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ワクチンてんやわんや


朝の診察時間の1時間前から電話のベルがひっきりなしに鳴って、準備や掃除の手をとられてしまう、あぁ今年も年末になったのだなと思う。

インフルエンザのワクチンが不足してきたとNHKがニュースを流し、マスコミ各社もこぞってワクチン不足を記事にする。これが毎冬の定番のようになってしまった。
今年は大丈夫、暖かい師走で流感も出ていない、ワクチンが余らないかとさえ思ったほどだった。しかし、この報道をきっかけに接種希望者が急増した。

12月のこのような事態に備えて、ワクチンを充分に用意し、メーカーにも予約を入れていた。11月のうちに1回目を終えた患者さんは、12月に入るとすぐに2回目の接種になる。早めに対応すれば今頃になって慌てることはないのだが、わァ〜っと世の中が騒ぎ出してから、われもわれもと希望者が増えるのだからたまらない、ワクチンはたちまち不足になり、あっという間にメーカーの在庫も底をつく。

受付係りは、予約ノートに名前、回数、電話、予約確認書と、かかりっきりになってしまう。窓口では「受験生なんです!流感に罹ったら困るんです!」と、今頃になって予約を、と声を大きくされる。本当に心配なら、11月のうちに済ませたらよかったのに、、と思うものの、強引に押し切られてしまう。そうこうするうちに、2回目の接種者へのワクチンも確保が難しくなってくる、品切れなのだ。

冷蔵庫の中の残り少ないワクチンの箱数を確認し、1回目の接種も出来ない患者さんのために、2回目の予約ワクチンを諦めて頂くようにとお願いする羽目になってしまった。

「それってあんまりやないですか!2回予約していたのに!」と電話の向こうの声はとんがっている。「申し訳ありません、1回目も出来ない受験生の方にお廻ししたいので、お許し下さい」、、、、

マスコミ各社サマ、どうか10月末頃から、早めに接種するようにと、記事を出して下さい!

てんやわんやの小さな医院の事務方は、どこへもぶっつけようのない泣きたい思いを抱えながら、年末が過ぎるのをひたすら願っている。(2003.12.20)



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