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太陽がいっぱい   

ルネ・クレマン監督、ニーノ・ロータの音楽、そしてアラン・ドロン主演のこの映画は60年代の学生にとっては、あまりに眩しく、煌びやかで美しかった。豪華ヨットの舵を握るドロンの鍛え上げた上半身の筋肉が、今までみたこともないほど男性的でスゴク魅力的だったこと。あのポスターの輝きは今も鮮明にその哀愁をおびたメロディと共によみがえってくる。

ヨットの中での殺人、殺した友人になりすましてのリッチな生活、それにともなって手に入れた美しい恋人、全ては上手く運んでいた。しかし運は尽きた。海へ捨てた筈の友人はロープに絡まって怨念と共に浮かび上がってきたのだ。

「これでみんなOKさ、ああ太陽がいっぱいだ」、、しかし、警部の指示で彼の名前を呼びたてる浜茶屋のおかみさんの声が地獄への案内だった。「Mr グリンリーフ!」、、かぶさる終曲、美しくも儚く、そして非情なフランス映画だった。

沈丁花の花が匂い、何故かこのメロディが戻ってきて居座ったまま2日もたった。テレビ欄に「太陽がいっぱい」ワクワクして良く見たら、トレンディドラマと称する日本のドラマだった。なーんだ、あほらし、、




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