旅のトラブル
 
〜パスポート紛失編〜
 



 えー、非常にはずかしいのですが、パスポートをなくしたときの体験について書きます。そう、私は前歴があります。どうしてなくしたかについては、88'中国編で書こうと思っています。 
 なくしたときにどうしたらかいいかを、ぼくがなくした1988年と今とでは多少状況が異なっていると思いますが、なにか参考になればいいと思い書いておきます。 

 当時はまだあの目立つ赤いパスポートだったので、個人情報がオンライン化されていないとかいう理由で、再発行には非常に時間がかかりました。なんでも、戸籍のある自治体にファックスを送って本当にその人が戸籍上に存在しているかとか、いちいち確認していたそうです。さらにそのファックス代は本人持ち。再発行までに一週間近くかかりました。 

 今の青いパスポートに変わってからは照会も非常に早くなり2〜3日で再発行が可能だそうです。実際、タンザニアのモシでなくしたという人に会いましたが、数日後にはダルエスサラームで新しいパスポートを発行してもらってほっとしていました。 
 でも、それでも帰国に間に合わないという方にはパスポートなしでも緊急帰国とかいうかたちで帰ってくることはできるので大使館の人に相談しましょう。 

では、なくしたときにどうしたらいいか?

 パスポートをなくしたらまずは現地の警察にいって、紛失証明書を書いてもらいます。ところで、派出所という制度がある警察は世界の中でも特殊で、日本と他に数カ国くらいのもです。ふつう警察というと、その街には一つの大きな署があるくらいなのでそこへ向かいます。 

 次に日本の大使館あるいは領事館を探します。だいたい各国の大使館が集まっている区域がどこの国にもあります(日本の場合は港区かな)ので、地図で確認してタクシーで向かいます。バックパッカーだからバスや徒歩で行く、というのもいいですが緊急を要することですのでこういうときくらいタクシーを使いましょう。 

 さて、大使館に入るときの心構えを一つ。大使館は海外にいる自国民を助ける為の場ではありません。どちらかというと外交のための布石の一つとでもいいましょうか。特に日本の場合はその傾向が強いようです。(湾岸戦争や、インドネシア暴動における日本大使館の対応の遅さを思い出せばわかります。他の西側諸国はすぐに自国民に連絡して軍と連携して避難態勢を取る。日本は毎回その対応の遅さが指摘されるのに同じことを繰り返すばかりです。いかにプライオリティーが低いかがわかります。) 
  
 ですから、われわれ旅行者というのはたいていけむたがれる存在だと思ってください。旅行の途中で、お金をなくした、盗られたといっても大使館に行ってはいけませんよ。行っても大使館ではもちろんお金を貸してくれません。日本から送金ができる銀行を教えてくれることぐらいでしょうか。 

 では、入りましょう。大使館に入ろうとすると警備の人に門で止められますから、パスポートを紛失した旨を言って中に入れてもらいましょう。そして担当の人にその旨をもう一度伝えます。おそらく日本人が対応してくれるでしょう。 

 すると書類を渡されますので、内容を記入します。そこにはパスポートを再発行するために必要な名前、住所、本籍などを書くための欄があります。そして再発行のための写真も必要です。もしもっていなければ、適当な写真屋を紹介してくれるでしょう。ここまで、記入してほっとしていると、もう一枚書類があります。始末書です。いつ、どこで、パスポートはどのようにして保管しておりました、パスポートをなくしたときはこのようでした、と状況等を含めて作文をしないといけません。そしてできたらそれを担当の人に提出します。 

 ぼくの場合は日本人の担当官でその始末書を見ながらねちねちとやられたので切れそうになりました。もちろんきれてはいけません。 
(後日、パスポートを取りにいったら道が渋滞していて約束の時間を10分遅れてつきました。するとまたまたねちねちとはじめたので、「そうですか、今日はパスポートは受け取りません、明日また来ます」と言って帰ろうとすると、後ろから「ねー、本当にいいのー?渡すよー」と言われたのですが、「結構です」と言って帰りました。翌日は秘書の中国人女性からパスポートを受け取りました。) 

 このように苦労してようやく再発行されます。これで、みなさんもいつなくしても大丈夫ですね。でも、なくさないのこしたことはないで、十分に気をつけてください。