Homeエッセイ集目次>続けていること
続けていること
あなたの「生きがい」はなんですかと聞かれたら、きっと迷うことなく「パソコンで何か作ることです」と答えるのでしょう。若い頃の年月は、「生きがい」どころか、ただただ慌ただしく過ぎ去りました。60歳が目の前になり、老後の人生をどう生きようかと思い迷っていた時に、突然、天から降ってきたかのように現れたのが、windows 95パソコンでした。

インターネットという言葉すら珍しかったその頃、夫の属していた団体に初めてパソコンクラブが出来たのです。パソコンなどにはなんの知識も興味もなかったので、どうしてそんなわけのわからないものに手を出すのかと、夫に「絶対できへんヨ、やめといたら、、」と何回も言ったものでした。でも、あれよあれよという間にパソコンが届き、いきなりインターネット接続ということになりました。まだ電話線だけが頼りの時代ですから、長い長いコードをつなぐ作業から始まりました。何一つパソコン用語も知りません、メールアドレスという言葉さえピンと来なかったと言えば「パソコン音痴」のほどが知れようというものです。

今振り返ってみますと、その時にパソコンのイロハを教えてくださった先生が、真っ先に「電子メール」というものを手ほどきされたことが、大きな幸いだったと思うのです。スマホのごとき携帯電話はまだ出回っていなかった時ですから、パソコンの電子メールは、送信キィを押しさえすれば即座に相手のパソコンに飛んでいくということが、大層な驚きでした。それはすごく未来的で斬新なものに思えました。60歳になろうかという老人達を、なんだかわからないけど、面白そうや!やってみよう、、という気持ちにしたのですから、先生の作戦勝ちだったと言えましょう。

クラブは順調に程度をあげ、ホームページ作成というところまでたどり着きました。ほどなくしてメールができるという「iモード携帯電話」が出現しましたので、パソコン熱は少ししぼんでしまい、しばらくしてそのパソコンクラブは終了しました。夫もこの時「パソコンってどんなものかがわかれば、それでイイねん、、」と言い、さっさと降りてしまいました。気が付けば、その時作成したホームページを、20年近く継続して更新し続けているのは、今年78歳の師匠先生と、「門前の小僧」である76歳になったこのおババだけになっていました。

パソコンが高性能になり、ソフトの内容が充実するのはあっという間でした。最初は難しかった手続きも、ソフトのおかげでうんと楽になりました。画面の配置はホームページ作成ソフトを「取説」通りに動かせばやってくれますから「門前のおババ」でも、なんとかアップすることができます。あの頃まだ数少なかったホームページは、今や情報発信ツールとしてなくてはならないものになりました。ほんの20年ほどの年月ですが、この爆走とも言える急激な進歩は、匹敵するものをさがすのが難しい程です。

今は「ブログ」という簡便な方法で多勢の方が意見を述べたり、写真をアップされたりしています、この頃は「動画」まで自由自在に掲載できるようになっています。この「ブログ」と「ホームページ」にはちょっとした違いがあるように思います。偏見だと言われるかもしれませんが、「ページ編集の自在さ」において、ホームページの方が、画面作りの幅が大きくて楽しいように思えるのです。

表紙とも言える最初の目次INDEXを、好きな配色と配置でバランスよく仕上げ、様々なジャンルのページにリンクを張りめぐらせることで、雑誌を編集するような面白さが味わえます。ページの色や文字の形、画像の配置も、自分の好きなようにできますし、動画も載せようと思えばできるのですから、自分勝手に、好きなようにやりたい人間にとってはまことに都合のいい道具なのです。

独りよがりのホームページや、自作のDVDなどは、他人様から見たらなんとも面白くもないものであり、エッセイや自己流の画像ばかりかもしれないのですが、たまに、見知らぬ方から、「楽しく写真を観ました」などと、メールでご感想をいただくと、嬉しくて、ついつい舞い上がってしまいます。きっとこれがホームページ更新を継続する「動力」になっているのでしょう。

「食材が豊富で、さらりとした気候」が気に入ったというだけで、ろくな調査もせずに老後の「終の棲家」を浜松市に決め、直感だけをたよりに関西から移住してきました。その「おまけの人生」は、もう9年目になります。そして、ジジババ夫婦は昨年「新幹線」と同じ50年のキンコン記念日を迎えました。

もういつまで元気でいられるかはわからない老人です。「明日の命は知れない」のだと覚悟しながら、これからもこの地の風物や地場の食材と花材の素晴らしさを、いろいろな角度から切り取って発信していこうと思っています。これはおババにできるほんの少しの「好きなこの地」へのお礼でもあるのです。(2015.2.01.)
エッセイ集目次へ
Home旅目次 エッセイ目次 花目次 浜松雑記帳目次 料理ワイン目次