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オニオングラタンスープ

「山のように」という表現が大げさではないくらいに沢山の玉葱を頂いた。半年分はありそうだけれど、腐ってしまったらもったいない。吊るして置いたとしても雨風でいたみそうだ。お料理の会で知り合った方に少し貰ってもらうことになったが、それでもまだたくさんある。思いついて、「オニオングラタンスープ」を作ることにした。

その昔、やっとフランス料理が一般に知られ始めた頃、マカロニグラタンなどと共に一世を風靡したオニオングラタンスープである。淡白なようでいてしっかりとしたコクがあり、ぽってりとしたポタージュスープほど濃厚ではないコンソメ味のスープは、女性たちに受け、人気メニューになっていった。

けれど、当時の訳知りのフランス通が「オニオングラタンスープは言ってみれば日本のラーメンのようなものであり、夜遅く劇場がはねた後に家に帰りつくまでの間、お腹を満たすためにB級のレストランで食するものだから、ディナーには間違っても注文してはいけません」とおっしゃったのをしおに、なんとなく人気がなくなっていた鍋焼きスープである。

たしかに量も多くて、表面にバケットパンの薄切りがのっかっていて、この上にチーズがどっさりとのっていてグツグツいっているさまは、高級とはいえないのだけれど、お腹が空いている寒い日などには、これほど美味しいものは他にないと思わせるに充分な、熱々の焼きスープだ。

空っ風が吹き、何となく乾いた一日、夕暮れにひと椀、フーフーとすすりこむにはもってこいかもしれない。山のような玉葱の薄切りと格闘することにした。日本にも似たようなスープがあって、淡路島特産の玉葱のスープがこれに近い味を出していて美味しい。

たっぷりの炒め玉葱と薄切りパンが鍋焼きウドンの「麺」のような役割だと言えば、グラタンスープがただのオニオンスープではなくて、グラタン(焼き付け)という言葉が付いている意味が納得いただけるのではないかなどと考えながら単調な仕事をこなした。思わぬことにアメリカワインの赤がこのスープにマッチしたが、これは独断偏見のそしりをまぬがれまい。

以下のレシピは標準的な作り方だが、パンやチーズがなくても、お餅を一切れ、三等分くらいにして焼いていれたら、それは又それで日本人には美味しいものだと思う。

半日かけて刻んだ残りの玉葱は、半分くらいまで炒めてから小分けにして、保存袋に収めて、薄く延ばし「炒め玉葱」と大書して冷凍庫で重なっておやすみねがった。でも玉葱は、まだまだある、、

オニオングラタンスープの作り方

1人前大1個、小さいものなら2個の玉葱をスライスする。

 ・薄切りの玉葱を最初は中火にしてバターで炒め始める。

 ・しんなりしてきたら火を弱火におとし、約1時間ほど根気よく炒める。

 ・黄色くなってくちゃくちゃしてきたら鍋から離れずに炒め続ける。

 ・鍋の縁が焦げてくるから、玉葱でこそげ落とすようにして炒め続ける。

 ・狐色までいったら火を止める。焦がしすぎないように注意する。

 ・ブイヨンを作る、ありあわせの野菜とミンチ肉などでスープをとる。
 (炒めている時間を利用して作るが、固形コンソメで代用でも)

 ・スープの味をみてから、深めの分厚い器か深めのグラタン皿に玉葱を入れる。

 ・そこにスープを注 ぎ込み底から混ぜる。

 ・上にフランスパンの薄切りをトーストしてのせる。

 ・さらにこの上にお好みのおろしたチーズを乗せて、200度のオーブンで10分

 ・焼き 色がつき、グツグツしたら出来上がり。

 ・フツフツと熱いので火傷をしないようにして取り出して、

 ・皿に載せてテーブルへ直行で〜す。
 
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