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台風一過

夜になって、近くに上陸した台風は、うなりをあげて1時間ほどで通り過ぎていきました。

この春の台風でも、直撃コースの真下だった浜松市街では、潮水を浴びて、木という木がマッチャッチャの茶色になっていました。夏の間に、やっと緑色の葉がそろいはじめていたのに、またまた茶色になって、しおたれています。

海岸部に近い農地では、強風が潮を巻き上げ、波の飛沫がぶっ飛んでくるのですから、その被害は、大変なものでしょう。 我が家のちっぽけな庭でさえも、この「塩害」を受けました。木々の葉っぱが一夜にして枯葉色になるのですから、驚きです。せめてもの気休めに真水をぶっかけるしかありません。クルマも朝一番に、何倍も バケツの水をかけました。寝坊のジジを待ってなぞいられないからです。

昼のニュースでは、通常の10倍のクルマがスタンドの洗車場に列をなしたということでした。みんな一刻も早くこびりついた潮を流し落とそうとするからです。ここら辺りの家では、高圧のホースで、家の壁に水をかけて洗い流すのもよく見かけます。海からの塩害は2Kくらいまでと言われていますから、ここはその範囲ではないのですが、庭木をみれば、潮水が飛んできたことは明らかです。おまけにちぎれて飛んできた枯葉やゴミや木屑などが家の周りの、隅という隅に吹き溜まっています。これの掃除と、シャッターや窓洗いで、1日がすぐに終わります。

もう10月に入ったというのに、台風が置いていったという南風がよどんで蒸し暑く、汗が流れます。一端片付けたボトルを出して、冷茶を作らねばなりませんし、余分な仕事まで出てきます。おまけに、あらかた片づいた所にお出ましのジジは、仕上げの「水掛け」をやってくれるものですから、いちから又、やり直しみたいなことになってしまいます。毎度毎度、ぐっと押さえて、おババはふくれることになるのです(笑)。

すっかり日暮れが早くなった夕方、外に出ると、一日遅れの中秋の名月?が、煌煌とあたりを照らしています。澄み切った紺色の天空に、大きくて黄色い、美形の満月がぽっかりと浮かんでいました。月や星に関心のなかったジジが「キレイやな、、」と一言、、自分の運動不足をやっと認識して、散歩についてくるようになってから半年、ようやく、月の変化に気がつくようになったのでしょうか。

台風一過の美しい満月を、いつまで楽しめるのだろうかと、つい思ってしまうのが、年寄りのアカン所です。 「のろのろ歩き」につきあって、距離が伸ばせなかった散歩を、こんどは早足で、もうひとまわり、おババは追加して歩いてきましょう。月ガトッテモアオイカラ(?)。(2012.10.2.)  
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