそれぞれに果たすべき役割があり、同一視できるようなカードではないということが一目瞭然です。
 このように、カードの機能を比較することで、カードを正しく理解することができます。
 似たような機能を持つカードが複数あった場合には、それぞれのカードを具体的なゲームでの運用を想定しながら差別化して、ブックに必要な機能を取捨選択できるのです。

6 まとめ

 カードを効果のみで「強い」「弱い」と論じるのは、真にそのカードを理解したとは言えません。
 試合全体において、どんな機能を果たし、どの程度の機能率を持っているかをきちんと把握した上で、ブックに必要なカードを選択するのです。
 余談ですが、あなたが「弱い」と考えるカードは、真の機能を把握できていないだけかも知れません。ただし、全てのカードが機能するとも言えません。