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写真入り年賀状


新しい土地に住まいして三度目の正月を迎え、もう新参者とも言えなくなった。ここ数日間吹き続けている「遠州灘の空っ風」もあまり気にならなくなったのだから驚く。

新幹線でたった2時間あまりとは言え、元の住まいから遠くなってしまった者にも、以前と同じご厚情あふれる年賀状が届く。懐かしく嬉しい思いで読みながら、今年の年賀状に少し変化が出ていることに気がついた。受け取るほうが老人なのだから、送って下さる方も年配の方々が多く、自家印刷の今風な年賀状は少なかったのだったが、今年は何となく賑やかな感じがした。「画像」を多く使い、カラフルでハイカラなものが増えているからだった。パソコンを使う方が増えたということなのだろう。プリンターもグレードが上がり、パソコンも簡単に画像の取り込みが出来るようになったうえ、葉書印刷専用の機種も多く出まわっているのだから当然なのだろう。

一昨年まで古風な格調ある黒一色の年賀状を下さっていた方が、年賀状はお互いの安否を気遣うという役割が大きくなってきたと思うので、これからは夫婦二人の写真を入れようと思うとおっしゃった。

「ナルホド、、、」まったくその通りである!マネッコする事にした(笑)

もう仕事のお付き合いもなくなったし、あとは親しかった方々と年に一度、お互いの元気を確認できれば、それが一番かもしれないと思った。そして今年は今までの人生で初めて、二人の画像を探して葉書にはめ込んでみたのだった。

二人そろっての写真など、あまり撮る機会のない老人夫婦であるから、やっと見つけた一枚も旅行中で疲れ果てたしょぼくれたものしかなかったが、これが現実だから仕方ない、去年のカオである。連れ合いは気にしている「アタマ」を帽子が隠してくれた写真だったからご満悦だった(笑)。

「アンタの写真、もう少しマシなもんがあらへんのか?なんだかトシいってみえるやんか、、」と、不服そうだったがそんなことはどうでもいいのだ。うまく画面にはまってくれたら作り手としては、もうそれで充分なのだから。

今年配達された賀状の10%ほどが家族写真入り、ほかにもカラフルな画像をちりばめてあるものが目立った。逆に黒一色はほとんどない。クリスマスカードのように、より綺麗で楽しいものにする時代になったのだと、無性に嬉しくなった。

パソコンを始めた12年前には、まだ画像を自在に使いこなすことなど「至難の業」だった。それがたった10年ほどでここまで進化し浸透してきたのだと思うと、あの頃の98PCとの徹夜の奮闘が嘘のような気がしてくる。12年前の丑年、干支の丑を黒いシルエットで入れるのにどんなに時間がかかったことか、今考えるとPCにしがみついていた姿が滑稽にも思える。今日も数枚の葉書が配達され、さまざまな家族の方々の顔が笑いながらテーブルの上にいっぱい、楽しそうに広がっている。いいなぁ〜、、

良い時代になったのだと思うことにしよう!経済的にも社会的にもマイナス因子が多い今年だけれど、きっと崩壊の砂塵色から抜け出して、澄んだいい色になっていく!そう思いながら毎日を暮らそう!
そうすれば、小さくても何かがプラスに変換してくだろう。笑いかける年賀状に、こんな夢を描いてみた2009年のお正月だった。2009.1.05.

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