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第6回 注目のメタデータ検索「Spotlight」〜2次的な利用法「スマートフォルダ」「Finder検索」等〜

今回は、前回のコラム「注目のメタデータ検索「Spotlight」〜概要と基本的な使用方法〜」の続編として「スマートフォルダ」を始めとする2次的な利用法について紹介しつつ、単なる検索機能で留まる事のない「Spotlight」の幅広い可能性等を確認してみたいと思います。


●「Spotlight」検索の拡張版ともいえる「Finder検索」

前回のコラム「注目のメタデータ検索「Spotlight」〜概要と基本的な使い方〜」では、メニューバーのアイコンから機能を呼出す最もシンプルな「Spotlight」単独での使用方法等を紹介しましたが、「Spotlight」はこの単独での使用に留まらず、様々なアプリケーションに組込む事も可能となっており、結果として組込まれた側のアプリケーションに対して様々な付加機能を齎す事にも貢献しています。この辺りがPlug-In等の使用により拡張される側だった「Sherlock」とは大きく異なる点であり、「Finder」や「Mail」「System Preferences(システム環境設定)」「Address Book(アドレスブック)」「iTunes」「iPhoto」「iCal」「Automator」等のApple純正ソフトウェアのみならず、最近ではサードパーティベンダも続々と自社開発のソフトウェアに対する「Spotlight」の組込みを開始しているようです。

そしてそれらの中でも最も頻繁に使用されるであろう「Finder検索」は、従来までの「Finder」が有していたファイル検索の対象範囲にメタデータの要素を加えただけのものではなく、検索条件の指定にも様々なメタデータの内容を個別に指定する事が可能となっており、結果として検索ヒット数が多くなりがちな通常の「Spotlight」検索と比較した際にも「より速く」「より確実な」検索結果を得る事ができるようになっています。その他、検索結果のウインドウ内で任意のファイルパスが視覚的に確認可能となる等、より効率的な機能も提供されていますが、中でもここではファイル管理の概念に劇的な変化を齎すであろう「スマートフォルダ」を中心に採り上げてみたいと思います。


●ファイル管理の目的を手段に戻す「スマートフォルダ」

この「スマートフォルダ」とは、名称から察せられますように「iTunes」にて馴染みの深い「スマートプレイリスト」のフォルダ版と考えれば分り易いかと思います。つまりフォルダに対して予め一定の条件を与えておけば、当該条件を満たしているファイルやフォルダは既存のものだけではなく、後に追加されたものも含めて全て該当するスマートフォルダに属せられるといった性質のもので、言い換えれば「メタデータを含めた条件で定義された永続的な検索結果」という事がいえるかと思います。スマートフォルダの実体は、

という階層に格納されていますが、検索条件に合致したファイルの実体は当該スマートフォルダに移動されている訳ではなく元の保存場所のまま。つまり「スマートフォルダ」とは1種の「仮想フォルダ」と定義する事ができるかと思われます。

続いて、ここからは「スマートフォルダ」の利用を順を追って確認してみたいと思います。

まずは「Finder」で「ファイル」>「新規スマートフォルダ」、或いは「ファイル」>「検索...」の何れかを選択します。現れるウインドウはどちらを選んでも変わらないのですが、ショートカットキーがシンプル(「command」+「F」)なので「検索...」の方をお勧め致します。
Finder検索ウインドウ
↑「Finder」で「ファイル」>「検索...」を実行した後に現れるウインドウ。「新規スマートフォルダ」を選択しても同じウインドウが現れる(クリックで拡大します)

検索クエリはウインドウの右上、虫眼鏡のアイコンが付いている角丸のテキストフィールドに入力。これは「Mac OS X 10.2 Jaguar」より変更なし。検索クエリをスペースで区切れば「Yahoo!」「Google」等の検索エンジン同様「AND検索(論理積)」として機能しますし、「|」で区切れば「いずれかを含む」の「OR検索(論理和)」、A(-B)とすれば「Bを含まないA」といったいわゆる「NOT検索(否定演算)」も可能です。

※2005年7月現在、「Mac OS X 10.4.2」において演算子を用いた検索を行った場合、ファイル名に対しては「AND検索」しか有効にならない状況が確認されています(「OR」及び「NOT」が利用不可。ファイルの内容に関しては「AND検索」「OR検索」「NOT検索」何れも利用可能)明らかにバグだと思われますので早期改善を望みます。

続いて、その下の行では検索対象範囲を指定。初期値は「コンピュータ」となっていますが、「その他」を選択すれば任意のボリュームやフォルダ等も指定可能となっています。尚、ネットワークボリュームやリムーバブルディスク等、標準では「Spotlight」のインデックスが作成されないボリュームも検索範囲として指定可能ですが、その場合にはメタデータが検索対象に含まれず、従来までのファイル名による検索が行われる事となります。

次に、その下の行では検索条件の詳細指定ができるようになっており、初期値では「種類」と「最後に開いた日」の2行が表示されています。これは右側の「-(マイナス)」と「+(プラス)」のボタンをクリックする事により増減可能となっており、左側のボタンをクリックして表示されるプルダウンメニューから1番下の「その他...」を選択すると様々なメタ情報がリスト表示され、これらも検索条件の1つとして指定可能となります。
メタデータリスト
↑上記リストは縦方向のスクロールバーを見ても分るように、サポートされているメタ情報の中のほんの1部分です。これを見るだけでもメタデータが網羅している範囲の広さが伺えるかと思います(クリックで拡大します)

このようにして検索条件を指定し、検索クエリを入力していけばインクリメンタルサーチの機能と共に検索が開始されます。ここでは「Spotlight」と「Tiger」というクエリをスペースで区切り「AND検索」として指定。場所は「コンピュータ」全体、種類を「書類」に設定し、最後に変更した日を「2ヶ月以内」という条件の下でFinder検索を行ってみました。
Finder検索→スマートフォルダ作成
↑クリックで拡大します

結果は上記スクリーンショットの通りで、赤い数字の「2」が指している「i」の文字をクリックすると、通常の「Spotlight」ウインドウと同様にファイルの詳細が表示されます。そして、1番下の行では選択反転している「colum005.html」のフルパスが表示されていますが、これは単に視覚的に認識しやすい形で表示されているだけのものではなく、ダブルクリックすれば実行(開く)、右クリック(または「contorol」+「クリック」)すればコンテキストメニューを呼び出す事ができる等、実際のファイルやフォルダと同様に扱う事が可能です。

そしてその後、赤い数字の「1」が指している右上の「保存」ボタンをクリックすると「スマートフォルダ」の保存場所と名称を設定するダイアログが現れますので、ここでは、

以上の条件にて「スマートフルダ」を作成すると、Finderウインドウのサイドバーに紫色のフォルダアイコンが現れます。
スマートフォルダ

これが今回紹介している「スマートフォルダ」と称される仮想フォルダであり、今後コンピュータ内で先程指定した検索条件(ルール)に合致するファイルが増減した際にも、ユーザサイドでは何も作業を行う事なく結果がリアルタイムに反映され、任意のファイルが複数のスマートフォルダから参照された場合でも、その全てのスマートフォルダに任意のファイルは登場していきます。検索条件(ルール)はスマートフォルダ内右上の「編集」ボタンから呼び出せるパネルにより変更する事が可能です。

尚、現時点における「Finder検索」ではメールが検索対象に含まれていないため、メールに関する諸情報の検索を試みる際には前述のSpotlight検索、或いは「Mail.app(Apple Mail)」における検索にて対処する事となり、メールに関する仮想フォルダを作成する場合には、同様に「Mail.app」より「スマートメールボックス」を作成する必要があります。

ここまでが「スマートフォルダ」の概要、及び基本的な使用方法の紹介となります。尚、同様のコンセプトを有する機能は来年末リリース予定とされる「Windows Vista(Longhorn)」にも実装されると思われますので、「Mac OS X 10.4 Tiger」にて概念等に慣れておくと、後々に役立つのではないかと思います。

因みに「スマートフォルダ」は使い方次第ではありますが、クリエイティブプロフェッショナルのユーザが多いとされるMacintoshの世界では、ファイル管理という概念においてAdobeによる「Version Cue」共々、多大な改革を齎してくれる可能性も秘めていると思われます。元来「道具の使用方法を習得するために時間を割くのは不毛な事。そこで割く時間をデザインを創造する時間に費やしたい」と考える事の多いデザイナの中には、フォルダやファイルの階層分けを始めとするファイル管理、及び類する作業全般を「非常にまどろっこしい事」と捕える方が多いと聞いています。しかし現実的には、種々のマテリアルや複数バージョンのデザイン母体等をしっかりと管理しておかないと生産性が落ちてしまい、まかり間違うと大きな事故に繋がる危険性がある事も事実。ところが生産性向上のための手段である筈のファイル管理がいつの間にか目的に変わってしまい、その目的を達成するために多大な労力を費やしてしまう、といった本末転倒な事例も見られがちです。そんな方々こそ、是非とも「スマートフォルダ」の概念を理解して有効活用して頂くと、生産性の向上と時間の有効活用に貢献してくれるのではないかと思われます。

他にも、常にデスクトップ等がちらかりがちになってしまう「片付けられない症候群」の方は「とりあえず任意のフォルダにファイルを纏めておいて、スマートフォルダを用いて仕分けする」等といった使い方をすると、非常に効率良く作業を行う事ができるのではないかと思われます。→事例「辛酸なめ子さん」


●Spotlightを利用した、その他の応用機能

最後にSpotlightとうまく連動し、より効率的な作業を実現するための応用的な機能を幾つか簡単に紹介していきます。

1-ファイルの「開く、保存」ダイアログボックス(ナビゲーションサービス)

まずはファイルの「開く、保存」ダイアログから紹介します。この分野はClassic Mac OSの時代から、特にパワーユーザからはあまり良い評判を得ておらず、「Mac OS 8.5」辺りでようやく「ナビゲーションサービス」が導入されて少しは進化したような印象を受けましたが、定番ユーティリティの「Default Folder」を使い始めると、とても元には戻れなくなるような代物でした。

そんな「開く、保存」ダイアログに、現バージョンからSpotlightの検索機能が加わった訳ですが、だいたいこんな感じです↓
ナビゲーションサービス
↑クリックで拡大します

この機能は思ったよりも重宝します。ファイルを開こうとしてダイアログを出した後に「あれ?さっきのファイル、どこに保存したっけ?」何ていうのは仕事が立込んでくるとよくある話ですが、ファイル名や内容の1フレーズでも覚えていればインクリメンタルサーチの機能で結構絞り込めたりするので、意外と使い勝手が良い感じです。尤も細かい検索条件までは指定できませんし、結果も見易くカスタマイズできたりする訳ではないので、あくまでも付加機能といった感じです。尚、こちらでもファイル名による検索時に「OR検索」と「NOT検索」は機能しませんし、結果として「Default Folder X」に対抗できる程の代物ではないですが、あちらはシェアウェアですので、まずはOS標準の機能として試してみるのも良いかも知れません。

2-Plug-in

次にPlig-inに関しても少し触れておきます。Spotlightは、特定のアプリケーションにて作成されたデータからメタデータを収集するための機能を2種類の形で提供しており、1つは

という階層に納められている拡張子が「mdimporter」というPlig-inファイルを参照する形、もう1つは「BathyScaphe」のようにアプリケーションの本体に機能を含んでいる形の2種類の提供形態があります。これらのリストはTerminalから

とする事によりリスト表示が可能となり、Plug-inファイルを別途提供する形をとれば、後付けでアプリケーションにSpotlight検索のメリットを追加する事も可能となっています。(エルゴソフトの「EGWord」はPlug-inファイルを別途提供する形式をとっています)

3-検索キーワードを使った絞込み

もう1つ、Spotlightの検索条件の絞込みをキー入力から行う方法も紹介します。

これは「Finder検索」時にプルダウンメニューのリストから選んでいた検索条件の指定を、検索語入力時にキーワードとして一緒に入力しようとするものです。例えば「Mac OS X」という単語を含むpdf書類を、Spotlightメニューから検索しようとする場合は、Spotlight検索のウインドウに

と入力する事により絞込み可能です。使い方としては、前半部分に検索語(青文字)、スペースで区切った後に検索キーワード(緑文字)を入力します。「kind:pdf」とは「種類がpdf」という意味で、Spotlightキーワードは「kind:(種類)」の他にも「date:(日付)」等といったものもあります。

先程のファイルの「開く、保存」ダイアログもそうですが、CUI(注1)(キャラクターユーザインターフェイス)に精通しているパワーユーザの方は、こちらの方が使い易いのではないかと思います。


●総括

2回に分けて紹介して来たMac OS X 10.4 Tigerの目玉機能「Spotlight」は、OS標準としては初めてといっても良い位の本格的なデスクトップ検索機能で、いろいろな形で応用していけば、様々な可能性を生み出す事ができるでしょう。それと同時に後追いで搭載してくるであろうベンダ達にも、1つの大きな指針を示すべく重要な役割も担っていると思います。

惜しむ無くは「現状であまりにもバグが多い」事。これはSpotlightだけではなく、Mac OS X 10.4 Tiger全体、はたまた以前のMac OS Xの前半バージョンにもいえる事なのですが、明らかに「テスト不足」と思われるようなバグが10.4.2になった現在でも多くみられています。中には英語版では問題ない箇所が日本語版で不具合を起こしていたり、旧バージョンでは問題なかった箇所が現バージョンで不具合を起こしているといったような、ローカライズやレグレッションの問題もあります。これまでのように後半バージョンでは煮詰まってくると思いますが、是非とも早期に改善して欲しいところですので、私自身、積極的にフィードバックする事で協力していきたいと思っています。


●本文訳注

(注1)CUI

Character User Interface(キャラクターユーザインターフェイス)の略。初期のUNIXや往年のMS-DOSのように、全ての命令をコマンド入力で操作しようとするテキストベースのインターフェイス。Mac OS Xでは「ターミナル」や「コンソール」「X11」などが該当する。あえて好むパワーユーザも多い。


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Created Date : 05/08/07
Modified Date : 05/09/21