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 『私が創作活動をするようになったきっかけ』 1997年10月18日


 突然ですが、ここで私の昔話などにつきあってくださいませ。

 そもそも、私がイラスト……というよりクリエーティブ活動(なんて大それたものではないのですが)をなぜやり始めたのかというお話をします。

 私は小さい時から絵を描くのが好きで、暇があれば車の絵など描いていました。それに幼稚園から小学校を卒業するまで絵を習ってました。中学に入ってからは友達とゲームなどの漫画を描いて遊んでいましたし、高校はぜんぜんダメだったけど漫画家をめざそうなんて思って試行錯誤してました。

 そんな感じで物を描く事は私の人生について回っているのです。絵、音楽、小説など、たくさん表現する方法がある中で、イラスト(絵)に力を入れてるのはその辺りに原因があるのだと思います。

 それで、私が将来、自分だけのやりかたで物を表現してみようと誓った(って言ったら少しおおげさ?)のは中学の時に大阪の親父の実家へ里帰りに言った時でした。

 福岡に住んでる私は、フェリーで神戸まで行ってそこから電車に乗って大阪へという手段を使ったのですが、そのフェリーの中で、興奮して眠れなかった私は一晩中、ヘッドホンステレオ片手に甲板から海を見ていました。

 その日は快晴で星空と月がとっても綺麗な夜でした。盆地に住んでいた私は当時、海を見る機会など年に2、3回しかありませんでした。夜の海を見る事なんて皆無でした。そのときの感動は今でもよく覚えています。
 初めて自然を美しいと思えた一瞬でした。海面に続く月の光の帯が眩しく輝いていました。こんな景色がこの世界にあったとは……と衝撃を受けました。

 空には星が瞬き、瀬戸内海の狭い航路を行くフェリーからは遠くには灯台の明かりが見え、対岸を走る車のヘットライトが見えたり、小さな貨物船とすれ違ったり……。
 そこには私の知らない夜がありました。私の友達も知らない、多くの人間が知らない夜がありました。

 この夜を知らないまま一生を終える人間もいることだろうと思うと、出会えた私はなんて幸せなのだろうと思ったりもしました。

 飽きることなくその景色を見ていた私は、いつの日かこの”美しい”という感動を自分で表現してみせると強く思いました。それが、私が創作活動をやろうとしたきっかけだったと思います。

 この日、私が真面目に2等船室で寝ていたら、現在の私はないかもしれません。今思うとこの夜に私の人生の目指したい方向が定まったんだと思います。
 その結果はまだぜんぜん出ていないけど、これからそれを実践できるよう努力して行きたいと思います。