ホームトップエッセイ目次パソコン始末記その(5)
パソコン始末記(その5)

その(1) その(2 その(3) その(4) その(5)

5) ホームページを作る 

ホームページっていったいどんなもんやねん?」

「巻き物みたいなものと違うのん、ずらずらつながってるし」

「だいたいお商売に使う宣伝やろ、医院では無理とちがうか?」

「でも N 先生は色々薬の事や、医院のスタッフの写真などを出してはるよ」

「Mt先生が、誰がホームページなんて言出したんやって、言うてはる」

「とにかく次ぎの例会にビューカムを持って行って 、N 先生の説明を写しきてね」

例会が終わり、帰宅してから婆に何か質問されても、一向に覚えてなくて、答えられない爺は、ホームページ制作実行部隊長?!である婆を気の毒に思ったのか、それ以後、例会で説明される N先生の声を録音してきてくれるようになりました。G 医院のMuさんが

「そちらの先生はいつも協力的で羨ましいです」

と言われましたが、とても一辺聞いたくらいでは覚えられないのだから仕方ありません。苦肉の策でした。

N先生がホームページを作りたい人は企画書を FD に入れてくるように、と言われたとかで、さあどういう風にしたものか、とにかく見当がつかないので、まず他の医師会の先生方のホームページをインターネットで見てみることにした。すると自分の趣味の話から庭の桜が咲いた話、自慢のドイツ車の事と、様々なものが出ている。なーんだ勝手に好きな事を載せれば良いんだ。

皆さん好きなように楽しんではるなあ、これならやれそう、載せたい事は山程あるし、物を買っていただく訳じゃなし、気楽にやれて面白そうや・・・これが面白いのを通り越して、しんどいことこの上無しの物だと気がついたのはずーっと後になってからでした。

FD に画像を入れる

表紙にあたるINDEX のページをレイアウトするのに、どうしても動く画像が欲しいと、分を超えた望みを持って、ホームページビルダーのツールからアニメーションを探し出して見ると、これが又楽しいものがいっぱい有る。あまり大きくないバルーンを選び、恐る恐る引っ張ってみた、おっ!上手く入る・・こうなるともう止められなくなってしまい、WWWブラウザで動きを確かめていると時間はあっと言う間に過ぎてしまいます。

「最初の文は、待合室へようこそ!にしようかな」

「医院の玄関の写真を載せるのが普通らしいぞ」

「こんなボロ玄関の写真なんかみっともない、花の写真しよう」

「ふーん、好きなようにしたらいいや、どっちみち、あんたがやりたいのだから」


選んだ花の写真はどうも収まりが悪いので楕円形にトリミングしたらいいなと簡単に思い、スキャナーで楕円形に取り込んでいただきたいと N先生にお願いすることにした。しかし

この形はスキャナーで取り込むには難しいので今後の宿題にさせて下さい


と N先生は言われる。今はその難しさがよーく解りますが、当時は何が難しいのかも全く解らない状態でした。

テキストは簡単に FD に保存出来たが、画像が一筋縄ではいかなかった。そのままでは入ってくれない。どうしたらいいのだろう・・・あれこれ試行錯誤して、どうにも上手くいかず、もう朝方に近くなってしまい、明日の仕事が大変だし寝ることにした。なかなか眠れない、どうしてわからないのだろう、、、

しばらく考えているとふとイメージエディタというのが有ったと気がついた。待てよ、エディタとは編集の事じゃないのかな、そうすると此処から FD に移せそうだ、思いつくと待ったがきかない性分で、がばっと起き上がり、パソコンの電源をいれて忘れない内に、とやってみた。有り難いことに今度は保存出来た。やったー!ヒヤーホーッ!!

「夜中に何をやってるんや、ほんまに!アホやな」


ホームページ誕生 

あの時間のロスはなんやってん、と頭の硬さを呪いながらやっとの思いで診察時間を入れ終えました。

こんな複雑な事を先生方はやってはる・・・さすがトップ頭脳集団やなあ、こっちはお先真っ暗や、と心細くなってくる。

これでいけるかな、でも心配で仕方がない、上手くアップロード出来るかどうかもわからない、考えた挙句、やはり師匠に点検をお願いする事にして FD に移して、見ていただいた。そしてO K が出て、さてビルダーに移して、勇躍続きを書き込もうとするが、半分くらいスクロールするとガキッと止まってしまって先へ進めない・・なんでやろ?

またまた師匠にメールで尋ねてみますがさっぱりうまく動かない。もう嫌になってきて、こんな難しいものをやろうと思ったことが間違いだったと、放り出したくなり、やっぱり爺婆には無理なんだ、と諦めかけました。何をしていてもこれが頭から離れない。とんでもないものにはまり込んだ、という後悔に似た気持ちもありました。

例会の前に N先生に FD をみてもらって原因診断をお願いしようと爺は少し早めに医師会に行き、早速パソコンを立ち上げ、先生と検討していた所へMt先生がおいでになり(
気の短い事では医師会NO1丁度良かった、とばかりにご自分の質問をはさまれたらしく、爺はこれまたNO2を争うほどの(せっかち)ですから、「今はこちらの不具合を見て頂いている最中です!」と申し上げたのだそうです。

さしもの Mt先生も「すまん、すまん」と引き下がられたとか。

N先生の争奪戦は、ホームページ作成に入ってから激しさを増していきました。とにかく N先生にお聞きしないことには、にっちもさっちもいかない事ばかり・・・

ついには師匠も、原因不明につきビルダーを削除し、再インストールしてやり直すようにと提案。恐る恐る削除(二度と出来なかったらどないしょう・・・)し、本と師匠の手引き書を頼りに再インストール、index を作り直しする破目になった。今思い返しても、何が悪かったのか解らないありさまです。

この頃になってパソコンとは理由なく反抗し、気分が悪ければ、すぐにフリーズする厄介な代物である・・と解ってきた。なにしろ、「なんでやねん!」と言ってみたって頑固に自分を主張して言う事をきかないゴリガン亭主みたいなものだから、どうしようもないのです。

こちらが何にも悪くないのに、(このプログラムは不正に処理されました!強制的に終了します!)と一方的に今迄書き込んできた文章を消し去り、「アッ、待ってー!」と言おうがわめこうが無視して、さっさと終わってしまう。おのれが処理出来ない物は強制終了、なるほど、会社を放り出した有名証券会社の社長も粉飾決算を「強制終了」したかったのでしょうね。

アクセスカウンターを入れる

ある日、医師会のページを見ると見慣れない物がついている。あれっ?何だろう、N先生の所も。・・小さな数字が増えていくようだ、ははあ、ホームページを開いた都度、数が増えていくアクセスカウンターと言う物らしい。自分しか見ないホームページやし、いらないや、と思うものの、またまた真似したくなった。

アサヒネットに問い合わせてみると、やり方が載っているページをちゃんと教えてくれる。html 言語で指示するだけで良いらしいので挑戦。しかしこれが又大変で、ビルダーにいくら言語を打ち込んでもカウンターの図にはならない。まるで落とし穴にはまった心境。

同じ事を繰り返して夜が明けて、これはたまらんと、またもや N先生にメールで泣きつきです。IMG から始まって、CENTER> で終わる言語を教えて下さったが、例の如くビルダーでは唯の文字の羅列になるだけでWWWブラウザで見てみると、一向にアクセスカウンターの様をなしていません???

先生!ミッション ・インポッシブルです!


HTMLを挿入したものを送ります。入れ替えて送信するとOKです。

N先生は「”」を全角で入れては駄目です、といわれますが、混乱した安物の頭にはさっぱり理解出来ません。業を煮やした先生はきちんとHTML言語を並べた物を送って下さって、医師会と同じものを送りますからこれをコピーしなさい、と言われました。この「コピー」という言葉から、初めて、エディターかメモ帳を使わないと、正しいHTML 文字が入らないと気がつきました。(気付くのが遅いわ、もうっ)

ようやくカウンターが入りました!
ぎょっ!アクセスカウンターの数がやたら多い!
師匠に文句を言おう。「ゼロから出発したいです」と、しかし

医師会からのリンクですから同じでいいのです、読み込みをクリックすれば本来の数字は見る事が出来ます。今日は2でした。

・・・トホホホ
頑固婆はどうしてもゼロから行きたい・・だって、さっき Muさんからメールが来て、

凄いですね、カウンター、物凄い数字ですね

やっぱり困る。N先生!ゼロから始めたいです!

よーし自力でゼロ発信してみよう、しかし、やってもやっても数字は現われない。当たり前です、まだアップロードしてないのだから。画像としては形に数字が現われる筈が無く、それに気付かずにブラウザだけ見ては、あかん!駄目だ、と思い込み、試行錯誤の後、やかましくも又 S O S 。

とにかくアップロードしなさい!

との命令に上手くいかないのにと思いつつ、ふくれながらアップロードしてみた。すると、なんとちゃんとゼロの箱がINDEXのページにちょこんとついているではありませんか。「ん?ん?あれー?なんで上手くいったのだろう、でもいいや、バンザイ、、」所詮、自力など無理だったというお粗末。低能ぶりはここで札付きになったと思っています。

それにしても大先生やっぱりプロやなあ。 名医中の名医です。一発全快。

文字化け騒動


ようやく一件落着、いいえ、そうは問屋がおろさない、全角、半角、とカウンター騒動でいじくりまわしたせいで、猛烈な文字化けが出現してしまい、N先生とMuさんから文字化けの指摘。

どうしたんでしょう?

今度は文字化けのメールの矯正に師匠の手を煩わす事になってしまい、もうこうなってはN先生も(毒を食らわば皿まで)の心境になられた事と拝察申し上げましたです。ハイ・・

それでもどういう風な方法をとられたのか、(まさに快刀乱麻)すっぱりと原因を突き止められて、

「。」と「、」が原因でした。これが全部半角でした。カウンター騒動で少し平常心が失われたので しょう、私もこのような事は良く有り、同類項です。

とのメール、弟子の不手際をさっと直した挙句、アフターケアーも万全、とても真似出来ません。

アクセスカウンターを入れたいと思い立ってから1週間後。97年5月23日ようやく池田医院のアクセスカウンターは、ヨタヨタと張り付いたのです。ヤレヤレ・・・

インターネットの威力

予防注射の説明やら初歩的な心得などのページを載せて間もなく一通のメールが入った。画面にメールがすぐ出来るようにMAIL-TOのリンクをやっていたので反応第1号だ。

先日乳児健康診断に行ったら、体重が足りない、と、叱られた。インターネットではすごく丁寧に説 明されているのに納得がいかない。今やインフォームドコンセントの時代だ。


ヒヤー!えらいこっちゃ!すぐさま返信。

「今度来院された時はその旨医師に言って下さい、説明が有ると思います」


診察室、薬局に緊張が走り、たるんだ空気が一新、これも効用の一つかもしれない。初心忘るべからず。デス
患者さん以外の市民の方からも今度はお誉めのメール、なかなか楽しいことになって来ましたぞ。

画面更新

さあ何時までも同じ画面を出していたのでは芸が無い話、何を増やして行こうか、診療の話ばかりではつまらないし、写真も画像も無ければ見てはもらえない。ウエブ婆としては自由に肩の凝らない話にしたい、そこで爺の得意分野のワインの色々を載せてみよう、と思い立って爺の話をまとめた。ついでに婆の四季の料理もどうでしょうと、せっせとアップしました。

ツールのアニメに四季によって変化する画像が有って、他で使われない内に是非使いたかった。体の為にも良いワイン、と言う事で更新したが、さあアップロードする段になると画像と文書を間違えないようにと、えらく緊張してしまう、こんな少しのアップでもヘトヘトになるのに、沢山のファイルだったらどうなることやら・・・

ワインの話は薬屋さんの社長さんやT病院の先生から面白く読んだ、とメールをいただき、ルンルン気分でしたが、Am先生から「あれは絵に描いた餅やなあ、食べてみんと・・・な」と冷やかされたとかで爺はご機嫌が悪い。

「Am先生は冗談を言うてはるんやし気にする事ないやん」

「料理やワインの話など載せるから悪いんや!」

「いっぺんご招待して食べていただいたら・・・」


そんなわけで、秋も深まったある夜、大騒ぎのパーティを開きました。Am先生をはじめワイワイと盛り上がり、素晴らしい交歓会になったことは言うまでもありません。

言いたい放題の無礼講で夜も更けていき、ほんとにに楽しそうな先生方の顔は子供みたいにグチャグチャで、しまいには自宅の奥様に携帯電話をかけまくり、もうむちゃくちゃでお開きです。これもホームページの効用の一つなのでしょうか。 爺のご機嫌?

一番大声でしゃべり、食べて、どっちがお客様かわからない程のご機嫌でしたです。ハイ・・・

カットやアニメを入れる

字ばかりでは人様は読んではくれません、何とか面白く人目を引く物にしたい・・婆は夜になってから深夜営業のショップへ出かけ、アニメーションの良い物は無いか、と本をひっくり返していました。若い若い男の子が傍へ寄ってきて、「おばちゃん、ホームページやってはんのん?」「エッ?うん、まあね」「お店してはんのん?」「うん、まあね」「ふーん・・・」

なんやねんあの子?、まあ、おばあちゃん、って言われなかっただけめっけっもんかもね。深夜のショップは違う人種?!で溢れ返り、婆は外人になった気分でしたわ。(変なガイジン)

フォトマジックを使ってトリミングする事を覚えたのはいいタイミングでした。N先生から写真をデジカメで撮って、トリミング出来る事を教わった後、写真のみでは無く、カットなども「図」から移して、これに色を乗せ、上手くカットすると結構面白い絵が得られることが分かり、ワードの白黒の絵に色を付けたり、好みの色に変えたりも出来るようになって、これが又楽しく、止められなくなる。クリップアートにも楽しい物がいっぱいです。

Mt先生から質問のメールが来て、画像について質問あり、との事。

いつも楽しくホームページを拝見しています。(ギョッ!)ついては自分もアニメを勉強したいのでEasy Animator のインストールをCDからしようとしたが、うまくいかないので教えてほしい。

エッ?インストール?そんなんしなくてもビルダーで出来るのに、、

ビルダーにすでに付いています。イメージ.ブラウザで殆どの事は出来ます、その手順を書きますと、1から箇条書きにして返信しました。すると、

イメージ.ブラウザは自分もわかっておる。CD-ROMからインストールする方法を聞いているのです!
とのメール。エッ?・・もしや?

ここで婆ははたと思い当たった、Mt先生はアニメを制作するソフトのインストールを聞いておられるのだ・・・と、しかし、そんな、、アニメの制作など必要を感じたことが無いし、そんな難しい事がこの婆に出来る筈も無い、そこで

Mt先生、アニメーターがご必要であれば、CD-ROMを購入しインストールして下さい。

だって、種が無いことには手品は出来ません。
(Mt先生、ゴメンナサイ)

ただ、ビルダーに付いている機能を使って画像に触っていただけだったので、イメージ.ブラウザの使い方を聞かれたものと勘違いしてしまい、トンチンカンな返事をしてしまって冷や汗ものでした。でも、アニメを作成しようと思われたMt先生の飛び級?!ぶりにはたまげました。

婆は素材集から引っ張っているだけなのです(すみません)

Mt先生はメールで、「婆」はあまりに気の毒だから、と素敵なハンドルネームをつけて下さいました(フランス語ですぞ)エッ?N先生がではありません、Mt先生がです。イイエほんとです。なんて名前だって?それはナイショです。

ほんまにパソコンは面白いですわ!普段お話も出来なかった先生方と「さし」で話が出来ますもん。雅子妃殿下もお誕生日の会見で、「インターネットや電子メールなど最新の物に敏感に反応する事も必要でしょう」とおっしゃってました(いつ見ても、菊のカーテンの中に置いておくのは惜しいお方です)

終わりに

駄目押しのトラブルが ISDNの設置で、NTTの不手際もあり、電話そのものがカットされたりして、ひと騒動でしたが、いつも適切なアドバイスをされる N先生のお陰で多くのトラブルが解消された事は幸いでした。

個人のホームページはアップしたらすぐに反応してくれる友人や忌憚ない批評とアドバイスをしてもらえる師匠を持つ事が必須の条件だと痛感しています。

なんにも反応が無い、と言う事は空に向かって鉄砲を撃つ如く、空虚で面白くもなんともありません。宣伝ではない個人のホームページには特に反応が必要でしょう。

新聞の投書欄に、ある女性が自分のページを見てくれる人が少ない、と嘆いていました。そこでその人のページの感想をメールし、こちらのページの感想もどうぞ、と言いましたら「字が多い」、、ハイそれまででした。ことほどさように批評は難しいものなのですね。

もうゴール地点がみえる年になってからのパソコンの出現は、あたかも雲に覆われていたマッターホルンの山頂が急に顔を出し、白銀に輝く姿を幸運にも見せてくれたようなものでした。

小さな箱の向こうには膨大な量の情報と仮想の世界が広がっています。この一年に出来た事はパソコンで出来る事の何千億分の一にもならないでしょう。しかし、可能性は無限に存在し、トライする事が出来ます。

パソコンは年寄りにはもってこいですね。何故って、さほどの体力も気力も必要無く、頭も多少は動かしますから、脳細胞の減り具合も少なくなるでしょうし、やたらウロウロして、若い人達に邪魔にされずにすみます。

好奇心と野次馬根性と少しの粘り、そして共に楽しむ人と、良き師匠を持つことができれば、それでOK なのですから。

水先案内人になって引っ張って下さり、トラブルにあたっては電光石火に回答を返信して下さった N先生と、暖かい励ましや批評を下さった方々なくして、爺婆のパソコンはありえなかったと思っています。本当に感謝、感謝です。

「何時までやってんねん、もう寝た方がいいぞ!」

「うーん、もう少しで終わる、、」

よろよろのパソコン始末記、ジジババ漫才、これにてチョン・チョン・チョン。

 (1)へ戻る 

ホームトップエッセイ目次 浜松雑記帳 花の記録 旅の記録 料理とワイン