硬座の旅
再度、列車に乗り込みます。洛陽までの長い旅です。
中国では列車のことを火車といいます。
蒸気機関車のころの名残でしょうか。
ちなみにバスのことは汽車といいます。
中国の火車は次の四つのグレードに分けられます。
軟臥(なんが) |
一等寝台 |
硬臥(こうが) |
二等寝台 |
軟座(なんざ) |
一等座席 |
軟座(こうざ) |
二等座席 |
広州駅で乗り込んだのはこの一番下、硬座でした。
これがつらかった。
座席は日本の特急と同じ向かい合わせの席なんですが、
座席がほんとうに「硬い」のです。半端じゃやないくらい。
さらに、背もたれが木でできていて、直角。
洛陽までの三十数時間、ほとんど眠ることができませんでした。
(つらさのあまり、火車の中の写真は一枚もありません)
さて、洛陽までの硬座の席でいろいろなことを学びました。
その中から二つ、紹介してみます。
日本人は漢字が書けるのので、中国人と筆談をして意志の
疎通をはかることができます。
でも、意外と中国人は日本人が漢字を書けることをしらないのか、
火車の中でノートを開き漢字を書き始めると驚かれます。
このときばかりは高校のときに漢文をきちんとやっておいて
良かったと思いますね。
でも、いいきになって書いていると、漢字の間違いを指摘されて
書き直されたりしてしまいます。
旧字、略字の違いなんて認めてくれません。
郷に入っては郷に従え、ということですね。
中国人はよく、私(わたくし)の部分と公(おおやけ)の部分を
使い分けるといわれます。
では火車の中でどのようにそれを実感するかというとゴミの扱いにです。
火車の中でみんな落花生にひまわりの種、カボチャの種を
ぽりぽりと食べながら、話に花を咲かせます。
その殻はどこへいくかというと、みんなの足下です。
火車の中は乗車率100%なんてどころじゃないくらいの混雑で
床の上に座る人、座席の下に潜り込む人、さらには
みんなの持ち込んだ荷物で足の踏み場もないくらいです。
でも、そこに躊躇無くゴミをすてます。
おまけに「たん」まで、ぺっと床に吐いてしまう。うーん。
さて、この床に捨てられたゴミの行方ですが、
ある時間になると服務員(乗車員)がまわってきて
ほうきとちりとりで掃除をはじめます。
ふぅー、と思っているとちりとりを窓に持っていて
ざざざーっ、と外に捨ててしまいます。うーん。
食事時になると弁当を売りに来ます。
スチロールでできた容器にご飯と肉と野菜の炒め物が
はいっているのが一般的なようです。
食べかすがのこっていても、そのまま容器は窓の外へ。
ビール瓶も窓の外へ、ガシャン!うーん。
でも窓の外を見てみると、このスチロールの容器が
落ちてくるのを待っている人たちがいるんです。
ある意味循環は行われているのかもしれません。