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パソコン始末記(その4)

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(4) クリスマスカードを作る

クリスマスカードの制作は楽しいもので、綺麗な配色のツリーやベルをうまく配置すると、思ったより素晴らしい出来上がりのカードが出来て、嬉しくなった。いくつか制作し、あちこちに出し、勿論、師匠たるN先生にもさしあげました。

ヘッダーとフッターにワードアートで様々な文字スタイルが出せることが分かり、虹のように文字を半円に描いたり、色を付けて影までつけられることにすっかり夢中になり、調子良くプリンターを動かしていました。

そのプリンターが酷使に臍を曲げてか、いきなり文字の色が黒からグレーに変ったままになってしまい、設定をいくらやっても元に戻りません。

「こんな、法事か葬式のような色しかでぇへんのか?」

「さっきからいろいろ本を読んでみたけどさっぱりわからへんねん」

「プリンターのインクはあんのか?」

「有る 、さっき入れ替えたけど色がでぇへん」

「プリンターに異常があります・・・っていうたって異常はないわな、、、」

「クリーニングしろって書いてあるけど、どうやってクリーニングするのやろ、、」

「どっかはずしてブラシをかけたらいいのとちがうか?」

「だって、どこをはずしたらいいか解らへんし壊れたらどうする?」

「要するに洗濯したらええのやろ、みてみるからそこをどいてみぃ!」

まるで洗濯機の話のような具合で、お笑いもいいとこです。プリンターシステムから指示するだけで良いのだと解ったのは2、3日後のことでした。

クリーニングはうまくいき、さあ、と言う時に今度はプリンター本体の設定を誤ったらしく別の種類の機種を表す記号が勝手に入ったままどうしても追い出せず、泣く泣くキャノンに電話して、指導のお嬢さんにいろいろ指示を受けながら、やっと元に戻すという事態に追い込まれてしまいました。

この時、キャノンのお嬢さんが


「キャノンのホームページからダウンロードしてみて下さい」
と言われた意味が分からず、

「ダウンロードって、どうしたらいいのですか?出来ません」

と言って、すっかりひんしゅくをかってしまったりして散々でした。あー!はずかしい!

結局全部削除してあらたに設定し直すしか方法が無く、キャノンの指導嬢の忍耐勝ち、でした。よくぞ、訳の分からない婆の質問に我慢強く答えて下さったと、いまさらに有り難く思っているのです。(今日びの若い人、って言ったって親切な人も多いですね)

大騒動の後、やっと出来たカードをN 先生が褒めて下さり、連載中の(パソコン物語)にスキャナーで取り込んで載せていただき、ちょっぴり名誉挽回、水をあけた感じでしたが、内幕はお粗末極まりない話で、ブラシをかけるの、かけないのって、N 先生が聞かれたら卒倒されそうな、今思っても冷や汗が出るアホぶりでした。

クリップアートの絵はカラーが美しく、画面に挿入してマウスで引っ張ると、好きなように大きさが変り、これまた面白く、引っ張ったり、伸ばしたりして、いっぱしのアーティスト気分が味わえますから嬉しく、楽しく、段々パソコンの前に居る時間が増えていきました。

ある日(メール魔)ことAk先生から電話が入り(メールでなく、電話です。こちらの送受信能力がいかに不安視されていたかの証拠です。うっかり白紙のメールを送ってしまい、それ以後、すっかり信用ゼロでした)

パソコン例会にN 先生にお礼のカードを差し上げたいから二人で作るように、との至上命令です。パソコン物語ですっかり画像に詳しい、等と思われてしまって・・・ほんとはプリンターにブラシをかけるとこだった、などと知れたら又、大笑いされて呆れられ、命令撤回だったでしょうに・・・

懸命にお礼状の制作にかかり、それを例会に持っていき、N 先生に無事お渡しできたということで、ほっと一息。このお礼状の写しを持ち帰られたG先生がスタッフの方にお見せになり、ほんまかどうか、えらい気にいって下さったとか、これが縁でG先生のスタッフのMuさんとメール友達になれた事が、思ってもいない収穫になりました。実に(縁は異な物味な物)であります。(Mu さんは今年97年11月にG医院のホームページを、G先生の企画をもとに自力で制作、UPされました)

後日、N 先生は弟子達からの贈り物を大変喜ばれ、またもやパソコン物語に、(感激し、感涙にむせんだ・・・)と載せられました。

「感涙にむせんだって書いてはる・・・」

「うまいこと書きはるなあ、ぜんぜんむせんではらへんかったで、笑うてはった」

「・・・・・・」

そんなある日、爺はMi 先生を同行して外出先から、例の如くドドドドっと帰るなり、パソコン部屋へ飛び込み、何かやっている様子・・・しばらくすると「ちょっと−!」とお呼びです。いってみると、Mi先生がぼそーっと立っておられ、爺はやたらパソコンのツールバーの辺を触りまくっています。

「どうしたんですか?」と聞きますとMi 先生は「いやーツールバーが隠れてしまって出てこないんですわ、先生に聞いたら分かると思ってちょっと聞いたら、いきなり車に乗ってここへ・・・すみません」とおっしゃる。隠れたものなら探れば出てくるでしょう、と代わって同じ事を婆もやってみましたが元々出ているバーは出たきりです。(当たり前なのに気が動転してしまい、せっかちの爺に煽られて3人共わけが分かりません)

「N 先生に聞かれたらいかがですか?」

「いやー、N 先生はこのWord は使ってはらへんのですわ、DOSとかつこうてはって聞いても駄目だと思いますねん」

「はぁ〜、そうですか・・・」

婆は内心、なんで爺は自分も解らないのに、教えようなどと家にお連れするねん、と呆れました。

わからない者同志いくら頭を寄せても分かりません。診察時間が迫り、なにか釈然としないお顔でMi 先生はお帰りになりましたが、しばらくするとやっと事情がのみこめてきて、(表示からツールバーにチェックを入れれば出てくるだろうに)と気づき、婆は大急ぎでMi 先生にメールしました。すぐに先生からお返事メールが来て、

先生ご夫妻は偉大です。これでもうツールバーはいつでも出せますから安心です

ほんまに、N 先生が聞かれたら嘆かれて、感涙どころか、悲嘆の涙にむせびはったことでしょう。「なにをやってるねん、何が偉大やねん、何も分かっとらん」と。

N 先生のホームページにまばゆいばかりの「神戸ルミナリエ」の写真が載って、これが先生のクリスマスカードになっていて、(お世話になった皆様へのグリーティングカードです)。うーんやはり大先生、味な事をしはるわぁ。

こんなに自由自在に写真や文章を載せることが出来たら、どんなに楽しいことかと、N 先生のホームページを見て羨ましく思い、自分達にもホームページなるものが出来ないものか、と考えるようになりました。それがどんなにしんどくて大変なものかも知らない(猪突猛進)の典型だったのです。
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