ラクーンを他の宝石マップ(アンカー・カオスパレス)と比較します。
マップ名 | 土地数 | 周回距離 | 20Rまでの獲得魔力 | 宝石屋の利用回数 |
ラクーン | 30 | 21 | 3283 | 1 |
アンカー | 26 | 28 | 2860 | 1 |
カオスパレス | 30 | 26 | 2510 | 2 |
※ 20Rまでの獲得魔力はゲートボーナス、土地数、ラウンドゲインなどから独自に算出
ラクーンは土地も魔力も潤沢に供給されるマップです。宝石屋が2ヶ所あるために属性石の売買が容易で、特別な技術やカードがなくても一気に魔力を高めることができます。アンカーは序盤から属性石を買うための収入カード(クレアボヤンス)が、カオスパレスは即時売買するための瞬時の計算力が必要でしたが、ラクーンではどちらも必要ありません。
土地の広さを生かして連鎖を組み、属性石の売買で魔力を得れば、3周目(11ラウンドあたり)で5連鎖レベル5を作ることも可能です。そこからランドトランスに移行して、レベル5を2個作りながら、余剰資産(属性石か追加の連鎖)があれば目標魔力を達成できます。
15ラウンド程度の試合時間を想定しながらプレイすべきマップでしょう。
1周目はクリーチャーの配置に専念すべきです。色が被っていて特定の属性石の高騰が見込める場合は、属性石を買っても良いかも知れませんが、別に買わなくても問題はありません。下手をすると、出遅れる場合すらあります。1周目の属性石は、買ったから早くなったり、有利になったりする類のものではありません。
2周目は500G以上を抱えた状態で宝石屋に駆け込むべきです。クリーチャーの配置に魔力は使うべきですが、シフトなどの地形変化やクリーチャー交換には魔力を使うのは控えましょう。
宝石屋を通過する際には、価値が上がりそうな属性石を買うのがセオリーですが、価値の低い属性石を買っても構いません。何でも良いから属性石を10個買って、直ちに次の宝石屋で売り払ってしまえば、魔力が500G増えます。
1周目に属性石を買ってしまうと、2周目にまとめて買うだけの魔力が手元に残らない可能性があります。確実に価値が上がる属性石を買うならともかく、自分の色だからという理由だけで買うと、相手に40Gの価値の属性石を差し出して、10個買うことを促してしまいます。1周目で属性石の買い方を指摘した理由はこのためです。
3周目は属性石を売り払って、周回ボーナスと合わせてレベル5を作成します。この時点で5連鎖組んでランドトランスを引いていれば、領地の売却からレベルアップ2回で目標魔力を達成できるはずです。
細かい点を指摘すれば、余剰資産(属性石か追加の連鎖)があれば確実になりますし、属性石を持ったまま、5連鎖レベル4からのトランスを仕掛ける場合もあります。多少のプランの変更はありつつも、3周目での上がりを見据えて立ち回る必要があるでしょう。
このようなプランを描きつつも、3周目で達成ができず4周目以降に展開が伸びる場合があります。理由としては、ドローやダイスなどの関係で上手く土地が取れなかった場合がほとんどです。この場合は、通常のマップと同じように土地の攻防や高額地踏みなどの要素が顕在化します。重要なのは必ず通過しなければならない6ヶ所のT字路です。4周目以降に展開が伸びるのであれば、ここを誰かが踏んで決着が付くことを見越すべきでしょう。
ラクーンはクリーチャーをばら撒いて連鎖さえ組めてしまえば、特別なカードをブックに入れなくても15ラウンド程度で目標魔力を達成できるマップです。これは単純に「展開が早い」ということ以上の意味を持っています。
まず、他3人に走られた場合に達成を止めるための手段が限られるということです。スペルやクリーチャーを行使する機会が15ラウンドしかなく、ピンポイント侵略でレベル5を狙うのは恐らく1~2ラウンドしかありません。つまり早く上がろうとすることで、妨害を避けることに繋がるのです。
走ることの本質は、他者に干渉する時間を与えず、不確定要素を極力排除してゲームを終わらせることにあります。特に、ラストリボルトのように普段対戦をしていない人間が多数集まる大会では、相手のブックが読めない以上、ブックからカードを引く時間を与えずにゲームを進めることで干渉を避けると同時に、第三者間の通行料支払いや高額地落としを避ける意味合いもあります。
15ラウンドで達成するためには、次のカード群を10ラウンドまでに引き切る必要があります。どれか一つでも抜け落ちると、15ラウンドでの達成はなくなります。
ギフト4枚を入れた場合、10ラウンドで約18枚のカードを引けると想定できます。(初期手札5枚+10枚のドロー+ギフト期待値3枚)よってギフト4枚のドローの場合はクリーチャー20枚以上、アイテム6枚以上、シフト6枚以上、ランドトランス3枚以上となります。
この中で特に難しいのがシフト2枚です。シフトの枚数を増やす方法もありますが、マカラ、バードメイデン、グーバクイーンやパウダーイーターなど、クリーチャーで連鎖を組む方法も考えられます。
ブックの動作安定性を求めた場合、ブックからたくさんのカードを引いて、上記の要素を全て満たす必要があります。具体的には、ギフト4枚にドロースペルを追加する方法です。
また、ブック以外の要素としてダイスが挙げられます。ダイスが腐った場合には、どうしても勝負に絡むことはできません。「運が悪い場合には負けるのは仕方がない」と割り切るのも一つの考え方ですが、「運が悪くなる要素を極力排除したい」と考えるのであればヘイストやホーリーワード8などの移動スペルを複数枚投入する方法があります。
反対に、ブックの動作安定性よりも達成ラウンドを早めるための爆発力を求めるのであれば、タイニーアーミーやフラットランド、ホームグラウンドなどの密命カードを投入して、一気にまくる方法も考えられます。ただし、これは目標達成のためのルートが複数になるだけであり、これを前提としたブック構築は15ラウンド達成には向かないと考えるべきでしょう。15ラウンド達成のためには普通にクリーチャーをばら撒いて、属性石を買うだけで十分であり、密命カードを使う必要はありません。運が良かった場合に、密命カードで一気に短縮できるのです。
2周目に宝石屋にを通過する際に、相手の手持ち魔力を減らしつつ自分の手持ち魔力を増やせるので、ドレインマジックは複数枚採用したいカードです。普段はランドトランスの抑制に使いますが、ここでの役割は違うものです。
特定のカードに依らず、マップから供給されるリソース(土地と魔力)だけで十分に早い展開になるということは、手札破壊(シャッター、セフト等)があまり意味をなさなくなります。例えば、ランドトランスが強いマップであれば、ランドトランスを破壊するためのシャッターや、ランドトランスを抑制するためのドレインマジックが有力なカードですが、属性石を使って魔力を伸ばすことも可能なためそこまでランドトランスの需要が高いわけではありません。
しかし、手札破壊は相手の妨害に使うだけではなく、自分の資産を守る手段でもあり、単純に抜いてしまって良いものではありません。ブックに負荷をかけない形での手札破壊を考える必要があります。
マジカルリープは連鎖確保やゲートの切り返しなどに使えるスペルですが、ラクーンではとにかく周回のためのダイスを振らなければ、15ラウンド達成はありえません。そのため、序盤から数歩先の空き土地を確保するためにマジカルリープは使いにくく、移動しながら空き地を確保できるヘイストやホーリーワード8に軍配が上がります。最終盤に宝石屋へのアクセスを確定させたり、残り1個の連鎖を伸ばす機能はありますが、用途は限定的です。入れても1~2枚でしょう。
バリアーは宝石屋を通過するまでのドレインマジックを防ぐという点では優秀ですが、ダイスが振るわなかった場合には負けてしまいます。一定程度の有利は取れますが、一気に不利な形勢を逆転したり、確定的な状況を生み出したりする力はありません。
属性石を抱えた状態で宝石屋から宝石屋へ移動することを咎められるので、相手の伸びしろをカットできます。
一方で、2周目までに引くとしたら何枚入れるのか、という問題が発生します。3周目で属性石を売り払うのであれば、その時点ではオブリタレートは用済みになっており、肝心のもっとも目標を達成しそうな相手に通じる干渉手段ではなくなってしまいます。
ラクーンのオブリタレートは機能時間帯が限られるが故に、使い所が限られるカードと言えるでしょう。
自分ともうひとりが同じように走っていて、その相手に引かれた場合は脅威ですが、それ以外の場合は宝石屋を使って魔力を多めに生み出せば、クッションできると思います。
以上のことを踏まえて作成したのが、次のブックです。
ギフト4・ホープ4により達成のための4要素を確実にブックからドローすることが基本コンセプトのブックです。
マカラ4・マイコロン3が軸であり、クリーチャーを配置できない領地指示機会をマイコロンにより土地に変換していきます。
ヘイストで宝石屋に確実にアクセスしつつ、スクイーズは魔力調整ができる手札破壊枠として採用しています。
ティアマトが活躍できる時間帯は作らないように、とにかく試合展開を前に倒していきましょう。
結果は1位、2位、2位の3戦1勝でした。大きく崩れず確実に2位以上を確保するという意味では十分に機能したと言えますが、準決勝ではもう少し爆発力に軸足を置いた構築でも良かったかも知れません。