獺祭(だっさい)純米大吟醸磨き2割3分 旭酒造 山口県
日本酒はその品質を、米を削る、「米を磨くこと」にかけます。精米の歩合を示すこの値は、25%が限界とされていましたが、それを23%にすることを決断した時に、「獺祭」の未来が開けました。山口県の獺越(おそごえ)という寒村の蔵から世界に、その味を問うスタートになる「米削り」でした。
「獺」(だつ、うそ おそ)という字は「カワウソ」と読みます。カワウソは、食肉目イタチ科で、カワウソ亜科の哺乳動物ですが。 水かきをもち、泳ぎが得意で、水中でも生活できます。川での漁が得意で、ザリガニや蛙、小魚を捕って食べます。子供の頃、山里ではカワウソはたまに眼にすることもある動物でしたが、大人達から「カワウソは人をたぶらかすから、近寄らないようにと言われていました。子供達には、何となく不気味な生き物であったのです。
このカワウソは、捕獲した獲物を石の上にずら~っと並べることがあるのだそうです。それを獺祭(だっさい)といいました。カワウソの「収穫祭」のようなものでしょうか、、何となくそのありさまが目に浮かぶような気がする光景ではありませんか。
この言葉を酒の名前にした社主のセンスは、並ではありませんね、読みにくく、受ける感じもよくはありません。しかし、これはどう読むのか、、どういう意味か、、ちょっと気になる「字」、、それに発音からくるキレのいい耳への響き、、これが印象的です。醸造の仕方や売り方も、従来の酒造会社とは大きく異なっていて、「杜氏」を使わず、若手社員を使い、PC制御による温度管理など、設備投資もハンパではないようです。
肝心の「味」は、華やかな香りと豊かな味、平凡ですが「おいしい」の一言に尽きます。日本酒への感覚が少し変わります。飲みやすいのに深く、深い味なのにしつこくない、食べる物で左右されない、ぶれない味がまた魅力でした。一人勝ちの意味が分かるようなお酒でした。(2014.1.23.) |