「あはは…どうしようかな」
「真澄ってめんどくさい娘よ。私なら…」
「そ、そうだなぁ…悪くないかもね。由希子さんの方が美人だし」
俺は由希子さんの腰に手を回す。由希子さんは潤んだ目で俺を見ると腰に回した手を掴んできた
ギュッ
「うわ、痛!」
俺は由希子さんに思いっきり手の甲をつねられていた。思わず手を引いてしまう。その隙をついて俺から離れる由希子さん。
「男ってみんなこうだから…最低ね」
「え?」
「わたし、浮気が平気な人って絶対信用しない事にしてるの。あんたねぇ、今、真澄の事、好きって言っておきながら、なんなのよ。だらしがない!
見損なったわ」
「そ、そっちこそ、試すような事をして。卑怯じゃんかよ」
「引っかかる方が悪いの。あんた真澄の気持ちを考えた事がある? あの娘はねああ見えて根は真面目だから好きになったら一途なのよ。それにあんたの事を昔から…まぁいいわ。もうあんたには真澄を会わせないからそのつもりでね」
「そ、そんな!」
「もう真澄の事は諦めるのね。それじゃぁ」
一方的にまくし立てると由希子さんはその場から去っていく。
俺は頭の中が真っ白になったまま立ちつくした。
それから由希子さんの言ったとおり、真澄ちゃんは二度と俺の前に姿を表すことはなかった。
【END】
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