5月20日(日曜)午後9時30分、家を出発。家族に新飯塚駅まで車で送ってもらいます。荷物はリュックサックにカメラバック。15分ほどで新飯塚駅に到着。
とりあえず切符を購入。私は高知までの乗車券を買うつもりでしたけど、他社(JR四国)の券は駅の窓口では販売できないとのこと。とりあえず大分県佐伯(さえき)市までの乗車券と特急券を買います。
まずは筑豊本線を鹿児島本線と連絡する折尾駅まで行く訳ですが、これが午後10時34分の快速。
出発までの40分ちかくを旅行プランの再確認などでつぶします。快速に乗ると折尾まで約30分。11時27分発の「ドリームにちりん」に乗り換えです。
この「ドリームにちりん」号は宮崎空港行きで日豊本線唯一の特急夜行列車。5両編成で1両目がグリーン車、2両目指定席、3、4両目が自由席(禁煙席)5両目が自由席(喫煙席)になっています。
あと夜行だからでしょうか?女性専用の区画もあるみたいです。九州の特急列車に乗るのはこれが初めて。なかなか綺麗な車内でした。

▲日豊本線特急「ドリームにちりん」大分駅にて
目的は大分県南部の海沿いの町、佐伯市です。到着予定時刻、翌日の午前4時28分。
時期的、時間的に考えて乗客は少ないだろうと見越して、自由席を取ってたのですが、けっこう乗客は多い。なんとか進行方向向かって右側の窓際の席を見つけて座りました。
4号車一番前の席です。
私は別府湾の夜景を見たかったので、心情的には左側に座りたかったのですが、仕方がないかと諦めてました。
ところが、この特急、小倉駅で折り返すらしい。
鹿児島本線と日豊本線との分岐は小倉駅ではなく、その手前の西小倉駅だったのです。(知らなかった)
小倉駅で進行方向が逆になります。ということは、進行方向に対する左右も逆になる訳で、ラッキーな事に希望通り、別府湾の夜景は見れそうです。
私は今回初めて進行方向が逆になる列車に乗ったのですが、折り返しの時、他の乗客はどうするのだろうと思っていました。
折り返し駅で様子をみてみると、車内アナウンスに従い、乗客全員が椅子を反転させましたね。面倒くさがる人がいるかもと思ったりしてましたけど、やっぱりちゃんとするんだと、ちょっと感動(笑)
私も生まれて初めて列車の椅子を、座席横のペダルを踏んでくるっと反転させました(笑)。
夜だったので外は真っ暗。もし月でも出ていたら多少、景色を楽しめたかもしれませんが、あいにく曇。それでも街の灯りを楽しみながら列車の旅を続けます。
日豊本線は国道10号線と平行して走っているのですが、その10号線はよく私が別府や湯布院にドライブに行く時に通る道で、違った視線で見慣れた(?)景色を楽しむのもまた味なものだなぁと思いました。
別府湾の夜景は綺麗でした。
途中、別大国道(別府市、大分市を結ぶ国道10号線の別称。別府大分毎日マラソンなどで有名)の道のすぐ横を列車は走ります。
ふと外を見るとGT−Rが列車と平行して走っていました。
やはり列車の方が多少速く、次第に遅れをとるGT−R。
私のすぐ横まで来ると、急に「ばびゅーん!」と加速し列車をあっという間に追い越し去って行っきました。
なんと言うか、まったく大人げない……。
もしかして、私がじろじろ見ていたから、彼(ドライバー)の闘争心に火をつけてしまったのでしょうか?(まさかね……)
「にちりん」は大分駅に到着。ほとんどの乗客がここで降ります。私の区画(列車は車両の中心にドアがあり、客車は前後に別れて客室がある)には男性が一人いるだけでほぼ貸し切り状態となりました。
大分ではなんと1時間以上も停車するとの事。暇なのでホームに出て写真を撮ったり、メモを書いたり、MDを聴いたりして時間を潰します。
デジカメの電池を交換し、一眼レフのフィルムも交換。それでもかなり時間が余ります。
周りを見ると他のホームは真っ暗。列車の着いてるホームのみ灯りがついていました。時刻案内板には次の列車は7時27分臼杵(うすき)行き普通列車とあります。この列車が出ると次の列車は5時間後です(汗)

▲乗客のいないガランとしている車内
残ったほとんどの乗客は寝ているみたいです。起きている人間はホームに出てくつろいでいます。
車内はたまに車掌が通るくらいで、すごく静かでした。もちろんエンジンの音と空調の音は聞こえてはいますけどね。
なかなか出来ない経験なので、これはこれで面白かったかもしれないです。
午前2時47分。やっと大分駅を出発です。
外を見ると大分の化学工場の灯り、煙突の航空障害灯の点滅が綺麗でした。
私はもうひとりいた乗客の真似をして、前の席の座席を反転させて向かい合う形にし、靴を脱ぎ足を伸ばします。行儀悪いがかなり楽チンになりました。
次の停車駅は臼杵駅。ここでも20分停車です。

▲前の座席を反転させて
足を伸ばす。
これは楽チン、楽チン(笑)
この時間、貨物くらしか通らないハズなので、列車待ちという事ではないと思いますけど……もしかして乗客の寝過ごし防止の為、長い停車時間を設けているのでしょうか?
さすがにこの時間になると少し眠気がおそって来ます。私は熟睡防止のためMDを聴きながら仮眠します。10分ほど走って、次の津久見(つくみ)駅でも20分停車。夜行の停車時間は長いという法則を知らされました(笑)
定刻どおり4時28分、佐伯駅に到着。ここは昔、同僚と海水浴に行った時に通った(しかもここで道に迷った)ことがあったので少し知っている町。
駅から徒歩でフェリー乗り場へ行きます。
このあたりで空が白みはじめました。
雨がぱらぱらと降っています。残念ながら今回は天候には恵まれそうにありません。

▲午前4時30分、佐伯市街で空が白み始めた。
15分ほど歩くとフェリー乗り場に到着です。
さびれた感じの待合室はある意味いい味を出してました。なぜか、いたるところにコミックや雑誌が置いてあります。貸してくれるものと思って見てみると、なんと売り物らしい。なんか怪しげ(笑)。
とりあえず乗船手続きをして、出航の5時30分まで待ちます。
待合室には乗客5人ほどしか人がいません。しかし、外には乗船待ちのトラックがけっこう停まっているようです。観光色より産業色の強い航路のようでした。

▲宿毛観光汽船のフェリー「しまんと」
「フェリーしまんと」は佐伯港から四国は高知の南西に位置する宿毛(すくも)港を結ぶフェリーです。私は2等船室に乗ります。いわゆる雑魚寝ってヤツです。
私は一番乗りして、大きな窓のあるすぐよこに陣取り、毛布を借りてきて横になりました。
船室はがらんとしてました。私の区画には年輩の男性の方が一人いるだけ。他の区画を見渡しても一区画に3〜5人ほどしかおらず、全体でも20人ほどしかいませんでした。
私はうとうとしつつ、2時間半の船旅を楽しみます。宿毛港到着は8時。

▲ガランとしている船室

▲いかにも土佐らしい男性的な岩肌が見えてくる
6時30分、四国が見えて来ました。あれは宇和島辺りでしょうか?
そして、荒々しい崖をもつ小島がいくつも見えてきます。そして入り組んだ断崖絶壁の半島が現れます。たぶんここが高茂(こうも)岬でしょう。この辺りは足摺宇和島国定公園で風光明媚な場所が多いらしいです。
船室では一緒の区画にいた年輩の男性に話しかけられました。私と同じく高知へ行くそうで、大分の方でした。
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