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第3回 Mac OS Xとインターネットの親和性-純正ブラウザ「Safari」について

家庭内、及び企業内でもいえると思いますが、メインでの利用を想定したコンピュータに最も求められる機能の1つとして、インターネットとの親和性(いかに快適に使えるか)が挙げられるかと思われます。ではMac OS Xはそういったユーザの要望にどこまで応える事ができるのか。まずはオペレーティングシステム標準のWebブラウザ「Safari」について考えてみたいと思います。


●純正ブラウザとしての大きな期待を背に

2003年初頭に開催されたMacworld Conference & Expoにて、初めてベータ版が発表された「Safari」は久しぶりのApple純正Webブラウザとして様々な期待と憶測を持って迎えられ(注1)、この発表から数週間後にはClassic OSの時代から標準Webブラウザとして君臨し続けてきた「Internet Explorer」がMac OSプラットフォームからの撤退を表明。それに倣うように「Opera」や「Camino」も開発中止を仄めかす等(実際には2004年2月現在も開発継続中)、Macintoshにおけるインターネット環境の大きな転機の1つとなりました。

しかしその後、大規模なアップグレードは正式版の提供時以外に殆どなく、セキュリティホールに対するパッチ(セキュリティアップデート)の配布時や、オペレーティングシステムのアップデート時に一緒にマイナーアップデートを繰り返すばかりと、Mozilla.orgが提供する「Gecko」レンダリングエンジンを搭載するWebブラウザ(Mozilla、Firefox、Camino等)や、ライブドアが国内販売元となっている「Opera」が積極的にアップデートを繰り返すのに比べると地味な印象は拭えない感があり、一部のメディアからは「IEと同じようにOS標準の安心感があるのでは?」といった論評を見かけたりする事もあります。


●シンプル、軽快、先進性、ハイセンス

そんなSafariに関してですが、機能の詳細はAppleの公式サイトに譲るとして、おおまかなコンセプトとしては「シンプル、軽快、先進性、ハイセンス」といった点が挙げられるかと思います。特にレンダリングエンジンには、軽快さで定評のあるKDEオープンソースプロジェクトによる「KHTML」をベースに、Appleが独自の改良を加えた「WebCore」を搭載。細部に渡るチューニングによって、起動時間、ページの読み込みから描画、JavaScriptの実行時間等、何れもMac OS X対応のブラウザの中では「最速」といって差し支えない程の軽快さを誇っています。(ページの描画等はFirefox、Camino等、甲乙つけがたい部分もありますが、全体的な「体感」で感じる限りでは、僅かながらSafariが最も快適なような気がします)

全体的なインターフェイスも従来までのブラウザの標準を覆すような、Appleらしいセンスの良さがふんだんに盛り込まれています。タブブラウジングはMozillaの二番煎じのような形で導入されましたが、上付きの省スペース設計は斬新さと効率の良さを感じさせ、同様のインターフェイスを持つFirefoxのテーマはWindows版でも広く普及していますし、再読込(リロード)と読込中止(ストップ)をワンボタンで兼用し、ツール廻りをシンプルにしたあたりは非常にすっきりとした印象を与えます。

他にもBookMark廻りのインターフェイスも従来の常識を覆すような斬新さを持っており、Googleの検索ウインドウをツールバーに設けた事や、検索結果のページに即座に復帰可能なスナップバック技術等は、インターネットの普及によって生じた「検索」の重要性にAppleらしい豊かな発想とトレンドへの柔軟性にてアプローチ。後に多くのブラウザがこれらの技術に追従する姿勢を見せる事となる等、ブラウザ市場の新しい牽引者たる役割をも果たしています。

しかしバージョン1.Xの現在、ページ表示の正確性といった部分では未だ問題を抱えている部分が見受けられ、特に文字コードの自動判別に関してはうまく機能しない事があり、ソースコード上でエンコーディングが宣言されていないと文字化けを起こす事が多々あります。そんな事からも「現在世界中にあるWebページをどの程度、制作者の意図通りに表示する事ができるか」といった観点で考えてみると、Windows版のInternet Explorerには到底及ばない事になり、時にはCamino等で正しく表示できるページがSafariでは崩れて表示される事すらあります。(その逆も存在しますが)そしてこの件に関連する問題として、一般のパソコンユーザーがMacを敬遠する大きな理由の1つに挙げられる「Windows版のInternet Explorerを使わないと見れない(動作しない)ページが数多く存在する」という点では当然ながらSafariも例外ではなく、公的機関や金融関係をはじめ、一部の資格試験の申し込みやブログの投稿、あるいはActiveScriptが使われているページや、WindowsMediaによるストリーミング等、見れないだけでは済まされず、「Mac(OS)では用が足りない」という悲しい現実が存在する事も確かなのです。

しかしながら、このような現実の原因が一方的にMac(OS)、あるいはSfariの側にあるのかというと決してそうとはいい切れない部分も多く、SafariやMozilla.orgが提供するブラウザは「W3C(World Wide Web Consortium)」が提唱しているWeb製作の標準規格に準拠する形で開発が進められており、最近耳にする事も多く、業界のトレンドともいえるXML(注2)やCSS(注3)、或いはIDN(国際化ドメイン名)等をいち早くサポートしてきた事等、掲げているコンセプト(向かって行く方向性)が間違っていない事は確かでしょう。ただ、惜しむなくは多くのWeb製作者、特に時間とコストに追われる企業レベルでの製作者は、どうしても圧倒的なシェアを誇るInternet Explorerでの動作、及び表示確認に絞って開発を進めてしまうケースが多く、そのInternet Explorerがどちらかというと独自で閉鎖的な部分を多く含んでいる事が、このような現実を生み出している要因として大きな割合を占めている事は否定できません。


●スタンドアロンである事の優位性

オペレーティングシステム標準の純正Webブラウザという事で、どうしてもWindows版のInternet Explorerが比較対象として挙ってしまうことが多々ありますが、顕著な相違の1つとして「スタンドアロンである事」が挙げられます。アプリケーションというよりはオペレーティングシステムの機能の1つであるかのようにWindowsと密接な関係を持ったInternet Explorerは、通常のフォルダウインドウから「お気に入り」を選択する事により、該当ウインドウがそのままWebブラウザとして機能する辺りの利便性は非常に高いものの、ブラウザのセキュリティホールがそのままオペレーティングシステムに直結してしまう可能性が高いといった危険性とも隣合わせとなってしまいます。特にハッカー達のターゲットとされ易く、セキュリティホールと修正パッチのいたちごっこが繰り返されているWindowsとInternet Explorerにおいては、非常に危険性の高い仕組みであると認識しています。

それに対して最近注目度の高いFirefox等は、Internet Explorerと比較しても安全性の高さがアピールポイントの1つとなっていますが、これもスタンドアロンが故の要素も多く、Safariの未来もスタンドアロンであり続ける事が重要な事かと考えております。


●本文訳注

(注1)久しぶりのApple純正Webブラウザ

稀に「Appleとして初の」という形容を聞く事もありますが、漢字Talk7.5.5の時代に「Cyberdog」と称されるOpenDocをベースにしたブラウザコンポーネントも存在していました。ここでは詳しい説明は省略しますが、Cyberdogは現在もダウンロード可能です。

(注2)XML

EXtensible Markup Languageの略。HTMLと同じようにハイパテキスト記述言語で、SGMLのサブセットの1つ。ユーザー独自のタグを定義する事ができるのが特徴で、開始タグから終了タグの間で要素をネスト(入れ子)にする事ができるなど、柔軟性が高いのが特徴とされ、RSSを配信する際にも用いられる。

(注3)CSS

Cascading Style Sheetの略。Webページに段組みやレイヤ等のレイアウト的な機能や、装飾的な要素を追加するための技術で、htmlのソースはあくまでも文章構造に特化させようとする動きの中で使用されている。最初のバージョンは96年に登場しているので本当の意味での最新技術ではないが、W3Cの勧告やSEO対策(検索エンジン最適化)、或いはBlogのデザインテンプレート等の影響で再注目されている。


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Created Date : 05/02/27
Modified Date :